請求業務の効率化事例|請求書のまとめ作業を2日→1日にした進め方と、現場で見えた落とし穴

請求業務の効率化事例|請求書のまとめ作業を2日→1日にした進め方と、現場で見えた落とし穴

記事
ビジネス・マーケティング
毎月の締めのあと、請求書づくりに何日かかっていますか。
この記事は、請求や締めの作業を手で回している会社の、経営者・管理職の方に向けて書いています。

MATSURYU の松山です。今回は、私がお手伝いしたあるお客様の会社で、請求書を1枚にまとめる作業が2日から1日になった話をします。新しい仕組みに切り替えた後の初回で、発行後2日間、お客様からの問い合わせもありませんでした。

先にお伝えすると、AIに請求書を作らせたわけではありません。
私が変えたのは「手で書き写す所」と「切り替える前の確かめ方」です。
何を変えて、何を変えなかったのかを、順にお話しします。

1. 請求書のまとめ作業に、毎月2日かかっていた


同じお客様に「定期の請求」と「保守の請求」のように、いくつかの請求があるとき、それを1枚の請求書にまとめて出します。業務の言葉では「合算請求」と呼ばれる作業です。

これまでの流れは、次のとおりでした。

・毎月の締め処理をする
・データベースの管理画面を開き、データを取り出す命令文を貼り付けて実行する
・出てきた結果を、請求データの形へ手で書き写す
・締めのあとで、請求書を手で直すこともある

このまとめ作業に、毎月2日かかっていました。

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元SEの目線で見ると、気になるのは日数だけではありません。「貼り付けて、写す」作業は、担当の方の手と目に頼っています。書き写しがある限り、写し間違いがないかを確かめる手間も残ります。

検討は、「締めのあとに請求書を手で直している状態をなくしたい」というところから始まりました。

2. やったことは3つ。金額の計算は、今のシステムに残した


変えたことは、次の3つです。

1. まとめる対象が分かる印を、データに付ける
2. まとめる用に、データの取り出し方(命令文)を作る
3. フォルダを選べば命令文をまとめて動かし、請求データを出せる小さなツールを作り、締めの担当の方のパソコンに入れる

担当の方がやることは、まとめる取引先に印を付けて、フォルダを選び、ボタンを押すだけです。管理画面を開いて、貼り付けて、書き写す手作業はなくなりました。

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ここで私が一番大事にしたのは、何をツールに任せないかという線引きです。

金額の計算は、今の管理システムの側にまとめる。追加のツールの役目は、データを取り出す・出力する・品名を書き換える、だけにしました。

理由は、直しやすさです。計算までツールに持たせると、作った人がいないときに、誰も直せなくなります。たとえば計算の決まりが変わったとき、計算がツールの中にあると、まず作った人を探すところから始まってしまいます。計算が今のシステムにあれば、いつもの手順で直せます。

ツールは便利なほど、あれもこれも任せたくなります。でも私は「作った人がいなくても直せるか」を先に決めるようにしています。

誤解のないように書くと、私はツールを作ること自体には前向きです。1〜2年もすれば、AIの力を借りて、エンジニアでなくても直せるようになると見ています。ただ、いくつもの部署で使うなら、直しやすさと、パソコンごとの環境の違いをなくしておくことが前提だと考えています。

3. 切り替える前に、新旧の出力をAIで答え合わせした


新しい仕組みは、いきなり本番には入れていません。これまでの出力と新しい出力を両方出して、並べて比べてから切り替えました。

テストの手順は、次の5つで決めました。

1. テスト用のデータベースで締め処理をする
2. これまでの命令文で請求データを出す
3. 新しい命令文で請求データを出す
4. 2つを並べて比べる
5. まとめる対象のお客様の一覧と照らし合わせる

AIを使ったのは、この答え合わせです。まとめる対象のお客様について、AIで新旧の違いを1行ずつ比べ、件数が一致することを確かめました。テストの日の手順も「コードと帳票の番号を比べるのはAI、最後は人が目で確認」です。

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AIに金額を計算させたり、請求書を作らせたりはしていません。計算は今のシステム、比べる手間はAI、最後の判断は人。こう分けておくと、AIが見落としても、人の確認で止められます。

AIエージェント(指示を受けて、いくつもの手順を自分で進めてくれるAI)に仕事を任せる話も、この「どこをAIに任せ、どこを人が見るか」の線引きができてからのほうが、安全に進められると私は考えています。

4. 担当者さんと一緒に回して見えた、3つの落とし穴


問題が見えてきたのは、締めの担当の方と画面を共有して、締め処理から出力、答え合わせまでを約90分かけて一緒に回したときでした。机の上では気づけない問題ばかりです。

① 並び順が、お客様ごとにまとまらない
新しい出力では、保守の請求が最後にまとまり、「定期・定期・保守・保守」の順になっていました。これではお客様ごとに並びません。そこで、帳票の番号 → お客様の番号(顧客コード)→ 定期か保守か → 請求の番号の順に並べ直しました。

② お客様の番号に、見えないタブ文字が混ざっていた
一部のお客様の番号に、画面では見えないタブ文字(字下げなどに使われる、目に見えない文字)が入っていました。

③ Excelで開くと、先頭のゼロが消える
定期は6桁のゼロ詰め、保守はゼロなしと、番号の登録の仕方が違っていました。このファイルをExcelで開くと、先頭のゼロが消えてしまいます。そこで、ファイルはExcelで加工せず、そのまま取り込む形にしました。

どれも、仕様書を眺めているだけでは見つけにくい問題です。担当の方が毎月さわっている画面で、一緒に回してみる。これが一番の近道でした。

5. 結果:切り替え後の初回で、2日→1日に


検討を始めてから約5か月。定例の打ち合わせで少しずつ進め、新しい仕組みに切り替えました。

・請求書のまとめ作業:2日 → 1日(作業日数)
・月の途中の分・月末の分をすべて出力
・請求書を発行したあと2日間、お客様からの問い合わせなし

まとめ


・「貼り付けて、手で写す」作業を、印・取り出しの命令文・小さな出力ツールでなくした
・金額の計算は今のシステムに残し、ツールは出力だけにした(作った人がいなくても直せるように)
・切り替える前に新旧の出力をAIで答え合わせし、最後は人が目で確かめた

自分の会社で試せる最初の一歩は、締め作業のなかで「画面からコピーして、別の形に書き写している所」を1つ書き出してみることです。そこが、計算には手を入れずに手作業を減らせる場所の候補になります。

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