富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「条約」
アメリカの大統領が代わって、総理が渡米会談して、いろいろな交渉約束を
してきたり、各国の戦闘状態の解消に向けての動きが見られたり、潮目が変わ
りつつあるようです。
交渉事がまとまり、当事国に一定の権利義務関係を設定することを目的とし
た、文書による国家間の合意を『条約』といいます。
「協定」、「協約」「規約」など、名称は問われません。
憲法73条3号は、内閣に条約の締結権を付与し、同号但書で「事前に、
時宜によっては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。」として事前
又は事後に国会の承認を要求しています。 憲法が国会に条約の承認権を
認めた趣旨は、内閣が締結する条約に対して民主コントロールを及ぼすところ
にあります。
なお、既存の条約を執行するための詳細部分の取り決めや、条約の委任に
基づいて個別具体的に定められた取決めは、国会の承認を要する「条約」
には当たらず「外交関係の処理(73条2項)」として、内閣の権限だけで処理
できます。
では、条約の締結を先行した場合で、事後に国会の承認を得られなかった
場合の条約の効力はどうなるのでしょうか。
『国内法的には無効』であることには、争いはありません。
ここで問題となるのは『国際法的な効力(対外的効力)』についてです。
「日本国憲法で条約には国会の承認が必要であると規定されており、相手国は
それを当然に知っているはず」なので、国会の承認がない条約は国際法的にも
無効となるという説が有力のようです。 まあ、相手国ともめるでしょうが。
次に、憲法と条約の優劣はどうなのでしょうか。 2つの説があります。
(1) 憲法優位説 (通説)
①条約は憲法により与えられた条約締結権に基づき締結されたものであり、
条約が締結の授権規範である憲法に優位すると考えることはできない。
②条約が憲法に優位とすれば、憲法の規定と反する条約の締結により実質
的に憲法を改正することを認めることになるが、憲法改正に厳格な手続き
(96条)を採用しているわが国の憲法からはそのようなことは認められな
い。
(2) 条約優位説
①憲法98条2項が、日本国の締結した条約は誠実に遵守する必要がある
と規定している(条約遵守義務)。
②憲法81条が条約を違憲審査の対象としていない。
③憲法全体にあらわれている『国際協調主義』
その昔、日米安全保障条約に基づく刑事特別法により刑事訴追された者が、「条約自体が憲法9条に違反する。」と主張した裁判がありました。
『条約に司法審査は及ぶか?』
最高裁の判断は「一見きわめて明白に違憲無効であると認められない限りは
裁判所の司法審査権の範囲外のものである。」でした。
(砂川事件 最大判昭34.12.16)
このように『直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為で、
法律上の争訟として裁判所による法律的な判断が理論的には可能であっても、
「事柄の性質上」司法審査の対象から除外される』との理論は『統治行為論』
と呼ばれ、『高度な政治問題は、裁判所ではなく、国民の代表である国会に
判断させるべき』とされています。
なお、問題で「裁判所は、条約に関する合憲違憲の判断はできない。」と
出されたら、答えは × になります。「一見きわめて明白に違憲無効であると認められる。」 場合には、違憲判決が出されるはずです。
そのような条約が締結されるとは考えにくいですが・・・。
今回は、以上です。
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「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
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