脳をゆるめて、心をほどく-----「小さいうちに解決する」という養生訓

脳をゆるめて、心をほどく-----「小さいうちに解決する」という養生訓

記事
コラム
 病気から快方に向かう方々を見つめていると、そこにはある共通する心のしなやかさや、脳の使い方の知恵があることに気づかされます。
 今回は、病気が良くなる人の特徴について、脳の仕組みと日常の向き合い方から考えてみたいと思います。

諦観と、生への感謝

 病気が良くなる人は、どこか「ある程度は仕方がない」と、良い意味で諦観(たいかん)ができる方たちです。
 すべてを完璧にコントロールしようとせず、今の状況を受け入れる。そのうえで、「生まれてきてよかったな」と、自分の人生に静かな誇りを持てるようになったとき、心と体は回復へと動き出します。

脳を疲れさせないバランス

 私たちの体は、脳の状態が良くなると、それに伴って病気も良くなっていくようにできています。
 しかし現代を生きる私たちは、お金や仕事、人間関係といった日常の問題を考えすぎてしまい、どうしても脳を疲れさせてしまいがちです。
 生きている限り、人生から問題が完全に消えてなくなることはありません。
 大切なのは、問題をゼロにすることではなく、「消耗」と「回復」のバランスを、少しだけ回復側に傾けてあげることなのです。

小さな問題のうちに解体する
 病気が良くなる人は、問題が大きくなるまで放置して、後から大ナタを振るって一気に解決しようとはしません。
 まだ問題が小さいうちに、ちょこちょこと小まめに解決しています。
 実は、私たちの心は複数のタスクを同時にこなすことができます。目で見る情報、耳から入る情報を、脳は健気に処理してくれているのです。
 その脳の力を上手に生かすためには、3つの領域のバランスが欠かせません。

前頭葉:人生や物事の「意味」を考える
扁桃体:不安を感じ、同時にそれをコントロールする
報酬系:一歩を踏み出す「やる気」を生み出す

 快方へ向かう人の姿勢これら3つのバランスが整っている人こそ、病気であっても、それを乗り越えて良くなっていける人です。
 自分の人生に豊かな意味を感じられていること。適度な不安を持ちつつも、問題が大きくなる前に小さく解体できること。
 そして、小さくなった問題を「やってみよう」と前向きに解決できること。 
 大きな奇跡を待つのではなく、日々の脳と心を健やかに保つ小さな習慣の積み重ねが、健やかな体を取り戻す何よりの近道なのかもしれません。

                         沙門蒼俊  合掌
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