実際にご依頼いただいた案件をもとにした事例紹介です。ご相談時の状況から内定までの経過に沿って、応募書類をどのような考え方で作成したのかを書いています。ご自身と近い経歴の事例があれば、依頼を検討する際にお読みください。
※個人が特定されないよう、内容を変更している箇所があります。
№4.フリーター(アルバイト掛け持ち)から販売職の正社員へ|書く内容がないと悩んでいた方の事例
■ ご相談時の状況
最初にいただいたメッセージには、履歴書に書けることが何もない、と書かれていました。学校を卒業してから、アルバイトを掛け持ちして働いてきた方です。ご自身の人生をじっくり考えるのは今回が初めてで、書類の書き方以前に、そもそも書く内容がないことへの不安を抱えていたそうです。何から手をつければよいのかも分からない中で、正社員の求人を見ても、応募する前に「やる気」が無くなったということでした。
同じ悩みを抱える方は、とても多くいらっしゃいます。マイナビの「フリーターの意識・就労実態調査(2026年)」では、本来は正社員を希望していたフリーターが約3人に1人いて、そのうち15~34歳の若年層がアルバイトで働いている理由は、「正社員の仕事に対する自信がないから」が34.8%で最も多くなっていました。
■ 先週のシフトから、書く内容を拾い出す
書く内容がないとおっしゃる方に、いきなり強みを伺っても、うまく答えられないものです。ご自身の人生をじっくり考えるのが初めての方であれば、なおさらです。
そのため今回は、先週のシフトを伺うところから始めました。どこで、何曜日の何時から何時まで働いていたのかを、1日ずつ教えていただきました。答えやすい質問を続けるうちに、2つの職場での働き方が見えてきたのです。
昼間は雑貨店で販売を担当し、夕方以降は飲食店で働いて、週のほとんどをどちらかの職場で過ごしていたそうです。2つの職場は、シフトの提出日も勤務形態も違います。先に決まる職場のシフトを見てから、もう一方の希望を出していたということでした。急に欠員が出たと相談されたときは、もう一方の職場と調整して、入れる日を作っていたそうです。
ご本人は、生活のためにやりくりしていただけだとおっしゃっていました。ただ、フリーターの応募書類を読む採用担当者は、長く続けて働けるのか、任された仕事を責任を持ってこなせるのかを気にするものだと思います。2つの職場の予定がぶつからないように調整し続けてきたことは、勤怠を自身で管理できることの裏付けになります。週のほとんどを働いて過ごしてきたことも、働く意欲、そして体力(健康状態に問題無し)を伝える材料です。
販売の仕事についても、出勤してから退勤するまでの1日を順に伺いました。雑貨店では朝礼でその日の売上目標が共有されていて、届きそうにない日は、レジでの声かけを増やしたり、手に取られやすい場所へ商品を移したりしていたそうです。アルバイトの立場でも、店の売上を自身の仕事として捉えていたことが分かります。
書類に書ける内容は、ご本人が何もないと思っていた毎日の勤務の中から見つかりました。
■ 正社員の求人は、職種によって倍率が違う
書く内容が見えてきたところで、次は応募先の考え方に移りました。
数字で見ると、フリーターから正社員を目指しやすい状況になってきています。総務省の労働力調査では、2025年平均の正規の職員・従業員数は3708万人で、前年から54万人増え、11年連続の増加となりました。一方で、同じ調査の詳細集計を見ると、15~34歳のフリーターは139万人で、前年より3万人増えています。正社員の採用は増えていても、アルバイトから正社員に移れていない若年層も多くいるということです。
求人の側を見ると、厚生労働省の一般職業紹介状況(2026年8月分)では、正社員の有効求人倍率は1.00倍でした。この計算に使う求職者には派遣や契約社員を希望する方も含まれるため、厳密な意味での正社員の倍率は、これより高くなります。
ただ、職種別に分けて見ると、数字は異なります。2026年7月の職業別の有効求人倍率(パートタイムを除く常用)では、一般事務の職業が0.28倍だったのに対し、商品販売の職業は1.91倍、営業の職業は2.20倍、接客・給仕の職業は1.63倍でした。一般事務では求職者約3.6人に対して求人が1件、商品販売では求職者1人に対して求人が約2件ある計算です。同じ正社員を目指す場合でも、どの職種で探すかによって、倍率には7倍近い差があるわけです。
■ 応募先は、雇用形態から逆算して探す
アルバイトから正社員を目指す場合、業種から探し始める方も多いと思います。雑貨が好きだから雑貨店、接客に慣れているから飲食店、といった探し方です。この順番で探すと、業種で絞り込んだ段階で正社員の求人が限られ、応募できる先がほとんど残らないこともあります。
今回は、これまで業種→職種→雇用形態の順で探していたところを、雇用形態→職種→業種の順に入れ替えていただきました。まず正社員であることを最初の条件に置き、次に、アルバイトの経験が活きる職種を挙げていきます。業種は、その後で考えれば十分です。
今回の方の場合、販売や接客に加えて、売上への意識やシフトの調整が活きる営業職や店舗運営の求人も候補に入りました。先ほどの倍率に当てはめると、商品販売、営業、接客・給仕は、いずれも求職者1人に対して求人が1件を超えています。業種を限定しないでこれらの職種を横断して探したことで、応募できる求人の数は、業種から探していたときより増えました。
この探し方では、正社員として長く働くという目的を最初に決めておくことを大事にしました。目的が先に決まっていれば、業種が違う求人を見比べるときも、同じマイルールで選ぶことができます。
■ どの応募先にも伝わる書類にする
業種も職種も異なる応募先へ出す以上、書類には、どの応募先にも伝わる軸が必要になります。
職務経歴書では、2つの職場での勤務を分けて記載しています。それぞれの業務に加えて、シフトの調整や欠員への対応、売上目標に届きそうにない日にレジでの声かけを増やしたことまで書き込みました。正社員の販売職は、経験を積むとシフトの作成や売上管理も任されるようになりますので、アルバイトの段階ですでにその一部に関わっていたことが伝わる構成にしています。
履歴書の職歴欄には、アルバイトの経歴も書いています。正社員の経験がない場合は、アルバイトも職歴欄に書いておくと良いと思います。空欄にしてしまうと、学校を卒業してから何をしていたのかが読み手に伝わらないからです。つまり、空白期間をつくるよりも、何かしらは書いておいた方がいいということです。
自己PRは、2つの職場を両立させてきた経験と、売上への意識の2点を軸にしました。どちらも、業種や職種が違う職場でも求められる働き方です。志望動機は応募先ごとに書き分ける必要がありますので、納品時のポイント解説で、書き分けるときの考え方もお伝えしました。
■ 結果
販売職を含め、業種も職種も異なる複数の企業から内定を獲得されています。応募先を業種で限定しないで探したことで選択肢が増え、複数の内定を比べて選べる状況になりました。最終的には、それぞれの条件や仕事内容を見比べた上で、販売職の正社員を選ばれています。
ご本人からは、選択肢があること自体が自信に繋がり、視野が開けて、前を向いて動けるようになったという感謝の言葉をいただきました。最初のメッセージで書けることが何もないと書かれていた方が、複数の内定を選べるようになったのですから、転職活動の戦略というのは大変重要ということです。
■ おわりに
アルバイトの経験しかないことで、単純に自信が無い方は多いと思います。ただ、正社員の求人は職種によって倍率が違いますし、毎日の勤務の中には、書類に書ける要素は必ずあります。探す順番を変え、書く内容を洗い出すことで、転職活動の方向性や、自分の強みを再認識することができます。
履歴書・職務経歴書の作成を依頼いただくことで、結果的にキャリアの選択肢が増える、そして効率的かつ的確な転職活動ができる、さらに新たな人生の目標が見えてくる、という複合的な効果が生じます。転職活動をするか、しないかで迷っている時点でも、ぜひお声掛けください。それが人生の転機になります。
以上、ご覧いただきありがとうございました。
「過去を自信に」by中条