ご覧いただきありがとうございます。
元航空自衛官FPです。
8月も中旬に差し掛かりましたが、まだまだ猛暑はつづくようです。
しかし、「酷暑」のピークは過ぎたような気がする今日この頃です。
今回は債券についてお話させていただきます。
「債券は株式より安全だから、老後資金の運用に向いている」
そう考えている方は多いのではないでしょうか。
確かに、債券は株式と比べて値動きが小さいものも多く、資産運用を考えるうえで重要な選択肢の一つです。
しかし、ここで注意したいのが、
「債券=価格が変わらない」わけではない
ということです。
特に50代・60代になると、老後資金や退職金など、これまで築いてきた資産を「守りながら運用する」ことが重要になります。
そこで今回は、意外と知られていない
「金利が変わると、なぜ債券価格が動くのか?」
について、できるだけわかりやすく解説します。
1.まず覚えておきたい「金利と債券価格の関係」
債券投資で最も重要なポイントは、次の関係です。
金利が上がる
↓
債券価格が下がる
反対に、
金利が下がる
↓
債券価格が上がる
という関係があります。
一見すると、
「金利が上がったら、利息も増えるから債券にとって良いのでは?」
と思うかもしれません。
ところが、既に発行されている債券について考えると、話が変わってきます。
2.なぜ金利が上がると債券価格が下がるのか?
具体例で考えてみましょう。
あなたが、
年2%の利息がもらえる債券
を持っているとします。
ところが、その後、市場の金利が上昇して、
新しく発行される債券の利率が年3%
になったとします。
あなたの持っている債券は年2%。
新しく購入できる債券は年3%。
あなたなら、どちらを買いたいでしょうか?
当然、
「同じような条件なら、3%のほうがいい」
となります。
すると、年2%の既発債券は、そのままでは魅力が低下します。
そこで市場では、
価格を下げることで、買い手がつきやすくなる
ということが起こります。
これが、
「金利上昇→債券価格下落」
の基本的な仕組みです。
3.逆に、金利が下がるとどうなる?
今度は反対です。
あなたが持っている債券の利率が、
年2%
だったとします。
その後、市場金利が低下し、新しく発行される債券の利率が、
年1%
になったとしましょう。
すると、あなたが持っている「年2%の債券」のほうが魅力的になります。
そのため、
既に発行されている債券の価格が上昇する
ことがあります。
つまり、
金利と債券価格は、基本的に逆方向に動く
と覚えておくと理解しやすいでしょう。
4.「債券は元本保証」ではない
ここは、50代・60代の方には特に知っておいてほしいポイントです。
債券には、
「満期まで持っていれば額面金額が戻ってくる」
というイメージがあります。
しかし、これはすべての債券について無条件に保証されるわけではありません。
まず重要なのが、
発行体の信用力
です。
国が発行する国債なのか、企業が発行する社債なのか。
企業なら、その企業が満期まで存続して約束どおり返済できるのか。
こうした「信用リスク」を考える必要があります。
また、満期前に売却する場合には、
金利変動による価格変動
もあります。
そのため、
「債券だから絶対に元本割れしない」
と考えるのは危険です。
5.「満期まで持つ」のと「途中で売る」のでは意味が違う
債券投資を考えるとき、非常に重要なのが、
満期まで持つのか、それとも途中で売却する可能性があるのか
という点です。
例えば、10年満期の債券を購入したとします。
購入後に市場金利が上昇すれば、債券価格は下落する可能性があります。
しかし、
「10年間は使う予定のないお金なので、満期まで保有する」
のであれば、途中の価格変動をそれほど気にしなくてもよい場合があります。
一方、
「3年後に住宅のリフォーム資金として使う予定」
なのに、10年債を購入してしまうとどうでしょう。
3年後に現金が必要になったとき、金利上昇によって債券価格が下落している可能性があります。
その場合、売却すると損失が発生することがあります。
つまり債券投資では、
「何%の利息がもらえるか」だけでなく、「いつお金を使うのか」
を考えることが非常に重要なのです。
6.長期債ほど金利変動の影響を受けやすい
もう一つ覚えておきたいのが、債券の残存期間です。
一般的に、満期までの期間が長い債券ほど、金利が変化したときの価格変動が大きくなりやすい傾向があります。
例えば、
「数年で満期を迎える債券」
と
「20年、30年と長期間の債券」
では、金利が大きく動いた場合の価格への影響が異なります。
そのため、
「高い利回りだから長期債を買おう」
と単純に判断するのではなく、
「そのお金はいつ使う予定なのか?」
を考える必要があります。
7.50代・60代は「利回り」だけで選ばない
50代・60代になると、
「少しでも高い利回りの商品を探したい」
という気持ちが出てくるかもしれません。
もちろん利回りは重要です。
しかし、老後資金の場合は、それ以上に大切なことがあります。
それは、
「そのお金をいつ使うのか?」
ということです。
例えば、
・生活費として数年以内に使うお金
・住宅修繕に使うお金
・子どもの支援に使うお金
・医療や介護に備えるお金
・10年以上使う予定のない余裕資金
これらを全部同じように運用する必要はありません。
むしろ、使う時期に合わせて、お金の置き場所を考える
ことが大切です。
8.退職金を債券に投資するときの注意点
50代・60代で特に気をつけたいのが、
退職金を受け取った直後の運用です。
まとまったお金を受け取ると、
「せっかく大きなお金が入ったから、少しでも増やしたい」
と考えてしまいがちです。
しかし、退職金はこれまで働いて築いてきた大切な資産です。
まず考えたいのは、
「増やすこと」より「必要な時に必要なお金を確保できること」
です。
例えば、
1,000万円の退職金を受け取ったとしても、その全額を長期の債券に投資する必要はありません。
生活費として必要な部分、数年以内に使う予定のお金、当面使わないお金などに分けて考えることが重要です。
9.債券投資で確認したい5つのポイント
債券を購入するときは、最低限、次の5つを確認してみましょう。
① 発行体は誰なのか?
国なのか、地方公共団体なのか、企業なのか。
発行体の信用力を確認します。
② 利率だけで判断していないか?
「利率が高い=良い債券」とは限りません。
高い利率には、それなりのリスクが伴う場合があります。
③ 満期はいつなのか?
自分のお金を使う時期と、債券の満期が合っているか確認します。
④ 途中で売却する可能性はないか?
途中売却する可能性があるなら、金利変動による価格変動も考えておく必要があります。
⑤ そのお金は本当に余裕資金なのか?
生活費や近い将来必要になるお金まで、無理に運用する必要はありません。
10.債券投資は「金利の予想」だけで考えない
債券投資をすると、
「これから金利は上がるのか?」
「そろそろ金利は下がるのか?」
と予想したくなります。
もちろん金利の動きを考えることは重要です。
しかし、将来の金利を正確に予測することは簡単ではありません。
だからこそ、
金利を当てることだけを目的にしないことが大切です。
それよりも、
・いつ使うお金なのか
・どのくらいの期間運用できるのか
・途中で現金化する必要があるのか
・どの程度の価格変動なら受け入れられるのか
を考えておくほうが、長期的な資産管理では重要になります。
11.「守るお金」と「増やすお金」を分ける
50代・60代の資産運用では、
すべてのお金を同じ方法で運用する必要はありません。
例えば、守るお金
・近い将来の生活費や住宅・医療・介護などに備える資金。
増やすお金
・10年以上使う予定がなく、長期的な資産形成を目的とする資金。
使う予定が決まっているお金
・数年後の住宅修繕、車の買い替えなど、用途が決まっている資金。
このように目的別に分けて考えると、
「このお金は債券で運用する」
「このお金は預貯金で確保する」
「このお金は長期的な資産形成に回す」
といった判断がしやすくなります。
12.今回のまとめ
債券投資を理解するうえで、まず覚えておきたいのは、
金利が上がると、債券価格は下がりやすい。
金利が下がると、債券価格は上がりやすい。
という基本的な関係です。
そして、50代・60代の資産運用では、
「債券だから安全」
と考えるのではなく、
「いつ使うお金なのか」
を最初に考えることが大切です。
債券には、
・信用リスク
・金利変動リスク
・価格変動リスク
・途中売却時のリスク
などがあります。
一方で、満期まで保有することを前提に資金の使い道と期間を合わせれば、資産管理の一つの選択肢として活用できる場合もあります。
おわりに
50代・60代になると、
「これから資産を大きく増やしたい」
というより、
「今まで築いてきた資産を、どう守りながら活用するか」
が重要になってきます。
だからこそ、金融商品を選ぶ前に、
「このお金は、いつ、何のために使うのか?」
を考えてみてください。
利回りだけを見るのではなく、
金利・価格・期間・使う時期
をセットで考える。
それが、これからの資産運用では大切な視点です。
この記事を書いた人
FP TK LIFE SUPPORT
年金・ライフプランニングを中心に、これからの人生のお金について一緒に考えるFPです。
「老後のお金は足りるのか」
「年金はいつから受け取るのがいいのか」
「退職金をどう考えればいいのか」
そんな疑問を、できるだけわかりやすく整理していきます。
※本記事は一般的な金融知識の解説を目的としたもので、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の資産状況やライフプラン、リスク許容度などを踏まえて慎重に行ってください。