「経営管理体制」を整備してください。社長!
認定支援機関の主な支援業務の内容・プロセスについて、ご説明しています。
これまでに、
STEP 1 経営課題の把握
(1) 企業概要の把握
(2) 事業概況の把握
(3) 財務に関する概況把握
(4) SWOT分析
(5) 窮境原因の把握と除去可能性
STEP 2 『経営改善計画書策定』
(1) 経営改善の検討
① 事業内容の見直し
② 業務内容の見直し
③ 財務構造の見直し
④ アクションプランの策定
(2) 計画書の策定
① 計数計画の策定
② 金融支援案の策定(説明省略)
前回までに、STEP2『経営改善計画書策定』
まで、ご説明しました。
今回は、STEP3『計画の実行・モニタリング』のうち、
(1)「経営管理体制の整備」についてです。
計画の履行を担保するためには、「自助努力」が不可欠になります。
[1] 経営者によるコミットメント
策定した「経営改善計画」を実行するためには、経営者の強い意思が
必要であり、企業内外へ計画の実行を約束することが重要です。
① 経営改善意識の創出
(ⅰ) 経営者が事実に真剣に向き合うこと、不都合な事実に
顔を背けないこと。
(ⅱ) 経営者の意識改革。過去の考え方、やり方に固執しないこと。
(ⅲ) 危機感、経営改善するというやる気と決意。
② 経営者のリーダーシップの発揮
③ 内外へのコミットメント
(ⅰ) 外部(主に取引金融機関)に対して、計画の実行・実現を
約束すること。
(ⅱ) 内部(主に従業員)に対して、現状の課題を共有するとともに、
計画の実行・実現を約束し、協力を仰ぐこと。
④ 計画の実行体制の整備
(ⅰ) 経営者のみでなく、キーマンとなる従業員とともに計画を
実行すること。
(ⅱ) アクションプランの現場への周知徹底。
[2] 経営管理体制の整備
企業が策定した計画を実行するためには、いわゆるPDCAサイクルを
実行することが必要です。
PDCAサイクルを実行するためには、「実績を管理」し、「計画と
実績を比較」した上で、「達成状況を確認」する『管理体制を整備』する
ことが必要です。
PDCAサイクルを実行する上で必要となる管理は主に下記4点です。
これらを最低限実施する必要があるため、実行するための管理体制を
整備する必要があります。
① 売上高・利益の採算管理
売上高を製品別・サービス別、得意先別、地域別等に把握していない
企業も多いと思われます。営業を強化すべき先を適時に把握するため、
最低限売上高については、製品別や得意先別に分けて把握することが
必要です。
利益については、卸売や小売等、売上原価が把握しやすい業種に
ついては、売上高と同じレベルで把握することが求められます。
製造業等は固定費を製品別に配賦することが困難な場合もあることから
最低限変動費については管理し、可能な限り「限界利益」を把握する
必要があります。
② 月次決算による損益管理
月次決算は、日次の会計処理を積み上げるのみで、決算処理を
実施していない企業も多いと思われます。
例えば棚卸資産について、期中は期首残高のままとし、期末時に実地
棚卸の結果で残高を洗い替えていることから、月次決算では適切な売上
総利益率を把握できていないケースがあります。
月次での業績集計が難しい場合には、四半期もしくは半期ごとに処理
を実施し、適時に適切な損益を把握する必要があります。
ただし、費用は主に固定費のため、売上高の把握だけで業績が把握
できる場合には、売上高の管理掌握に注力すれば、厳密な月次決算に
よらなくても十分な場合があります。
また、月次決算はなるべく早期に確定させる必要があります。早期に
実績を把握することにより、計画との差異分析を早期に実施し、
タイムリーに対策を講じることが可能となります。
③ 資金繰り実績・見込みの把握による資金管理
資金繰り見込を作成しておらず、支払日が近づいた時点で資金残高
不足していることに気づく場合があります。そのために、一定期間の
資金繰り見込みを把握し、資金不足が見込まれる場合には、早期に
金融機関に相談します。
資金繰り見込みの作成にあたっては、まず過去の年間資金繰り実績を
作成し、資金繰りの季節性等の特徴を把握します。その上で、損益計画
等に基づき、過去のトレンドに沿って資金繰り見込みを作成することに
なります。
④ 接待交際費、広告宣伝費、残業代等の裁量的経費と
役員報酬水準の管理
経営改善施策を実施しても、計画通りに効果が上がらず、実績が
計画値を下回るケースがあります。
多額に差異が生じている場合には、計画の見直しを行うことも
ありますが、交際接待費、広告宣伝費、残業代等経営者の裁量により
支出を抑えることができる経費や役員報酬については、柔軟に支出額を
変更し資金不足に対応できるように、管理統制を行う必要があります。
まとめ
策定した「経営改善計画」を実行するためには、経営者の強い意思が
必要であり、企業内外へ計画の実行を約束することが重要です。
また、従業員の協力を得て、全社一丸となって経営改善に取組むことも
重要です。
最低限の経営管理体制として、採算管理、月次決算、資金管理、裁量的
経費管理を実施する必要があります。
次回は、『モニタリング』について、ご説明をする予定です。
以上、富太郎でした。
参考資料・文献
〇 中小機構 『中小企業経営改善計画策定支援研修』テキスト、資料
〇 『金融機関が行う 経営改善支援マニュアル』
日本政策金融公庫中小事業本部企業支援部[著] (きんざい)
☆ 過去に「ブログ」に投稿した内容の再掲示です。