同じ説明で理解できる子・できない子の差|能力ではなく「入り口」

同じ説明で理解できる子・できない子の差|能力ではなく「入り口」

記事
学び
同じ説明を、同じようにしているのに、すっと理解する子と、まったく届かない子がいます。長く教えていると、必ずぶつかる不思議です。ですが、この差は、能力の差ではありません。理解の入り口が、子どもによって違うだけなのです。

理解の「入り口」は、子どもごとに違う


人には、情報が入りやすい経路があります。耳から入る子、目から入る子、手を動かして入る子。同じ内容でも、どの経路から届けるかで、理解のされ方がまるで変わります。

言葉で説明するとよくわからないのに、図に描いた途端に「あ、そういうこと!」と表情が変わる子がいます。逆に、図よりも言葉で筋道立てて説明された方が納得する子もいます。

どちらが賢いという話ではなく、単に、届く扉が違うのです。この違いは、頭の良し悪しではなく、その子に合った入り口を、まだ見つけられていないかどうかの違いなのです。

だから、まず「入り口」を探す


私が授業で最初にすることは、その子の入り口を探すことです。教える内容そのものより先に、どの経路なら届くかを見極めます。

言葉で通じなければ、図に描く。図でだめなら、消しゴムやおはじきを動かして、目の前で見せる。それでもだめなら、本人に手を動かさせてみる。いくつか試すうちに、「この子は、手を動かすと入るタイプだ」といったことが見えてきます。入り口さえ見つかれば、それまで届かなかった説明が、驚くほどすんなり通るようになります。

たとえば、繰り上がりの計算がどうしても理解できなかった子に、言葉での説明をやめて、おはじきを実際に十個ずつ動かして見せたことがあります。「十のまとまりができたら、次の位に引っ越すんだよ」。手で動かした瞬間、その子の目の色が変わりました。同じ内容でも、届く経路から入れれば、こんなにも違うのです。

家庭でできること|「わからない」の前に、伝え方を変える


家庭でお子さんが「わからない」と言ったとき、同じ説明をもう一度、大きな声で繰り返していないでしょうか。届かない経路で音量を上げても、なかなか届きません。

そんなときは、伝え方の経路を変えてみてください。言葉で説明していたなら、紙に絵や図を描いてみる。それでもだめなら、身近なもので実際にやって見せる。同じ内容を、違う入り口から入れ直す。この工夫だけで、「わからない」が「わかった」に変わることが、よくあります。

「わからない子」の多くは、入り口未発見の子


二十年教えてきて、確信していることがあります。「わからない子」の多くは、能力が足りないのではなく、まだ自分に合う教え方に出会っていない子だ、ということです。

一対一で、その子だけの入り口をじっくり探せることが、個別の学びの、いちばんの価値だと私は考えています。このシリーズでは、その「うちの子に合う学び方」を、どう見つけていくかを書いていきます。まずは今日、お子さんの「わからない」に、別の入り口から近づいてみてください。

<あわせて読みたい>
・子どもの勉強のつまずきには必ず理由がある|元教員が伝えたい、たった一つのこと
・自由研究の親の関わり方|テーマは疑問1個・実験1個でいい
・テストの間違いは3種類|点数より『間違いの種類』を見る方法

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す