―完璧主義と自己否定が重なるとき―
ギフテッドの子の中には、失敗にとても弱い子がいます。
少し間違えただけで泣く。
うまくいかないと全部投げ出す。
一問解けないだけで「もう無理」と言う。
注意されると極端に落ち込む。
親から見ると、「プライドが高い」「我慢が足りない」「少しの失敗で大げさ」と感じるかもしれません。
しかし、その奥には、ギフテッドの子特有の苦しさが隠れていることがあります。
幼い頃から「できる子」と言われてきた子は、自分の価値を「できること」と結びつけてしまうことがあります。
テストで良い点を取る。
難しいことを理解する。
大人にほめられる。
周囲から期待される。
そうした経験が続くと、子どもの中に「できる自分でなければ価値がない」という思い込みが生まれることがあります。
すると、失敗は単なるミスではなくなります。
一問間違えただけで、自分全体が否定されたように感じる。
うまくできない瞬間に、「自分はだめだ」と極端に考えてしまう。
挑戦とは、できない自分に出会いに行くことになります。
だから怖いのです。
本当は学びたい。
でも、できない自分を見るのが怖い。
本当は挑戦したい。
でも、失敗した瞬間に心が耐えられない。
その結果、簡単なことだけを選ぶ。
確実にできることしかやらない。
少し難しくなると投げ出す。
周囲からは「やる気がない」と見えるかもしれませんが、本人の中では「自分を守るため」に逃げている場合があります。
このタイプの子に必要なのは、「失敗してもいいよ」という言葉だけでは足りません。
失敗しても本当に関係が壊れない経験が必要です。
間違えても怒鳴られない。
できなくても見捨てられない。
やり直しができる。
途中で止まっても、また戻れる。
そうした経験を何度も積むことで、少しずつ挑戦できるようになります。
親は、結果よりも過程を見てあげることが大切です。
「満点ですごい」だけではなく、
「難しい問題に手をつけたね」
「途中まで考えたね」
「間違いから気づけたね」
「投げ出したけど、また戻れたね」
と声をかける。
失敗は才能の終わりではありません。
むしろ、才能が伸びる入口です。
ギフテッドの子に必要なのは、失敗しない環境ではありません。
失敗しても、自分を嫌いにならずにすむ環境なのです。