富太郎の『ちょこプレ2』2025.3.2

富太郎の『ちょこプレ2』2025.3.2

記事
コラム
富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。

今回のお題「党員の除名処分」

 兵庫知事選をめぐり、某政党の県会議員が党から除名処分を受けました。
この党の処分に対し、処分を受けた議員さんは、裁判所に救済を求めることは
できるでしょうか。

 少し状況は違いますが、昭和の終わりに政党と除名された議員との間で争わ
れた裁判の結果についてご紹介します。 最高裁まで行った事案です。

事案 Aは、X党の幹部であり、X党が所有し、党役員等に利用させてきた家
  屋に居住していた。AがX党により除名処分を受けたため、X党は、Aに
  対し上記家屋の明け渡しを求める訴えを提起した。

最高裁は、「政党の内部的自立権に属する行為は、法律に特別の定めのない
限り尊重するべきであるから、政党が組織内の自律的運営として党員に対して
した除名その他の処分の当否については、原則として自律的な解決に委ねるの
が相当である。」として政党の自立権に配慮した上で、「政党が党員に対して
した処分が一般市民法秩序直接関係を有しない内部的な問題にとどまる限
り、裁判所の審査権は及ばない。」としました。

 その上で、「右処分が一般市民としての権利利益を侵害する場合であっても
右処分の当否は、政党の自律的に定めた規範が公序良俗に反するなどの特段の
事情のない限り、右規範に照らし、右規範を有しないときは条理に基づき、
正な手続きに則ってされたか否かによって決すべきであり、審理もその点に
られる。」としました。  (最判昭63.12.20)

 なお、この判例は、政党の重要性に鑑みて政党の自律性に配慮したものと考
えられます。 政党の重要性については、「法人に政治献金をする自由がある
か」が問題とされた八幡製鉄事件で最高裁が、「憲法は、政党の存在を当然に
予定しているというべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素
であり、国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である。」と判示していま
す。  (最大判昭45.6.24)

 この事件に関する問題が、司法書士試験 平26-3-エ で出題されました。
問 政党は、議会制民主主義を支える上において重要な存在であるから、その
 組織内の自律的な運営として党員に対してした処分は、それが一般市民法
 秩序と直接の関係を有しない内部的な問題にとどまるものであっても、司法
 審査の対象になる。
答 × (上記判例参照)

  このような考え方は、『部分社会の法理』と呼ばれます。
他には「国立大学における単位認定行為」や「県議会議長の県議会議員に対す
る発言の取消命令の適否」などが挙げられますが、過去には部分社会の法理と
して司法審査の対象にはならないとされていた『地方議会議員に対する「出席
停止」処分』が、令和2年に判例変更され、審査の対象になるとされました。 
 時代の移り変わりや、状況の変化により、過去の判例がそのまま踏襲される
とは限らない世の中になっているのかもしれません。

今回は、以上です。 
過去のブログも、ぜひご覧ください。   富太郎

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「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
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