☆10「謎の風間家?1.」
タクシー「IIGO」を呼んで代里子 優は乗り込み別れを告げ、
ルカと青也、照子大きな荷物と共に乗り込み別方向に進んで行く。
照子が
「身の回りの物も大した物もってないですけど」
「大丈夫、大半揃っているし、足りない物はこれから買い
そろえればいいよ。そんなに遠くないから歩いても良かったんだけど、
ちょっと遅くなったしね」
車が進むにつれ、太い円柱が何本も並ぶ変わった柵が見え
その正面辺りで車が止まる。
円柱柵の途中から1m以上の厚みのある塀で中央の大きな門と脇の
出入口が抜けて、その厚みのある塀でおおわれている 。
それを見上げながら照子が
「変わった柵と門ですね」
「父が 小型版風力発電の柵にしたものでまだ実験中、この塀みたいのは
昔の長屋門の現代版」
「長屋門(ナガヤモン)? 」
「門自体が住めるようになっていて、昔は警護する人たちが
住んでいたらしいです。
今も人数が増えれば、ここにも住めるようになっています」
「照ちゃんここにする?」
「えっ!」
「冗談よ。中に用意してあるわよ」
脇から入って行き、目の前に体育館のようなのような建物、
ドアを開けると通行の両端に沢山の車が並び、
そこと繋がる通路を出ると、建物が2つくっついたくらいの
厚みのある木造5階建てのボロアパートのように見える変わった建物。
そこに5個のドアがあり真ん中のドアと壁部分を引き戸のように開けると
「この他のドアはダミーだから注意してね」
「慣れた者でも間違えます」
「外から見たらボロアパートに見せて敵を欺くんですって、
父はこういう変なものが好きで趣味なの変わってるでしょう」
「敵?」
「”外に出れば七人の敵”とか」
「マッ、その点は父が説明するんじゃない」
「なんか頭が混乱してきました」
「始めてくる人は、みんなそうなるね」
『変わった家。変わった人たち・・・』
引き戸の開けた先は雪国の二重玄関のようになっていて、
急に上から風が吹き驚く照子、
「ヒャー」
「言い忘れた。上から花粉ウィルス除けのエアーが出るよ」
「早く言ってくださいよ 」
「ごめん、ごめん、うちらは慣れているから つい言い忘れた」
次のスペースは6畳くらいの空間と両脇がウォークインクローゼットで
シューズを置き、衣類が掛けられるようになっていて、
「照子さん、靴はここで履き替えて下さい。スリッパでも
ルームシューズでも気に入った物を使って下さい。
荷物も置いていいですし、部屋に持って上がれます」
「着替えが入っているので持っていきます」
「以前はバリアフリーだからと靴のまま出入りしてたけど、
不衛生ってことで靴はここで履き替えることになって、
この雪国玄関スタイルになったの。重くないその荷物」
「僕、持ちますよ」
「大丈夫です。慣れてますから」
次の扉を開けると1~2階分の天上の高い広い空間と
城にあるような大きな長いテーブルがあり、奥の方に2階に行く6本の階段。
「ウワァー・・・昔見た『風と共に去りぬ』の広間みたい。
階段多いけど。」
そこに執事風の紳士とメイド服を着たおばさんが出迎えている。
「青也様、ルカ様、照子様お帰りなさいませ 」
「父さんと母さんは?」
「お休みになられました」
「こちらが電話でお話しした天野照子さんです」
「こちらが執事の時村さん。こちらは服部さんです」
「ふたりとも長いの私の生まれた時には、いたよ。
他にも父達の運転手の加藤さんやメイド家事代行って言うのかな?
その見習いの鉢屋(ハチヤ)さんと真庭(マニワ)さんが2人いるけど、
もう寝てるかな。おいおい紹介するね。うち人が多いから」
『人が多い・・・?』
「お嬢様、そんな妖怪のように・・・私、執事をさせて頂いております
時村正(トキムラ タダシ)と申します。
困ったことがありましたら何なりとお申し付けください」
「そうですよ、お嬢様、山姥じゃないんだから。
私はメイド長をやらせていただいてます。
服部加代(カットリ カヨ)加代とお呼びください。
私も主に家の事ですが、なんでもお聞きください。
後ほどお好きな食べ物、苦手な物お聞かせ下さい」
『執事?メイド?ルカさん達、すごい家?
夜だし家の外見が分からないけど』
「天野照子です。よろしくお願いします。好き嫌いはないです。
なんでも食べます。コウモリはちょっと苦手ですが、
食べなきゃいけない時は食べます」
「好き嫌いな無いのはいいですね。コウモリ?」
「照ちゃんはアフリカで子供達の為に働いていたんだよ」
「アフリカに、そうですか。大丈夫ですよ。
食材にコウモリは無いですから」
「ただ、裏の森には いるかも知れませんがね」
「時村、本当にいるの?」
「大丈夫ですよ。隊員の皆さんがタヌキとハクビシンとカラスと
蛇だと言ってましたから」
『謎ワードがまた、隊員??』
「遅くなった。働き方改革だから二人ももう寝ていいよ」
「何かご用意するものは?」
「照ちゃんなんかいる?」
「いえ、いいです」
「一応、安眠ハーブティーを魔法瓶ボトル3本と軽く食べられる
クッキーでもあったら用意してもらっていい?」
「こちらではなく自室ということですね」
「時間も時間だし、朝練もあるから部屋でくつろいだ方がいいでしょ」
「すぐにご用意いたします」
横の扉から厨房に向かう加代。
「お茶がくるでここで」
ルカ、青也、 大きく長いテーブルにそれぞれ座り 、照子を手招き、
そこに行こうとしているとサッとルカの横に時村が照子の
大きなリュックを持ちながら立ち、
「照子様のお部屋は5階のルカ様のお隣にご用意致しましたが」
「そうね。今日はとりあえずで、しばらく一緒に住んでもらうから
住みやすい所を明日 明るくなってから選んでもらってもいいしね」
『選んでもらう???』
「時村、もういいよ、休んで」
「では、照子様のこのお荷物お部屋にお運びいたします」
「あっ、でも重いし、汚いし」
「時村は汚れにも強いし鍛えているから、大丈夫。照ちゃんいいよね?」
大きな荷物をひょいと抱え
「時村、エレベーターで行ってもいいよ」
「御冗談を、それより明日は組み手でもしていただこうかと」
「え―!!時村の組み手は勘弁!!」
話が終わるか終わらないかで、その姿は軽々と階段を上っていた。
『ルカさんが恐れる時村さんの組手?そして素早い身のこなし何者?』
「普通なら玄関フロアーから長テーブルの前に 応接セットがあるよね」
「そう言われてみれば そうですね」
「うちの変人で超合理的な両親が『応接室で憩って長テーブルに
行くくらいなら、最初から長テーブルで何か食べながら
話し合い自室で憩えばいい、だから応接セットは無駄だからいらないって』」
「なるほど、そう言われればそうかもですね」
そこに加代が 魔法瓶ボトル3本と菓子を持ってくる。
「遅くなりまして、疲れを取るハーブティーと梅味のギモーブ、
ちょっと酸っぱいですが甘みもありますし、朝練前に良いかと」
「わざわざ作ってくれたんだ。ありがとう」
「ありがとうございます。梅味懐かしい。日本て感じで嬉しいです」
「やりましたね。加代さん」
「加代、時村が明日 組み手やるって」
「大丈夫ですよ。明日は他にやることあるから、
私達と一緒に別時間でやるので脅しただけですよ」
「そうだよね。なんせ時村が、この家どころかこの世の中で
一番強いから」
『と・時村さん・・何者?怖!』
「加代、ありがとう。もう寝て」
「はい、ではお休みなさいませ」
「加代さんありがとう。お休みなさい」
「加代さんありがとうございました。お休みなさい」
「じゃあ僕たちも・・・」
「そうね。詳しい話は明日にして」
それぞれボトルと菓子を持って、長テーブル、左右に3本ずつ付いている
階段の前を通り、一番奥のエレベーターに向かう。
「中からでも上に行けるし、外の非常階段を使えば外からも
出入りできます」
「時村と違うので、うちらはエレベーターで行こう」
話しながらエレベーターに乗り5階につき、すぐの部屋を開けると玄関、
ユニット式のバストイレ、キッチンついており、ミニダイニングテーブルと
仕切りのようにクローゼットとベッドと机本棚、壁は穴の空いている防音壁、
全体的に細長い居住空間になっている。
「この壁は防音壁だけど、フックつければ棚や色んな所に物も
かけられます」
「これは? 」
「各部屋コンテナになっていて、それぞれ1本使うか合体させて
2~3本使うか、好みで部屋の大きさも変えられるし、
引っ越しもそのまま引っこ抜いて移動できて便利。
さっきも話したようになんせ、合理的な両親なのでこんな感じ。
1本で狭ければ2本合体部屋にする?どの場所でも広さでも自由だかから、
考えておいて」
「私のスペースがお隣で真ん中は繋がっているけど、
その隣が青君のスペースと言うかコンテナだから、
何かあったら声かけて内線だと私が8番で、居間が9番で」
「僕が10番です」
「明日は6時から朝練だから大変かもしれないけど用意しておいて、
声かけるから」
「『出た、朝練』はい、分かりました」
「どうしても辛かったら無理しないでいいですよ」
「アフリカ帰りだし、寝てていいよ。
ただ、私らはこの建物横の道場にいるから」
「食事は8時で、1階の広間です」
「バスタオルや着替えもベットの上に用意してあると思うし、
もし、朝練やれそうなら道着やジャージも用意してあるから
好きなの選んで着てきて」
「私のサイズに合いますかね」
「うん、時村と加代なら大丈夫。下着の趣味は知らんけど。
じゃあ、お休み」
「ゆっくり・・寝てられないかも知れませんが、お休みなさい」
「お休みなさい」
『謎と怒涛(ドトウ)の一日、疲れたような・・・』
大きなリックが机のところにおいてあり、ボトルと菓子を
ダイニングキッチンに置き、そこに この部屋の鍵、
部屋をざっと見まわすとすべて必要なものがそろっている。
『風間家やっぱり謎だわ・・・明日の朝練?の為、シャワー浴びて寝よう』