【教養としての読書】バルファキス「父が娘に語る経済の話」

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ビジネス・マーケティング
大企業産業医、かつ内科専門医のココナラドクターです。
今日は、ギリシャの元財務大臣の父親が、10代の娘に経済について語った本
「父が娘に語る経済の話」”Talking to My Daughter about the economy"をお届け。

特徴は
◎型破りの経済学者 ヤニス・バルファキス作
◎「弱い人のために戦う経済学者」として知られる
◎出版されたのは2013年、リーマンショックの影響でギリシャ危機に直面した頃
◎資本主義のかわりに、「市場社会」という言葉が使われる

今から12000年、農耕が始まり、穀物を備蓄することができるようになった。
余った穀物は将来のために倉庫に貯蓄する。
それまでの、狩りで得た動物や魚、木の実や野菜の収穫は余剰を生み出さないことに注目だ。

農作物の余剰は、人類を永遠に変えるような制度をたくさん生み出した。
文字、債務、国家、通貨、官僚制、軍隊、宗教といったものだ。

余剰作物の記録をしようと文字ができ、
今年作物があまりできないと、他から借りて債務ができ、
貸し借りは信用がないとできないので、信用を置ける仕組みとして国家が生まれる。
債務の仕組みから通貨という制度が生まれるというわけだ。


暮らしに必要なものは自分たちで作る、そんな時代が変わっていく。
15世紀、大航海時代が始まり、貿易で違う国のものが手に入る時代になる。
18世紀の半ば、産業革命により、市場で売るための「商品」を大量生産する時代になった。これが市場社会の誕生である。

スコットランドやイギリスの領主たちは、利益を求め、効率化を図る。
農民に命じて野菜作りを行うことをやめ、羊を大量に飼い、羊毛を借り、織物にして輸出するようになる。
農耕地から追い出された農民は、持っていた土地と自分の働きぶり(時給や日給)にお金をつけて、売るように。ある意味、領主に従っていた奴隷制度から解放されたといえる。

領主たちは企業家として、事業を発展していくため、借金が必要になる。
お金を貸す側として、銀行という制度が誕生する。


◎バルファキスの娘と船長の話
バルファキス一家が海辺で食事をしていると、知り合いの船長から
「錨に結び付けていた縄が切れてしまった。
ダイビングが好きな君にお願いなんだが、僕は潜れないから、
代わりに結んできてくれないか?」と娘が依頼される。
喜んで潜ってきた娘。
父は思う。「あのとき、船長がお金を払うといってきたら、
あのちょっとした冒険の、ドキドキ感やワクワク感は損なわれていたよね。」
例えば人助けを筆頭として、世の中の価値のすべてが、お金で交換できる交換価値ではないと語る。


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