実際にご依頼いただいた案件をもとにした事例紹介です。ご相談時の状況から内定までの経過に沿って、応募書類をどのような考え方で作成したのかを書いています。ご自身と近い経歴の事例があれば、依頼を検討する際にお読みください。
※個人が特定されないよう、内容を変更している箇所があります。
№2.アパレル販売から人材業界のキャリアアドバイザーへ|話すのは得意でも、書けなかった方の事例
■ ご相談時の状況
転職を考えたきっかけは、休みの取りづらさでした。店舗販売ですから、土日祝はもちろん出勤です。ゴールデンウィークも年末年始も休めません。シフト制なので来月の休みが決まるまでに時間がかかりますし、社員となればアルバイトの欠員が出たときの穴埋めもあります。友人と遊びに行く予定を立てるだけでも不便に感じていたそうです。この働き方をあと40年近く続けるのは率直に難しい、というのが出発点でした。
一方で、仕事の中身が嫌だったわけでは無いということでした。人と接することは好きでしたし、昨年対比の売上を頭に入れて、今日の売上額や顧客単価をどう上げるかを考えて働くことにも面白さを感じていたそうです。実際、店舗内では売上トップだったそうです。
働き方も大事だけれど、それと同時に、より人に関われる仕事であれば長く働けるのではないか。そう考えた結果、人材業界のキャリアアドバイザーという組み合わせにたどり着き、転職を決められました。
ただ、生成AIで書類を作ってみたものの、思うような仕上がりにはならず、選考通過も芳しくない状態でのご相談でした。
■ 休みの取りづらさは、業態の性質が大きく影響する
ここで、アパレル業界の年間の動きを見ておきます。繁忙期は、夏のセールが始まる7月と、福袋や初売り、冬のセールがある12月から1月です。閑散期は「ニハチ」と呼ばれる2月と8月で、セール終了後は客数が大きく減ります。
お気づきでしょうか。繁忙期が、世間の休みとぴったり重なっています。年末年始も、クリスマスも祝日も、店が最も混む日です。そういう日に休みを取れるわけがありません。
そして、休みが取れない中でシフトがぎりぎりで回っている点は、業界の収益環境を考える必要があります。帝国データバンクの業界動向によりますと、アパレル業界は国内市場の縮小が続く中で、過剰在庫や値引き販売による収益低下が常態化しており、原材料費や物流費、人件費の上昇が利益を圧迫しています。2022年以降の円安と原油価格の高騰で、原材料の調達費用や海外での製造費用が上がったことが背景にあります。
利益が圧迫されている中で、店舗の人件費を増やす判断はなかなかできません。結果として、限られた人数でシフトを組むことになり、誰かが休めば誰かが埋める働き方になります。ご相談者が感じていた不便な点は、ご本人の職場だけの問題ではなく、業界の収益環境から来ているものです。
一方で、販売チャネルは選択肢が増えています。経済産業省の調査によりますと、2024年のアパレルECの市場規模は2兆7,980億円、EC化率は23.38%で、物販系全体の9.78%を大きく上回っています。ただ、市場が伸びている中でも企業間の二極化は進んでいますので、EC化率が高い会社であれば安泰、という単純な話ではありません。
今回のご相談者は、業界全体の課題を意識して転職を考えたわけではありません。あくまで休みの取りやすさが一番のネックでした。ただ、その休みの取りづらさは店舗販売という業態の特性から生まれているものですから、会社を変えても、店舗販売である限り同じことになります。カレンダー通りに休める仕事を探す場合、私がお伝えしているのは次の3点です。
1.顧客が個人か法人か
個人のお客様を相手にする仕事は、お客様が動く土日祝が稼ぎ時になります。法人相手であれば、先方も平日稼働ですから、自然と平日中心の働き方になります。業種で探すより、この軸で見た方が手っ取り早いです。ちなみに、キャリアアドバイザーの場合の収益発生の源は法人顧客です。
2.シフトで人を配置する業態かどうか
店舗や施設に人を張り付ける業態では、誰かが欠ければ誰かが埋めることになります。ご自身の休みが他人の都合で動くのは、この特性が原因です。
3.繁忙の波が、世間の連休と重なるかどうか
求人票の「年間休日◯日」を見ても、この部分は分かりません。その会社が忙しくなる時期がいつなのかを確認してください。
今回の方は、ご自身でこのステップを経た上で人材業界にたどり着かれていましたので、結果的に良い選択になっていました。
■ キャリアアドバイザーの働き方を確認した
ただ、キャリアアドバイザー職の中身については、まだ見えていない部分もありました。キャリアアドバイザーが対応する「求職者(転職を考えている人)」の多くは在職中ですから、面談が平日の夜間に入ることもあります。この点をお伝えしたところ、平日の勤務時間が多少増える分には問題ない、自分が重視しているのは休みの見通しが立ちやすいことだ、という答えでした。
ここが確認できましたので、書類の作成に入っています。この確認をせずに書類を作ってしまいますと、内定が出た後で「思っていた働き方と違う」となりかねませんからね。
■ 売上トップの方が辞めることを、採用担当者はどう読むか
ここからが今回の山場です。この方は店舗内で売上トップでした。販売職として結果を出している方が、その仕事を離れて人材業界へ行きます。採用担当者はまず、なぜ辞めるのか、うちでも同じ理由で辞めないか、と考えます。
しかも辞める理由が休みの取りづらさとなりますと、採用担当者の懸念はさらに大きくなります。キャリアアドバイザーも、先ほど書いたとおり平日夜間の面談が入る仕事です。ここを甘く見て入社した方が早期に辞めるパターンは、人材業界の採用担当者が最も警戒するところでしょう。
そのため私は、応募書類に転職理由を書きませんでした。原則として、応募書類に転職理由や退職理由は入れません。本来アピールすべき強みよりも、辞めた理由の方が読み手の印象に残ってしまうからです。
書類で重視したのは、売上トップという結果と、その結果をどう作ったかです。つまり、売上創出までの「経緯」を重点的に記載したということです。転職理由は面接で聞かれたときに、事実としてお答えいただく形にしました。休みの見通しが立つ働き方を求めていること、そのうえで応募先の勤務実態も確認済みであること。ここまで伝われば、逃げの転職ではないと分かっていただけます。
■ 販売職と人材紹介で、決定的に違う部分
似ている部分から書きます。人と接すること、そして売上意識を持って仕事をすることです。この方が働いていた会社は店舗としての売上ノルマがあり、常に売上を気にしながら業務にあたっていました。数字を追う職場で結果を出し続けてきたわけですから、ストレス耐性の面でも強みがあります。
一方で、決定的に違う部分があります。お金を払う相手です。
アパレルの店頭では、接客したお客様がそのまま代金を払ってくださいます。喜んでいただくことと売上を作ることが、同じ行為の中で成立する部分もあったかと思います。人材紹介は違います。職業安定法により、求職者から手数料を取ることは原則として禁止されています。手数料を支払うのは採用する企業側です。つまり、面談で向き合う相手と、手数料を支払ってくれる相手が別になります。
金額の規模も変わります。人材紹介の手数料は理論年収の30%から35%が相場ですので、理論年収500万円の方を紹介すれば、35%で175万円の売上になります。ショッピングモールのアパレル店舗で1回の接客に動く金額が数万円規模だとすれば、桁が2つほど違う計算です。しかも複数の案件を同時並行で進めることが求められます。
ここは、面接で必ず確認される部分です。「人に関わりたい」という動機だけで応募してきた未経験者は、この違いを知らないまま面接に来ることも多いでしょう。求職者に寄り添いたいという気持ちと、企業から数百万円の手数料をいただく仕事であることは、両立させなければならない話です。
今回の方には、売上トップという実績がありました。数字を作れる方だという証明があるからこそ、人に関わりたいという動機が、理想論ではなく実行力を伴ったものとして読まれます。ここが他の未経験応募者との差になると考えました。
■ 実際の対応
そのため書類では、個人としての売上額だけを前面に出すのではなく、店舗全体の売上に意識を向けて働いていた部分を中心に置きました。個人売上の金額を書いても、桁が違いますので読み手にはそこまで伝わりません。
聞き取りの中で出てきたのが、在庫と商品の流動性の話です。接客中に商品が売れた場合、機会損失を防ぐために在庫の状況を把握しておく。どの商品がどれくらいのペースで動いているかを見ながら販売する。実際に「この商品は人気なので、このペースだと明日には売り切れるかもしれません」といったセールストークで販売したこともあったそうです。
これは、目の前のお客様1人だけを見ていたらできません。店舗全体の在庫と、商品ごとの動き方と、今日の売上を同時に見ながら接客しているわけです。物事を多面的に捉えて行動されていますので、複数の案件を同時並行するキャリアアドバイザーの働き方にも適性がある、という論理が成立します。
志望動機については、人材業界を選んだ理由と、その中でなぜキャリアアドバイザーなのかを分けて書きました。人材業界には企業側を担当する営業職もありますので、求職者と向き合う側を選んだ理由が書かれていないと、志望動機として弱くなります。
こういった内容は、ヒアリングで細かく聞かなければ出てきません。ご本人にとっては当たり前の日常業務ですから、書類に書くようなことだとは思っていないわけですね。
■ 結果
書類選考の通過率は大幅に改善しました。5社に応募して4社が通過という、極めて高い確率です。面接では、ご自身の話す力が存分に発揮されて、反応もとても良かったそうです。
一方で、事務作業の面には率直に懸念を持たれたとのことでした。ここについては、販売職でも売上集計や本部への報告、商品の発注、シフト作成、POPの作成などでパソコンを使う場面があったこと、学生時代にパソコン操作を学んでいたこと、そして入社後も自主的に勉強するつもりがあることを説明されました。その結果、ポテンシャルを感じてもらえて、最終的な内定獲得に繋がっています。
ご本人からは、次のような言葉をいただきました。
転職活動には苦戦したが、中条さんに助けてもらうことでスムーズに転職することができた。自分もキャリアアドバイザーとして、売上第一に考えるのではなく、その人の理想を叶えていけるような人になっていきたい。そういう意味で、中条さんから学ばせてもらうことが多かった。
こういう言葉をいただけますと、本当にやっていて良かったと思います。
■ おわりに
販売職をはじめとした、いわゆる現場で働く職種の場合、パソコンを使う機会は限定的になります。そうなりますと、応募書類の作成に必要なWordやExcelの操作はもちろん、ビジネス文章の構成にも慣れていないケースがとても多いです。ただ、これは能力がないという話ではありません。その領域の経験がないだけであって、問題があるとは思いません。
むしろ、アパレル販売職などで働いている方の場合、対面でのコミュニケーション力は極めて高いことが多いです。今回の方も、面接では持っている力を存分に発揮されました。
一方で、転職活動の最初の関門は書類選考です。ここに、大きなギャップがあります。一番の強みを発揮できる面接まで進む前に、一番苦手な部分で落とされてしまう。もったいない話だと思いませんか。ですから今回は、書類作成は私がサポートして、面接ではご自身の強みを発揮していただく、という形にしました。その結果が、内定獲得と、3週間で決めるというスピード感です。
もちろんお金がかかることなので、気軽に私のサービスをご利用いただけないという思いもあるかと思いますが、費用対効果は高いです。これはこれまでのお客様からの評価コメントを見ていただければお分かりいただけるかと思います。ぜひお声がけください。
以上、ご覧いただきありがとうございました。
「強みを伸ばす転職活動」by中条