「何があったの?」
「誰に何をされたの?」
「なんで泣いてるのか、ちゃんと言ってくれないとわからないよ!」
子どもが激しく泣き叫んでいるとき、わたしたち親はつい、そうやって「理由」を聞き出そうとしてしまいます。
話を聞いてあげたい。辛い気持ちに寄り添って、助けてあげたい。
親としては100%の愛情と優しさからの言葉ですよね。
でも、もしその優しい声かけが、かえって子どもの脳を追い詰め、パニックを長引かせているとしたらどうでしょうか。
かつてのわたしは、娘ちゃんが癇癪を起こすたびに「何があったの?」と必死に問いかけていました。
そして返ってくるのは、「わかんないーー!!」という耳をつんざくような絶叫と、激しい地団駄。
「なんで話してくれないの?」と途方に暮れていましたが、子どもの脳の発達の仕組みを学んだとき、衝撃を受けました。
激しく泣いている子に理由を聞くのは、「溺れてアップアップしている人に、『どうして泳げないのか理由を説明して!』と叫んでいる」のと同じことだったんです。
癇癪の最中、子どもの脳で起きていること
なぜ、理由を聞くことが逆効果になってしまうのでしょうか。
理由はとてもシンプルで、「理由を考えるための脳の機能が一時停止しているから」です。
人間の脳には、大きく分けて2つの重要な部分があります。
扁桃体(へんとうたい):恐怖、怒り、不安などの感情を司る「原始的な脳」
前頭前野(ぜんとうぜんや):言葉、論理、理性、原因と結果を考える「司令塔の脳」
子どもが癇癪を起こしているとき、脳内では扁桃体が大暴走しています。火災報知器がジリジリと鳴り響き、全身に「非常事態警報」が出ている状態です。
このとき、論理的な思考を担当する「前頭前野」への血流は遮断され、完全に機能停止(フリーズ)してしまいます。
そんなときに大人が「何があったの?」「どうして?」と理由を尋ねるとどうなるか。
子どもはフリーズしている前頭前野を無理やり動かそうとして、脳の処理速度が完全にオーバーヒートを起こします。
その結果、「うまく答えられない自分への焦り」と「責められている恐怖」が加わり、パニックはさらに何倍にも膨れ上がってしまうのです。
理由を聞く代わりに、親がやるべき「正しい順番」
では、理由を聞かずにどうやって対応すればいいのでしょうか。
脳科学に基づいた、正しいアプローチの順番は次の3つです。
順番1:まずは「扁桃体の火消し」に専念する
非常ベルが鳴り響いている最中に、火事の原因究明はできません。まずは消火が先です。
言葉で説得しようとせず、余計な刺激(声、光、視線)を減らし、安全を確保して静かに見守ります。「大丈夫だよ」「ここにいるよ」という、短く落ち着いた声のトーンだけを届けます。
順番2:前頭前野が再起動するまで「待つ」
子どもの呼吸が深くなり、泣き声が止まり、視線が合い始めるまで待ちます。これには数分から、長ければ20〜30分かかることもあります。でも、ここで焦って話しかけないことが、結果的に一番早く落ち着く秘訣です。
順番3:再起動したら「事実」から順に拾う
完全に落ち着いたあと、ようやく前頭前野が動き出します。
ここで初めて、「何があったのか」を整理していきます。
ただし、ここでも「なんで怒ったの?」とは聞きません。
「ブロックが崩れちゃったんだね(事実)」
「悔しかったんだね(感情)」
このように、大人が目に見える事実を言語化してあげることで、子どもの脳は混乱せずに出来事を整理できるようになります。
親の「聞く力」が変われば、子どもの脳は落ち着きを取り戻す
「何があったのか知りたい」と思うのは親の自然な愛情です。
でも、その問いかけを「今」ではなく「落ち着いた後」にするだけで、子どもの反応は180度変わります。
「なんで?」と問い詰めるのをやめてから、娘ちゃんは癇癪から立ち直るスピードが劇的に早くなりました。
そして、パニックがおさまったあとに、「ママ、さっきはブロックが倒れて悔しかったの」と、自分から教えてくれるようになったんです。
「でも、具体的にどんなタイミングで、どんな言葉をかければいいの?」
「うちの子、落ち着いた後でもなかなか話してくれないんだけど……」
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子どもの感情に振り回される毎日から抜け出したい方は、ぜひチェックしてみてくださいね。