富太郎が気の向くままに、再び「ちょこっとプレゼン」させていただきます。
誰かのお役に立てば、幸いです。
今回のお題「支払督促制度」
先週の新聞記事で『支払督促制度を利用して、詐欺事件の被害金を取り戻す
ために凍結された銀行口座に強制執行をかけるという事件が発生した。』との
記事が出ていました。
制度的には、被害者以外でも、強制執行を行えば、凍結口座からお金を引き
出せるようです。
では、なぜ新聞で取り上げられ、最高裁判所も全国の地裁、簡裁に同様の事
例がないかの調査を指示したのでしょうか。
「強制執行」というのは、裁判所が資金を貸した側の申し立てによって、
借りた側の財産を強制的に差し押さえて、回収する手続きです。
そして、この強制執行を行うためには、『債務名義』というお墨付き(根拠
書面)が必要になります。 『債務名義』になるのは、①賠償を命ずる判決、
②公証人が作成する公正証書、③簡裁が出す支払督促、等です。
①の「判決」は、裁判に基づいて作成されます。 ②の「公正証書」は、
国の認めた公証人という資格者が、二人の立会人に立ち会わせたうえで作成
された、「支払に応じる」の記載された信憑性の高い書面です。
では、③の「支払督促」はどのように発行されるのでしょうか。
まず、発行するのは、簡易裁判所ではなく、簡易裁判所の書記官です。
そして、支払督促は、債務者を審尋(質問等での確認)をしないで発付され、
債務者に送達されます。(「公示送達(裁判所の掲示板に掲示して、2週間経っ
たら送達されたとみなす制度)」は使えません。必ず送達が必要です。)
つまり、書記官は債務者と接触することなく、債権者の書類のみに基づいて
手続きを進めます。
支払督促が発付された後、債務者から異議(督促異議⇒支払督促は効力を失
い、通常訴訟に移行する)がなければ、債権者の申してにより『仮執行宣言』
がなされます。
仮執行宣言付きの支払督促(2回目)は、債権者と債務者に送達されます(2
回目の支払督促は、公示送達も可能です。)
そして、この仮執行宣言付きの支払督促に対して債務者から異議(督促意義
⇒支払督促は失効せず、通常訴訟に移行する)がない、又は異議が裁判所で却
下されたときは、支払督促は『確定判決』と同一の効力を有し、債務者の財産
への差押えが可能になり、今回の事態にいたっています。
なお、今回の差押事件については、詐欺事件の被害者側が、「その目的物
(凍結預金)が債務者の責任財産ではないとして、強制執行の排除を求める訴え
(第三者異議の訴え)を起こしているようです。
最後に、今回の一連の報道を読んでの素朴な疑問なのですが、債権者は債務
者が詐欺事件で凍結されている預金資産を持っていること、および、その特定
の口座をどのように把握したのでしょうか・・・。 裁判所は、その存在を教
えてはくれません。
今回は、以上です。
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★リーガルリテラシーとは、
「自身の身や権利を守るための、最低限の法知識」
です。