業務の自動化を外注しようと検索すると、数千円の出品から数十万円の開発まで並んでいて、自分の依頼がどのあたりなのか見当がつきません。この記事では、業務自動化の外注費用に差が出る理由を8つの条件に分けて説明し、予算に合わせて依頼範囲を切り分ける方法までまとめます。
見積りは「作業名」では決まりません
「CSV処理の自動化」という同じ名前の依頼でも、手元のファイルを整形するだけなのか、サイトへのログインとダウンロードから任せるのか、毎日無人で動かすのかで、作るものはまったく別物になります。制作側が見積りで見ているのは作業名ではなく、工程・例外・環境です。相場が一言で示しにくいのはこのためで、価格の幅は良し悪しではなく、範囲の違いから生まれていることが多いのです。
金額を左右する8つの条件
【条件:①操作の入口】
工数が増える例:画面操作の自動化は、画面変更に備えた作り込みが要る
抑える工夫:CSVダウンロードやAPIで代替できないか先に確認する
【条件:②工程の数】
工数が増える例:「取得→整形→登録→報告」と続くほど増える
抑える工夫:まず1工程だけ切り出す
【条件:③件数・データ量】
工数が増える例:大量処理は、速度や途中失敗への備えが要る
抑える工夫:対象を絞って始める
【条件:④例外の多さ】
工数が増える例:「この場合だけ別処理」が増えるほど分岐が要る
抑える工夫:まれな例外は人の作業に残す
【条件:⑤ログイン・認証】
工数が増える例:認証があると、安定して動かす設計が難しくなる
抑える工夫:正規の連携手段があるか確認する
【条件:⑥定期実行と環境】
工数が増える例:無人で毎日動かすには、環境の整備が要る
抑える工夫:手動実行から始める
【条件:⑦ログ・通知・再開】
工数が増える例:止まると困る処理ほど、監視の作り込みが要る
抑える工夫:重要度に応じて段階をつける
【条件:⑧マニュアル・保守】
工数が増える例:資料の作成や仕様変更への対応を含めると増える
抑える工夫:必要な範囲を事前に決める
とくに誤解が多いのは①と⑤です。Webページからの情報取得(いわゆるスクレイピング)を依頼する場合も、対象サイトの利用規約とAPIの提供状況の確認が前提になります。規約に反する取得・操作や、CAPTCHA・2段階認証の回避は、当方では対応しません。また⑧について、自動化は対象サイトの仕様変更で動かなくなることがあります。納品後の保守や修正の扱い(範囲と費用)は、契約前に確認してください。
同じ「CSV自動化」でも、範囲でこう変わります
範囲の異なる3つのケースを並べます(説明用の例です。金額は依頼内容によって変わるため示しません)。
【ケース:A:整形のみ】
依頼範囲:手元のCSVを整形・集計するツール
増える工数の中身:変換規則の実装と動作確認
【ケース:B:取得込み】
依頼範囲:管理画面へのログインとダウンロードから
増える工数の中身:画面操作の自動化、認証の扱い、画面変更への備え
【ケース:C:運用込み】
依頼範囲:定期実行・通知・マニュアルまで
増える工数の中身:実行環境の整備、ログとエラー通知、資料の作成
作業名はどれも「CSV自動化」ですが、AとCでは作る範囲がまるで違います。見積りに差が出るのは自然なことで、大事なのは、自分の依頼がどの範囲なのかを発注者側が把握していることです。
予算内に収める3つの切り分け方
まず1工程だけ切り出す
いちばん時間を取られている1工程(例えば整形だけ)を先に自動化し、動くものを確認してから範囲を広げます。
例外は「人が処理する」と割り切る
月に数件しか起きない例外まで自動対応させると、その分岐のために費用が膨らみがちです。まれな例外は「検知して人に回す」設計のほうが合理的な場合が多くあります。
手動実行で始めて、定期実行は後から足す
最初は「ボタンを押せば動く」状態で運用し、無人の定期実行は価値を確かめてから追加します。表の⑥⑦にあたる費用を後回しにできます。
見積り前セルフチェック6問
□ 画面操作は必須か。CSVダウンロードやAPIで代替できないか
□ 例外パターンは月に何件くらい起きるか
□ ログインや2段階認証は関係するか
□ 無人の定期実行が必要か。当面は手動実行で足りるか
□ 止まったとき、誰がどのくらい困るか
□ 引き継ぎ用のマニュアルは必要か
この6問に答えられる状態なら、見積りのやり取りは短くなり、不要な範囲を削る相談も具体的にできます。
まとめ
自動化の外注費用は、作業名ではなく「任せる範囲」と「例外・環境の複雑さ」で決まります。8つの条件と3つの切り分け方を知っていれば、見積りの金額に戸惑うのではなく、予算に合う範囲を発注者側から組み立てられます。
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