年金から学ぶ攻めと守り

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生き物は状態が乱されるとき、もとに戻すような生理機能が常に働きます。これをホメオスタシス (恒常性) といいます。もっと簡単に言うと現状維持機能です。生物の最も優先順位の高い活動は「生き続けること=死なないこと」です。だから脳は全力で変化を阻止しようとします。今生きているならそれでいいわけで、変化は死のリスクを高めると脳は判断する。そして生物のもう一つの重要課題は「種の保存」。若い世代にバトンタッチして種を維持・繁栄させる。年上は年下のために生きている。若い個体が老齢の個体の世話をするのは人間だけだそうです。以上を総合すると、「生物は変化を避けつつ、若者に引き継いでいく」となりそうです。

つまり何万年も同じ状態でいる種は大成功、ということ。でも人間は変化の繰り返しで繁栄してきた。変革・進化の連続です。動物は、食欲などの生理的欲求が支配していますが、人間には段階がある。マズローの欲求段階説(所属、承認、自己実現など)のようなものですね。人間には欲求の発展がある代わりにリスクもある。だから保険が発明されたのかもしれません。

社会保険についてざっくり考えてみましょう。社会保険は社会全体(国)が、困っている人をカバーする仕組です(ここでは生活保護などの狭義の社会福祉は除く)。あくまで保険なので、貯蓄とは異なります。リスクは、病気、障害、死亡、老齢など。病気に対しては健康保険、障害、死亡、老齢については年金保険です。老齢も保険なんです。「もしも長生きしてしまった場合」に備える保険。世の中で議論されるのは、この老齢年金ばかりです。元々若者10人で高齢者1人の面倒をみていた。それが騎馬戦になって、今や肩車(1人が1人を支える)。だから年金は破綻するという議論です。でも国そのものが財政破綻(デフォルト)しない限り、年金は破綻しません(手つかずの積立金も170兆円ある)。そもそもそんな議論をしているのは日本だけらしい。

年金財源は、徐々に保険料から税金にシフトするのでしょうか。最近読んだ本によると、当事者(年金受給者)も同じく負担する必要があるので、消費税増税になるのが自然だそうです。将来的には欧州なみの20%超えですかね。結局生物である限りホメオスタシスが働くので、リスクを回避するための保険を重視しがちです。ここで重要なのが3つの人生観。①人生は1回限り、②人はいつか必ず死ぬ、③いつ死ぬかはわからない。②③だけだと「種の保存」重視で守りになります。でも①が加わると一気に攻めの発想になる。ある程度保険を掛けたのだったら、思い切って変化にも挑戦したいですね。
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