小龍ちゃんが空を飛ぶ時その2

記事
コラム
今回は空を散歩するのに先頭にいる龍宇様が留守にしたら
小龍ちゃん達がどうするかをお伝えしますね。


お父さん代わりの龍宇様はお空の散歩の時はいつも先頭を飛んでいます。
ある日用事が出来たのでその日の空の散歩に付き添えなくなりました。
そこでいつも任せている黒龍ちゃんに
他の小龍ちゃん達の事を全て任せる事にしました。
「まとめ役をよろしく頼むね。大変だけど頑張るんだよ」
龍宇様はそう言って出かけて行きました。



黒龍ちゃん
「お父さんが僕にお父さんの代理を任せてくれたっ。
頑張らないとっ!」
黒龍ちゃんは大事な先頭を任されてとっても気合が入りました。
いつも先頭ですが更に龍宇お父さんの代理もしないといけません。
なので小龍ちゃん達皆に言いました。
「今日は僕がお父さんの代わりなの!だからねっ。
ちゃんと僕について一緒に飛ぶんだよっ。
列から出ないできちんと並んで飛んでねっ」
色々と注意を告げている間も心の中で(頑張るぞっ!)と気合充分です。
小さいこぶしを握りしめて足を踏ん張って、お父さんの期待に応えなきゃと
大きな声で出発を宣言しました。
「さあっ!皆行くよ~ちゃんとついて来てね~」



白龍ちゃん
「ふぅ~ん。そうかぁ。お父さんいないのかぁ。だったら僕も
黒龍ちゃんの為にお手伝いしようかなぁ」
白龍ちゃんが珍しく黒龍ちゃんのお手伝いをする気になりました。
何をするかと思ったら近くにある雲を黒龍ちゃんが先頭で
飛びやすいようにどけてあげています。

ちょっと風を吹かせると雲はふわふわと横にどけてくれます。
でもそうして雲を動かしている内に白龍ちゃんは雲で
遊ぶのが楽しくなってきました。
すっかり最初の目的は忘れてあっちの雲こっちの雲と風を
吹かせて動かして遊んでいます。
黒龍ちゃんは白龍ちゃんが飛ばした雲をよけるのが大変です。

雲が飛んでくるのをよけながら
「雲で遊ばないで~ちゃんと列に戻って飛んで~」と
はた迷惑な白龍ちゃんの雲遊びに必死に叫んでいます。
黒龍ちゃんの必死の叫びにも雲で遊ぶのに夢中な白龍ちゃんには
全然聞こえないのでした。



青龍ちゃん
「今日はお父さんいないんだぁ」青龍ちゃんはにやっとしました。
いつもはお父さんを気にしてお水で遊んでいても、
お水のある所から列が離れたらちゃんと列に戻っていましたが
今日はいつまででも遊べそうな気がしています。
なのでお水のあるところに向かっている最中に(今日は遊び尽くすぞ!)と
気合が入っていました。

そんな青龍ちゃんの様子を黒龍ちゃんは見過ごしませんでした。
「お水のある所に行ってはダメなの~。ちゃんと並ばないとダメ~」
でもお水を前にした青龍ちゃんを止める事は出来ません。
黒龍ちゃんの隙をつき、青龍ちゃんはお水に一直線です。
「やったぁ。今日はたっくさぁん。遊べそうだなぁ」
そう思って夢中で遊んでいた青龍ちゃん。
同じ場所で遊び続けていたので
さすがに今回は黒龍ちゃんが直接やってきて腕を組んで
仁王立ちして怒っています。
「ちゃんと列に戻って!お空の散歩を続けるの~っ!」
そうして首根っこをつかむようにして列に戻されてしまいました。

でも青龍ちゃんは全然こりません。
次のお水のある場所に行った途端にまた列を飛び出してお水に一直線です。
「お水で遊んでちゃダメなの~、ちゃんと列に戻って~」と
黒龍ちゃんが怒っていてもお水で遊ぶのに夢中な青龍ちゃんには
全然聞こえないのでした。


緑龍ちゃん
「そうなの?今日はお父さんいないの?
ふぅ~んいないのかぁ」
ぼーっとそうつぶやいた緑龍ちゃん。
(お父さんはいなくてもいつもと同じ事をすればいいよね?)
と緑龍ちゃんはのんきにしています。
他の小龍ちゃん達のようにはあんまり色々考えてはいません
でした。

いつも通りのんびりとお空散歩をしつつも途中の森の緑を
眺めては(あそこで眠れたら気持ちいいかもな~)と
考えていると、
森の中でとても素敵な風が吹いて木々さん達がゆらゆらと揺れて
「そうだよ~。ここで眠ったら気持ちいいよ~」と告げてきました。
その素敵なお誘いに森の中に飛んでいきたいのを
散歩の途中なので我慢した緑龍ちゃん。

元々のんびりと飛んでいる緑龍ちゃんが
森が近づくたびに誘惑と戦っているので更にどんどんと
遅れて行きます。
けれど緑龍ちゃんはのんきなので全然気にしません。

森の近くを通る度に
森の緑の素敵な木々達の中でゆっくり眠る自分の姿を想像して
ぽわぽわと楽しそうに笑いながら森を眺めています。
「遅れちゃダメなの~。早く列に並んで~」
黒龍ちゃんの困った声も森の中で眠る姿を想像して笑っている
緑龍ちゃんには全然聞こえないのでした。


紅龍ちゃん
「そうなのかぁ。お父さんはお出かけしたのかぁ。
ならいつも以上に他の龍ちゃん達をまとめている黒龍ちゃんの
お役に立たないと!」
紅龍ちゃんは黒龍ちゃんと同じように気合が入りました。

白龍ちゃんが雲で遊ぶのを止めさせ、青龍ちゃんが水で遊ぶのを止めさせ、
緑龍ちゃんがぼーっと素敵な森の中で寝る想像をしているのを
止めさせてせっせと列に戻していた紅龍ちゃん。
そんな紅龍ちゃんの前に素敵な光景が見えました。
鳥の大群が飛んでいく所です。


紅龍ちゃんは鳥が大好きです。鳥が一羽でもいる時は
急いで飛んで行って鳥との競争を楽しみます。
その鳥が大群で飛んでいる。それはなんて素敵な光景でしょう。
紅龍ちゃんは他の全ての事を忘れて急いで鳥の大群の所に
飛んでいきました。

鳥さん達はすごい勢いで飛んでくる紅龍にびっくりして
焦ってパタパタと羽を勢いよく動かして一斉に逃げ出しました。
鳥さん達は別に紅龍ちゃんを嫌ってはいません。
同じ空を愛する存在として尊敬もしています。

ですが紅龍ちゃんは炎をまとっていますので夢中になると
熱気がすごいんです。
下手に紅龍ちゃんに近づきすぎると鳥さん達は焼き鳥になってしまいます。
焦って逃げる鳥さん達を紅龍ちゃんはにこにこと笑って追いかけます。
「僕と競争したいの?よ~し追いかけるね~っ」
夢中で鳥さん達を追いかけだした紅龍ちゃん。

「遠くにいっちゃダメなの~、列に戻らなきゃダメ~」
黒龍ちゃんの焦った声も鳥との競争に夢中な紅龍ちゃんには
全然聞こえないのでした。


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