(再)アフターコロナ 経営改善への道 13

(再)アフターコロナ 経営改善への道 13

記事
ビジネス・マーケティング

「計数計画の策定」をします。社長!

認定支援機関の主な支援業務の内容・プロセスについて、ご説明しています。
これまでに、
STEP 1  経営課題の把握
(1) 企業概要の把握
(2) 事業概況の把握
(3) 財務に関する概況把握 
(4) SWOT分析
(5) 窮境原因の把握と除去可能性

STEP 2 『経営改善計画書策定』 
(1) 経営改善の検討
    ① 事業内容の見直し
    ② 業務内容の見直し
    ③ 財務構造の見直し 
    ④ アクションプランの策定
(2) 計画書の策定
  ① 計数計画の策定
  ② 金融支援案の策定 

前回までに『経営改善計画書策定』の「アクションプランの策定」
まで、ご説明しました。
今回は、『計画書の策定』のうち、「計数計画の策定」についてです。
この項目では、「金融支援案の策定」も検討事項になるのですが、
各企業ごとにお借入の状況、金融機関さんとの関係、メイン行とそれ以外の
バランス等、個別ケースでの対応が不可欠となりますので、
今回は、ご説明を省かせていただきます。

経営改善計画策定の目的は、大きく分けると、
ア. 金融機関に承認される計画(合実計画・実抜計画)の策定
  → 金融機関の格付けが上位遷移して、金融取引正常化につなげるもの
  → 借り手側からすれば「追加の融資」を受けやすくするために、
    金融機関側からすれば「引当金」を少なくできるように、
    作成。[富太郎のコラム 経営のプチヒント6 『なぜ御社はプロパー
       資金を借りられないのか?』をご参照ください。]
  → クリアしなければならないハードル
   ① 3年以内に、黒字化 (「正常収益力」による)
   ② 10年以内(計画完了時)に、債務超過を解消(「実態財務」による)
   ③ 計画完了時に、債務償還年数が10年以内
      要償還債務とは、金融機関に返済する有利子負債から
      正常運転資金、現預金、換価性のある資産(有価証券など)を
      差し引いたものです。「実態財務」で計算されます。
      この返済財源の計算根拠には、「正常収益力」が使われます。
 イ. 経営課題の把握と、収益力の維持向上にまい進するために策定
 のケースに分かれます。 
 イ については、「簡便的な計数計画★」の策定でよろしいかと思います。

 計数計画を策定する場合は、まず、将来の「外部環境」「内部環境」を
考慮した成り行きベースの計画を策定し、その上で経営改善効果を定量的に
反映し、計数計画を完成させます。
(1) 原則 の手順
「A 損益計画」「B 貸借対照表計画」「C キャッシュフロー計画」の財務3表
を策定しますが、それぞれの計画ごとではなく、以下の手順で策定します。
① 製品別得意先別等で策定した「売上計画」に基づき『売上高』を算定 A
② 「人員計画」に基づき、売上原価・販売費に含まれる「人件費」を算定
  するとともに、その他の項目について「売上計画」をもとに「売上原価・
  販売費計画」を策定し『売上原価・販売費』を策定 A
③ 「資産の取得・売却計画」、「売上原価・販売費計画」の減価償却費に
  基づき『固定資産』を算定 B
④ 「資産の取得・売却計画」等に基づき、支払利息⑦以外の『営業外・
  特別損益』について計算 A
⑤ 『売上高』『売上原価』に基づき「運転資金計画」を策定し、「売上
  債権」「棚卸資産」「仕入債務」を算定 C
⑥ 各科目の内容・内訳に基づき『その他資産・負債』を算定 B
⑦ 「借入金返済額」については(現在の返済元金で)一旦仮置きし、
  借入金残高に基づき『支払利息』を算定 A
⑧ 繰越欠損金、税務上の加算減算項目を考慮し、「税金計画」を策定し、
  『法人税額』を算定 A
⑨ 「損益計画A」「貸借対照表計画B」に基づき「キャッシュフロー計画C」
  の『営業キャッシュフロー』『投資キャッシュフロー』を算定 C
  参考
  Ⅰ 営業キャッシュフロー
   (ⅰ)税引前当期純利益からスタート
   (ⅱ)減価償却費を加算
   (ⅲ)営業項目に関連しない特別損益項目を加減算
   (ⅳ)運転資金の増減額、その他流動資産・負債の増減額を加減算
   (ⅴ)法人税等の支払額を減算
  Ⅱ 投資キャッシュフロー
   (ⅵ)資産の取得にかかる支出額を減算
   (ⅶ)資産の売却にかかる収入額を加算
  Ⅲ フリーキャッシュフロー
    Ⅰ + Ⅱ
    (「営業キャッシュフロー」と「投資キャツシュフロー」の合計が
    「フリーキャッシュフロー」となります。)
  Ⅳ 財務キャッシュフロー
   (ⅷ)借入による収入を加算
   (ⅸ)借入金返済による支出を減算
⑩ 『フリーキャッシュフロー』に基づき「返済(可能)額」を確定し、⑦の
  『支払利息』、⑧の『法人税額等』、⑨の『営業キャッシュフロー』を
  再度算定 A
⑪ 「キャッシュフロー計画C」に基づき算定された『期末現金預金残高』を
  「貸借対照表計画B」に反映 B
⑫ 計画期間の『実質純資産額』『債務償還年数』を算定 
  ⇒ 合実計画・実抜計画への妥当性(チェック)

(2) 簡便的な計数計画★ 策定の手順
一定の条件下(*)では、財務3表を策定することはせず、「損益計画A」と
「簡易キャッシュフローD」のみを策定すれば、金融機関に容認される場合も
あります。
(*①金融支援案として暫定リスケを要請することを予定しており、
 ②技術的・時間的な制約があり、③重要な設備投資、運転資金の変動がない
 と見込まれ、④取引金融機関が財務3表は不要であると判断する場合)
上記、「原則」の手順のうち、
〇 「損益計画 A」
① 売上高
② 売上原価・販売費
③ (必要に応じて資産の取得・売却計画を策定)
④ 営業外・特別損益(支払利息以外)
⑤ 法人税等
⑥ (必要に応じて運転資金計画を策定⇒運転資金計画)
⑦ 支払利息   (借入金返済計画⇒簡易キャッシュフロー計画に基づき          
          返済可能原資を算定)
⑧ 実質純資産額、債務償還年数
〇 「簡易版キャッシュフロー計画 D」
・ 「損益計画 A」をもとに、 経常利益 + 減価償却費 - 法人税等
   + 運転資金増減額 - 設備投資見込額 + 資産売却収入
   + その他収入・支出  で計算します。
・ 運転資金増減額、設備投資見込額に重要性がない場合には、
  これらを考慮せずに「簡易キャッシュフロー計画」を策定することも
  可能と考えられます。

  まとめ
 「計数計画」とは、経営改善計画による改善効果を数値化した計画のことで
あり、「損益計画」「貸借対照表計画」「キャッシュフロー計画」の基本計画
(財務3表)とこれらを補助するサブ計画で構成されます。
 原則的には金融機関には、財務3表の策定を求められますが、一定の条件の
下では、財務3表を策定することはせず、「損益計画」と「簡易キャッシュフ
ロー計画」のみを策定すれば容認される場合もあります。

次回は、経営改善計画実施のための『経営管理体制の整備』について、
ご説明をする予定です。

                        以上、富太郎でした。

 参考資料・文献
〇 中小機構 『中小企業経営改善計画策定支援研修』テキスト、資料
〇 『金融機関が行う 経営改善支援マニュアル』
    日本政策金融公庫中小事業本部企業支援部[著] (きんざい)

☆ 過去に「ブログ」に投稿した内容の再掲示です。
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