第17回公募 小規模事業者持続化補助金〈一般型〉のガイドライン

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1.はじめに

「小規模事業者持続化補助金(一般型)」の第17回公募が、2025年5月1日より開始します。
販路開拓や経営戦略そのものをブラッシュアップする好機にもなり得るため、地域の商工会・商工会議所と連携しながら取り組むことで、より充実した支援を受けることができます。今回は、最新の公募要領(第17回公募)を踏まえ、注目するポイントや申請時の注意点を整理してみました。

2.制度概要と申請のねらい

「小規模事業者持続化補助金(一般型)」は、販路開拓のための取り組みを中心に、そこから派生する**業務効率化(生産性向上)**にも活用できる国の補助制度です。昨今注目されるインボイス対応や賃金引上げといったテーマとも連動するため、事業の持続性を高める一手として利用が期待されています。

対象者の主な要件

小規模事業者であること

製造業・建設業・運輸業など:常時使用する従業員が20人以下

商業・サービス業:常時使用する従業員が5人以下

商工会・商工会議所の管轄地域で事業を営んでいる

資本金の上限や組織形態など、公募要領で定める条件を満たす

医療法人や特定の組合など、対象外となる法人形態もあります。申請前に必ず確認しましょう。

3.補助金額と補助率

通常枠

補助率:2/3

上限:50万円

特例(インボイス登録特例)

最大+50万円

特例(賃金引上げ特例)

最大+150万円

上記特例を両方満たす場合

最大+200万円

合計最大

250万円(通常50万円+200万円)

特例を申請する場合は、申請時だけでなく、実績報告や事業終了後の報告時点でも要件を満たすことが求められます。未達成時には補助金返還や他補助金の減点などのリスクがあるため、計画をしっかり策定する必要があります。

4.補助対象となる事業と経費

対象となるのは、「販路開拓の取り組み」およびそれと併せて行う「生産性向上」に資する事業です。具体的な経費区分としては、次のようなものがあります。

機械装置等費

新商品を製造するための設備、ITツール等

単なる買い替えや維持費は不可。販路拡大や生産性向上に繋がるかが大切

広報費

チラシ、看板、SNS広告など

新たな顧客獲得・販促活動であることが明確である必要がある

ウェブサイト関連費

ECサイト構築、サイトリニューアル、SEO対策など

申請する総額の1/4(最大50万円)が上限

展示会等出展費

出展料やブース設営費、出張費など

展示会での具体的販路拡大計画を添えるのが望ましい

委託・外注費

デザイン制作、システム開発、翻訳など

見積書、契約書、納品書といった証憑書類をきちんと整備しておく

なお、経費の対象期間は交付決定通知後から事業実施期限までとなり、事前発注・事前支払いは補助対象外になるため要注意です。

5.公募スケジュールと流れ

公募要領によれば、第17回公募は2025年6月13日(金)17:00までの申請受付となっています。申請は電子申請システムが必須で、GビズIDプライムを利用します。

大まかな手続の流れ

商工会・商工会議所へ相談(必要に応じて)

事業計画(経営計画書・補助事業計画書)の作成

商工会・商工会議所から「事業支援計画書(様式4)」を受領

電子申請システムで提出

採択・交付決定通知後に事業開始

実績報告・経費精算 → 補助金額確定

1年後の効果報告(賃金引上げ等)

提出書類や様式の誤りがあると不採択につながる可能性があるため、公募要領と申請マニュアルをよく確認しましょう。

6.審査で重要視されるポイント

審査では、公募要領に示されている以下の観点が特に重視されます。

経営方針・計画の妥当性

市場分析や自社の強み・弱みを客観的データとともに整理

具体的かつ新規性のある取り組み

売上拡大・顧客獲得に繋がるかどうかが明確であること

費用対効果

補助を受けることで、どの程度の業績拡大や生産性向上が見込めるか

地域への経済効果・波及性

地域雇用や地元取引先の活性化に繋がる取り組みか

賃金引上げやインボイス特例の達成可能性

特例を申請する場合、実際に達成する具体策が伴っているか

7.よくあるつまずきポイント

申請や実施の過程で見落としがちな点を以下に挙げます。

交付決定前の契約・支払い

1円でも契約が先行すると、全体が補助対象外になるリスクあり

ウェブ関連費の上限計算ミス

ECサイトやSNS広告費が多い場合、1/4ルールを見落としがち

書類不備や添付漏れ

見積書、契約書、請求書、支払証拠など証憑類の管理が不十分

賃金引上げ特例を申請したが実施できない

未達成時は補助金返還や他補助金の申請時に減点される可能性あり

事業計画書の説得力不足

目的や具体的数値目標の設定、実行手順の提示があいまいだと審査が厳しくなる

8.行政書士の観点

小規模事業者持続化補助金は、補助対象となる費用の幅が広く、事業規模の拡大や体質強化に貢献する一方で、公募要領の読解や書類整理、実績報告書の作成などに時間と労力がかかります。
行政書士は、法律や行政手続の専門家として、事業者が補助金のルールを理解し、要件を適正に満たすためのアドバイスを行うことができます。また、法令を踏まえた経理処理や証憑管理の面でも、スムーズな進行を図る視点を持っています。

9.まとめ

小規模事業者持続化補助金〈一般型〉は、販路開拓と生産性向上を同時に狙える制度として、事業を発展させる大きなチャンスとなります。特に、インボイス登録や賃金引上げを計画している事業者にとっては、特例も活用できるためメリットが大きい一方、要件を満たさなかった場合のペナルティリスクも注意が必要です。

十分な事前準備と、公募要領・マニュアルの熟読が採択のカギとなります。どのように書類を作成し、どのように経費を区分し、どのタイミングで手続きを行うかなど、具体的なポイントを押さえながら計画的に進めてみてください。
補助金申請にあたっては、ご自身で必要書類や要件をよく確認し、必要に応じてプロに任せる等、適切に進めるよう心掛けましょう。
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