新しい人生の幕開け…40

記事
ライフスタイル
それでも息子は毎日学校へ登校していました。

何度教えてもわからない算数、何度書いても書けない漢字。

それでも私は怒ったことはありません。
なぜなら…。
「この子には生きる術を教えるのが一番いい」と思っていたからです。

なので家でのお手伝いなどを率先してやらせてあげました。

どうやら「料理」が好きなようで、目玉焼きが上手くできるととても嬉しそうにしていました。

それから数か月の時が経ち…。
何回も療育センターに通い、それでも発覚せず…。

ただ「辛い思い」をさせているのではないか、という心配の方が大きかったように思う。

その頃、上の娘が「もう弟と学校に行きたくない!」と言い始めた。
理由を聞くと「恥ずかしい行動をする」というのだ。
大声で叫んだり、誰彼構わず声を掛けたりすると、一緒にいると恥ずかしいが、姉弟という関係も生徒にはバレているから、どうしようもない、と…。

そうか…。
そんなことがあったんだ…。娘も我慢してきたんだな…、
私はその話を聞いて
「ありがとう。そっか、そういうことがあったんだね。息子は元気すぎるからね!お姉ちゃんも心配だったでしょ。見守ってくれてありがとう。弟が悪いことしたら、ちゃんと怒っていいからね!けどね?ダメ!だけではわからないから、『なんで悪いことなのか』を教えてくれたらお母さんがありがたいな、そしてなにかあったら、ちゃんとお母さんに言ってね」
と…。

それでも娘は最初こそ、一緒に登校などしなかったが、それを責めることもしなかった。

娘は娘の友達などの「世界」がある。
それを弟とはいえ、家庭の中でのことで壊してほしくなかったし、先生たちも理解できないようなことを子供たちに理解してもらおうなどとは思っていなかった。

弟は弟の世界。

それは、自分たちもそうだという私の考え。

いざ困った時、家族で知恵を出し合えばいい。

そうして、息子も勉強こそできなかったが、めげずに学校へ行っていた。
そんな時、ある「行動」に私は気づいた。

「自分の気持ちを伝えることができないときに息子は壁などを叩いている」

暴力まではいかないが、たまに「ものに八つ当たりする」ような行動があった。
イライラしているのか、と思っていたが…
例えば「仲間に入れて」や「自分はサッカーがやりたい」など、自分の気持ちと周りのつじつまが合わない時、そして、自分の気持ち「嫌な気持ち」やどう表現していいかわからない時に「物を叩く」という行動に出ていたのだ。

私はその時「なにがあったの?どうしたの?」と聞くようにしたが、やはり自分の気持ちが「言葉」としてでてこないために「暴れる」というループ…。

それをなだめるためにはとても体力と労力が必要だった。

もうこれは一般学校では限界かもしれない。
もし、ひと様にケガをさせてしまってからでは遅い…。
それは例え障害であっても、それは他の人にはわからないことだし、理解もしてもらえないだろう…、そうなると娘も息子も学校自体居心地の悪い場所になってしまう…。

私は、後日学校の先生に電話をした。
あの件はともかく、息子を「特別学級」いわゆる「通級」の申し出をしたのだ。

その件で面談もした。学年主任とも話をした。

学校生活ではどうか、友達とのやり取りはどうか…。

担任の先生はなに一つ分かっていなかったが幸い学年主任の先生が注意してみてくれていたおかげで、今後会議にかけるということになった。

担任の先生は「息子君は、本当にうるさい!黙っていなさいといっても言うことを聞かないし」と半ば文句なのか愚痴なのかわからないことを並べていたが、学年主任の先生がそれを止めていた。
そのまま言われていたら私の方がキレていたかもしれない…。

それからである。
その担任の先生に対する周りの親からの不信感などが増幅していった。

何度も周りの親御さんから「担任を変えてくれ」という申し出があったそうだが、校長含め「あの先生はプロですから」の一点張りでとうとう2年生の時まで変わることはなかったが、親御さんからの信頼のなさは、私の知っている担任の中でも歴代トップに入るくらい信頼がなかった。

それでも担任を変えない「学校側」にも不信感は募っていった…。
それはあの当時の親御さんはみんなそうだったと思う。

私は「ママ友」を作るのが苦手だったが、それでもその話は聞こえてきていた。

後日、学年主任の先生から電話がきた。
息子の「特別学級の通級」が認められた
という電話だった。
まずは「国語の時間や算数の時間」をメインに特別学級にいくとのことだった。
体育や図工は、みんなでやれるものだからそれは確保したいとの配慮だった。
給食もクラスで食べるとのこと。
それから、少しの間は息子も前のような元気を取り戻した…
かのように見えた…。
サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す