気楽に読んでください、呼吸のおはなし ~その65~

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今日もお読みくださり誠にありがとうございます。
ここのところの母音の真実といった内容、もし興味をお持ち頂いている方があるとすれば、どのような理由からか知りたいです。
こんなことを出来てなくてもプロの歌手に成る人は成りますし、ナレーターや声優やアナウンサーにだって成る人は成りますからね。
何かお役に立てているとしたら、それはどのようになのかは気になります。
さて、昨日の " E " の構音は試してみられましたでしょうか。
口蓋の左右目一杯の広がりと存在感、上下奥歯の距離感、頬骨の微かな挙上、舌のリラックス、これら全てが横隔膜の縁の意識を明確にすることで促されます。
それでこの A から E への変化は少々難易度が高く感じる人も確かにいまして、それを補完するような顔へのアプローチもご紹介しておきます。
これは顔だけで充分に遊べますので、特に骨盤の緩みからの折り返しエネルギーを使わなくて大丈夫です。
A の音を出しながら鍵型に曲げた左右の人差し指で左右それぞれの頬骨をリフトアップします。
頬骨の下辺の奥に少し深く指を食い込ませるようにしてから、ちょっとしゃくり上げるようにするのがコツです。
こうすると、心ではそのまま A を発音・発声してる積もりなのに、音だけは E に変わります。それで指をパッと離すとまた直ぐに A の音に戻りますから結構面白いですよ。
これを繰り返して慣れて来ましたら、今度は指を離しても指が当たっていた時の頬骨の状態をキープして、E の音もキープしようと試みてください。
このことと、先の体からのシグナル、今は横隔膜の縁を帯状に触ることですよね、を組み合わせてやって頂くと、本当に純度の高い美しくて深くて明瞭な響きの " E " の音が出ちゃいます。
このような響きを体験し再現可能になることは、特にこの E の音のように顎の緩みが更に問われるようなことを通過する意味とは、要約し過ぎる位に要約すると、拘りや固定観念からの解放になります。
歯を食いしばって努力するだけでは届かないものへの目覚めとでも言いましょうか、ただ口を大きく開けて発音していては届かないような響きの到達点、世界観が開かれて行くような気がします。
随分前に書きましたように、これら母音は明日以降に取り上げる I も含めて、お互いに響きを分かち合って影響を与え合う関係性を持っているのが本当の姿で、それが相乗効果となって複雑で玄妙な、決して単調ではない響きを生み出します。
これは完全に個人的な、そしてちょっと強引な仮説ですが、空耳アワーのような世界が成立するのも、多くの外国の言語には、元からこのような多層的な響きが含まれているからこそだと思っています。
今日やったような顔の響きと体の繋がりが身に付いて来ますと、本人の気付かぬレベルで確実に音の明瞭度や遠くへの届き具合に違いが現れて来ます。
感性の鋭い耳の持ち主がもしも周りに居れば、ご本人よりも先にその変化に気付いてくれるかも知れません。
声がうるさくなった、と指摘されるのではありませんよ。
聞き取り易くなったり、聞き分け易くなったり、場合によっては納得してもらい易くなったりと、そんなポジティブな変化です。
それから、こんな形で本当に発声時の余分な緊張と向き合いそれらを緩和出来ると、歌を歌っている最中、今まで出し難かったちょっと高めの音が、パイプの詰まりが抜けるような感覚で急にスッと出たりすることも結構体験出来ます。
これが出来る時というのは、特にそこで歌い方を工夫したり出し方を変えてみたりというのでは無く、今まで通りに苦しい予定で通過しようとしたら、マジックのようにスルッとすり抜けてしまったような感じになると思います。
こういう時は、本当に新しい声の出し方、厳密に言うと、本来の声の出し方に巡り逢った感じがして結構ニンマリとするものです。

つづく
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