周易古占例(2) 米の値段の高低、井戸から水が出るか否かの占

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天元春日  周易古占例 2


【易学・易占界において「2千年来の1人」と称された真勢中州とその一門の占例(2)】

ー真勢中州について

真勢中州(ませ・ちゅうしゅう)は、日本の易学史上、最も有名な人物の一人です。

『浪速人傑談』の伝えるところに依ると、

「真勢中州。名は達富、字は発貴、中州と号し、また復古堂と号す。俗称を彦右衛門という。尾張の人。天性・廉直にして、若くして易学を好み、新井白蛾(あらいはくが)に従いて学び、なお自ら研究して遂に易道に妙を得たり。中年の後は浪花(なにわ)に移り、専ら易学を講ず。また象蓍(しょうし)を作り、爻卦(こうか)を製し、易経の本文を錯綜(さくそう)して『復古易経』と唱え、其の占験の群に秀逸せること、精義入神にして、世・二千年来の一人と称す。文化十四年丁丑二月四日、齢六十四にて終る。歿後、北野寒山寺に墓石を立つ。」

と記されています。


ー真勢中州とその一門の占例

(3)は米の値段の高下を占ったもの、(4)は井戸を掘るに際して果たして水が出るかどうかを占っています。

(3)同(※前回の続き、丙辰年)米値(こめのあたい)の高低(こうげ)を筮して臨(りん)の夬(けつ・かい)に之(ゆく)を得。

占曰(せんにいわく)臨(りん)は地下に沢あるの象にして始安(やす)き意なり。夬(けつ・かい)は臨(りん)の内卦(ないか)の兌(だ)易位(えきい)して天上(てんじょう)に升(のぼ)るの象なれば七月に至て大に上(あが)るべし然れども兌(だ)は止水(しすい)たれども潤下(じゅんか)の性(せい)にして久しく天に止(とどま)るものに非ず。

必ず再易位(ふたたびえきい)して訟(しょう)となり  【易位生卦ハ範□ニ見エタリ 天より下(くだ)るの意】

天より下(くだ)るの意あれば七月に天井数出(てんじょうねすういで)、それより安く往来高下(おうらいこうげ)あるべしというに中(ちゅう)す。
【兌乾ともに秋に取る。かつ直数的中すといえども密象なれば略す。】

※真勢中州は米相場の高下について、その研究の成果を「八木相庭高下之論」(やぎそうばこうげのろん)という書物にまとめています。
ちなみにこの書には「臨(りん)、夬(けつ・かい)」それぞれについて


「臨」・・・次第に高き象なり  この卦は萃より易位して下ると見るなり。しかれども兌沢底値となりて将来上るの意(こころ)なり
「夬」・・・沢気天にのぼるの象あり  大に高き卦なり。しかれども定三(じょうさん・過去、現在、未来)と窮理(きゅうり)とをかんがえて高下をはかるべし

と書かれています。
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(4)甲子(きのえね)二月、或邸(あるてい)に掘貫(ほりぬき)の井(い)を造んとす。
水出るや否(いなや)を筮(ぜい)して復(ふく)の震(しん)に之(ゆく)を得たり。
占之曰(いわく)、初爻を石とす。この石まで鉄棒通(てつぼうとおり)て後、又中段(ちゅうだん)に石出来(でき)て 震為雷(しんいらい)の象 始ノ棒(ぼう)却て中段にて止り、下へは通(とお)らぬ象なり。
故に水出まじというに中(ちゅう)す。

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※これは確か加藤大岳先生の本にも占例として紹介されていたと思います。


※出典 谷川順祐(竜山)『周易本筮指南』


ー真勢中州の占法を知るための参考文献


真勢中州の易法につきましては、先に紹介した人物伝に「爻卦を製し・・・」とありますように、独特の占法があります。
ここには詳述しませんが、真勢易の占法を知るための参考文献を紹介します。


○加藤大岳 『奥秘伝書・真勢易秘訣』 紀元書房
ー非常に詳しく、わかりやすい本ですが絶版です。古書店で探すと見つかる可能性があります。


○『真勢三秘伝』
ーこれも絶版なので古書店で探してください。3000円くらいで販売されています。

○大島中堂 『真易中州の易学』
ーオリジナルは絶版ですが、復刻版が『大島中堂選集』1250円(Kindle)に収められています。



【執筆者】


天元春日(あまもとはるひ)
                         易占研究家。神道家。


【Twitter 】「天元春日」で検索してください。


【著書】


○『年卦八索法 平田篤胤の易学研究』1250円(Kindle)


《内容》
  平田篤胤の易学占法「年卦八索法」を見直し、解釈しました。

  本書では、平田篤胤が『太昊古易伝』に述べている年卦八索占法を整理し、不備と思われるところを生田萬、新田目道茂等の著書から補い、さらには同法の理論を展開して、より詳細な占断法について考察。
  また別途筮法や思想的な背景についても本文を要約して紹介し、それによって年卦八索法の体系化を試みました。


○『考古易説ー日本神話・古典による易教解釈ー 附・平田易納甲表』300円(Kindle)


《内容》
  江戸時代末期〜明治初期に、国学者によって書かれた書籍を翻刻・編集。
  易の64卦を神話や古典の事象を当てはめて解説しています。
平田易による独自の納甲表も収録。






【出版物】


○『大島中堂選集』1250円(Kindle)


《内容》
大正〜昭和初期に活躍した易占の大家、大島中堂氏の著書を選集という形でまとめました。


周易愛好者必携の書です。


収録書籍


1、 『周易埋物霊祟秘伝 全』
2、 『易学千里眼』
3、 『真易中州の易学』
4、 『五段論式必中占法』
5、 『易学速成講義録』(全六巻)
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