ぽっかりと開いた穴の正体

ぽっかりと開いた穴の正体

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コラム
「心に穴が開く」という言葉があります 。

実際には身体に何かが起きているわけではありませんが、私たちはその痛みを、まるで本当にそこに隙間ができたかのように、ありありと感じてしまいます。

この感覚の正体は、自尊心に傷がつき、心の一部が損なわれてしまっている状態と言えるかもしれません。自分を支えていた大切な自信や誇りが崩れたとき、私たちはその失われた部分を、ぽっかりとした虚無感として捉えるのです。

こうした心の空洞は、人生のさまざまな節目で私たちの前に現れます。

たとえば、大切な人や愛するペットとの別れといった、深い喪失を体験したときです。昨日までそこにあった温もりが突然消えてしまうと、心はその変化に追いつけず、大きな空白を取り残してしまいます。

また、「あのときはこうしておけばよかった」という強い後悔を抱えているときも、心は痛みます。特に、自分の人生の選択を誰かに委ねてしまい、「自分の判断でしっかりと決めていなかった」と気づいたときの後悔は、自尊心を深く傷つけます。

自分で選ばなかったという事実が、自分を信じる力を削ぎ落としてしまうのです。

さらに、日々の生活の中でつい他人と自分を比べてしまうときにも、穴は広がりやすくなります。物事を「勝った」「負けた」という二面論的な見方で測ろうとすると、誰かと比較しては落ち込み、自分の価値を見失う悪循環に陥ってしまいます。

物理的な傷とは違い、これらの痛みは目に見えません。しかし、喪失や後悔、他人との比較によってもたらされる心の空洞は、確かにそこに存在しています。それは決してあなたが弱いからではなく、傷ついた心が「今は少し立ち止まって、自分をいたわる時間が必要だよ」と、そっとサインを送ってくれている証拠なのだと感じます。

                         沙門蒼俊   合掌
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