「本当は、もう分かっているんじゃないですか」
定年が視野に入ってきて、副業のことを考え始める。ネットで調べる。本を読む。セミナーに申し込む。
そうやって情報を集めているとき、心のどこかで、こんな声が聞こえていないでしょうか。
「これ、前にもやったことがある気がする」
僕自身、その声を10年以上無視し続けました。アフィリエイト、せどり、転売。稼げそうだと思うたびに講座やツールを買い、少し試してはうまくいかず、また次の「稼げそうなもの」を探す。いわゆるノウハウコレクターです。
定年が近づいてきたとき、ようやく気づきました。このままだと、会社を辞める日を迎えても、僕はまだ「探して」いる。
この記事では、僕が10年かけて気づいた、50代から副業を始める人が最初にやってはいけないことを書きます。読み終えたとき、自分が今どちらの入り方をしているか、はっきり分かるはずです。
この記事で扱う範囲
副業を考え始めたとき、多くの人がまず情報収集から入ります。おすすめランキング、稼げるジャンル、成功者の体験談。
これ自体は悪いことではありません。問題は、情報収集が「次に何をするか」を決めるための手段ではなく、それ自体が目的になってしまうことです。
情報を集めている間は、失敗しません。行動していないからです。だからこそ、いつまでも続けられてしまいます。
僕はこの状態に10年いました。講座を買った瞬間は前進した気がします。でも、買うことと動くことは別物です。気づけば、使ったお金より、失った時間のほうがずっと重くのしかかっていました。
このまま同じ入り方を続けると、50代のうちの数年をまた同じように使うことになります。20代の数年とは、重みがまったく違います。
今日扱うのは、次の3つです。
1つ目は、稼げそうな副業を「探すこと」から始めてしまうこと。
2つ目は、経験の棚卸しをせずに、好きなことやランキングだけで選んでしまうこと。
3つ目は、準備や道具を先に整えて、動く前に満足してしまうこと。
この3つには共通点があります。どれも一見、前向きな行動に見えることです。情報収集も、慎重な検討も、しっかりした準備も、真面目に取り組んでいるように見えます。だからこそ、遠回りしていることに、なかなか気づけません。
もう一つ付け加えておきたいのは、この3つは順番に起きるとは限らないということです。情報収集をしながら準備も並行して進め、たまに経験を振り返る、というように、同時進行で絡み合っていることも多いです。どれか一つを直せば解決するわけではなく、3つとも視野に入れておく必要があります。
この3つを避けるだけで、遠回りの大部分は防げます。順番に見ていきます。
やってはいけないこと1:稼げそうな副業を「探す」ことから始める
結論から言うと、副業選びを情報収集から始めると、高い確率で止まります。
「稼げる副業ランキング」は、誰かにとって稼げた順番です。そこにはあなたの時間、体力、経験、避けたい条件は考慮されていません。
僕の場合、ランキング上位のものを次々に試しました。アフィリエイトが流行れば飛びつき、せどりが話題になれば教材を買う。基準を自分の中ではなく、外の情報に預けてしまっていたんです。
基準を外に預けると、うまくいかなかったときに「なぜ続けるべきか」という自分の理由が残りません。だから簡単にやめて、また次を探してしまいます。
さらに厄介なのは、探している間は「頑張っている」という実感があることです。毎日新しい情報を仕入れ、比較検討している自分を、努力しているように感じてしまう。実際には、一歩も前に進んでいないにもかかわらず、です。この感覚があるからこそ、何年も同じ場所にとどまり続けてしまいます。
やってはいけないこと2:経験の棚卸しをせずに選ぶ
「好きなことを仕事にしよう」という言葉は、副業選びでもよく使われます。
ただ、好きなことは、必ずしも自分がすでに持っている強みとは限りません。好きで始めたジャンルに、経験ゼロの初心者として入ることになりがちです。
20代なら、初心者から何年もかけて育てる時間があります。50代にその時間の余裕はそう多くありません。
僕は10年、自分の会社員としての経験にはほとんど目を向けず、外側にある「稼げそうな方法」ばかり探していました。公的機関での実務、GASやAIを使った業務改善、情報整理や文章作成。振り返れば、そこにすでに使える土台があったのに、です。
好きなことより先に、自分がすでに積み上げてきたものを確認する。この順番を間違えると、ゼロからのスタートを自ら選ぶことになります。しかも厄介なことに、ゼロから始めていること自体には、なかなか気づけません。「新しい分野に挑戦している」という前向きな感覚の裏で、実は一番遠回りな道を選んでいる、ということが起こります。
やってはいけないこと3:準備や道具を先に整える
3つ目は、動く前に準備を完璧にしようとすることです。
道具を揃える、勉強を続ける、環境を整える。どれも一見、前向きな行動に見えます。ただ、準備には終わりがありません。準備が終わらない限り、失敗も確定しないので、いつまでも安全な場所にとどまれてしまいます。
僕が講座やツールを買い続けた10年も、実はこの構造でした。「まだ準備が足りない」と思い続けている限り、動かなくても自分を責めずに済んだんです。
でも、それは前進ではなく、足踏みでした。準備という言葉は都合がよく、いくらでも続けられます。今日の準備が終われば、明日はもっと良い準備が見つかる。この連鎖に、終わりはありません。
なぜこの3つに気づきにくいのか
3つのやってはいけないことに共通しているのは、どれも「動いていない」のに「動いている気がする」ことです。
情報を集めることも、慎重に選ぶことも、準備を整えることも、忙しさや達成感を伴います。カレンダーは予定で埋まり、本棚には資料が増え、フォルダには教材が溜まっていく。目に見える変化があるからこそ、前に進んでいる錯覚が生まれます。
一方で、実際に人に会う、実際に何かを作って渡す、実際にお金をもらうという経験は、この3つのどれにも含まれていません。動いている感覚と、実際に動いていることの間には、はっきりとした差があります。この差に気づけるかどうかが、遠回りするかどうかの分かれ目です。
誤解のないように付け加えておくと、情報収集や準備そのものが悪いわけではありません。問題になるのは、それが「動く前」に無限に続いてしまうことです。実際に動き始めたあとの情報収集は、目的がはっきりしているぶん、必要な情報だけを効率よく拾えるようになります。順番さえ間違えなければ、情報収集も準備も、本来はとても有効な手段です。
では、何から始めればいいのか
この3つをやめた先に、僕が実際にやったのはシンプルなことです。
外の情報を探すのをやめて、自分の中にすでにある経験を書き出す。そして、やりたいことではなく、避けたい条件から候補を絞る。
たとえば、体力を使う作業を続けられるか。人と直接やり取りする働き方が向いているか。初期費用にいくらまで出せるか。
こうした条件は、すでに自分の中に答えがあります。探しに行く必要がないぶん、迷う時間がぐっと減ります。
僕の場合、この整理を先にしていれば、せどりや転売は最初から候補に入らなかったはずです。在庫を置く場所も、荷物を運ぶ体力の余裕も、もともとなかったからです。
10年かけて気づいたことに、もっと早くたどり着けたはずでした。
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最初の一歩チェックリスト
・今、自分がやっているのは「情報収集」か「行動」か
・その情報収集は、次の行動を決めるためのものか、それ自体が目的になっていないか
・経験の棚卸しをする前に、ジャンルを決めようとしていないか
・「準備が足りない」という感覚は、実際の不足か、それとも動かない言い訳になっていないか
▲ここまで
今日は、副業のジャンルを決める必要はありません。上のチェックリストの4つに、正直に答えてみてください。当てはまる項目があれば、それが今の自分の遠回りのパターンです。
まとめ
50代から副業を始めるとき、最初にやってはいけないのは、稼げそうなものを探すこと、経験の棚卸しを飛ばすこと、準備を先に整えすぎることです。
どれも、一見前向きに見えて、実は動かないための理由になりやすいという共通点があります。動いている感覚と、実際に動いていることの間には、思っている以上の差があります。
大切なのは、外に答えを探しに行くことではなく、すでに自分の中にある経験や条件に目を向けることです。
僕自身、それに気づくまでに10年かかりました。この記事を読んだあなたには、同じだけの時間は必要ありません。
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