「下町ロケット」とか、「陸王」等ドラマの中で、主人公の社長が、
銀行にお金を借りに行っても、貸してもらえない。というシーンが
出てきます。
ドラマなので、銀行に意地悪をされて貸してもらえないように
(かなり誇張されて)描かれていますが、民間の金融機関側にも
貸せない事情があるのです。
各金融機関には、独自の約束事がありますし、政策的な意味合いから、
国からの要請で、「特別ルール」が適用されるケースもあるようですが、
今回は、基本的なルールに基づいて、ご説明させていただきます。
なぜ、借りられないか。
理由。貸したら銀行が損をするから。
『返さないとは言っていない。
これまでもちゃんと返してきているじゃないか!』
と、お怒りごもっともなのですが、
金融機関は、貸すのと同時に「回収できないリスク」に備えて、
『引当金』という経費を計上しなければいけないのです。
で、この『引当金』を何パーセント積まなければいけないか、
ということがルール化されていて(引当率は金融機関ごとに異なるよう)、
約上の(受取)利率よりも、『引当率』のほうが高ければ、
金融機関は貸せば貸すほど、損益計算上は赤字になってしまうのです。
金融機関と取引する企業は、決算内容等によって『格付け』
されています。そして、この『格付け』で引当率が変わります。
(自社の格付けについては、聞いても教えてくれないと思われます。)
これまでご説明してきた『正常損益計算書』が赤字だと、
それだけで格付けは、『要注意先』という区分になります。
『実態財務諸表』が「債務超過(資産 ≺ 負債)」でも、
格付けは、『要注意先』になります。
『要注意先』になると、融資残高の数%~40%程度
黙っていても引当金として、経費計上が必要になります。
(保証協会付きや、優良担保の付いた残高部分は除かれます。)
なお、いわゆる『正常先』でも、引当金はゼロではありません。
新規に融資を受けるときだけではなく、返済期間中に『赤字』や
『自己資本マイナス(債務超過)』となった時にも、格付けは変更され、
引当金の積み増しが必要になります。
従って、追加の融資は難しくなるケースが多いです。
借り手側からすれば「追加の融資」を受けやすくするために、
金融機関側からすれば「引当金」を少なくできるように、
作成するのが、『経営改善計画』です。
『経営改善計画』が、借入金融機関の全行に承認されると、
『格付け』が、1~2ランク引き上げられるので、
「要注意先」は「正常先」に引き上げられ、
『引当率』がグッと下がるという(金融機関側の)メリットがあり、
ひいては、企業側も融資が受けやすくなります。
ただ、『経営改善計画』は作って、各行の承認を受ければ
それでいいというものではなく、クリアしなければならない、
ハードルがあります。
① 3年以内に、黒字化 (「正常収益力」による)
② 10年以内(計画完了時)に、債務超過を解消(「実態財務」による)
③ 計画完了時に、債務償還年数が10年以内
要償還債務とは、金融機関に返済する有利子負債から
正常運転資金、現預金、換価性のある資産(有価証券など)を
差し引いたものです。「実態財務」で計算されます。
また、この返済財源の計算根拠には、「正常収益力」が使われます。
④ 毎年の計画達成率おおむね80%以上
以上が前回の最後にお話しした、「正常収益力」「実態貸借対照表」が、
『融資判断』と『経営改善計画』のベースになるということの意味合いです。
ただ、小規模企業の場合には、
赤字でも「返済能力について、特に問題がない」と認められるケースでは、
「正常先」と判断される可能性もあるようです。
次回からは、この点も踏まえて、金融機関等から見たプラスの評価材料。
「財務諸表」には計上されない『資産』である「知的資産」について、
中小企業診断士の研修で学んできた情報について、
還元させていただきたいと思います。
以上、富太郎でした。
☆ 過去に「コラム」に投稿した内容の再掲示です。