「製品を追加するたびに、制作者へ連絡しなければならないのでしょうか?」
「分類に当てはまらない製品は、“その他”を作らないと表示されませんか?」
これは、ある製造業のホームページ改善で実際に出たご相談を、会社や製品が特定されないよう一般化したものです。
先に結論をお伝えすると、問題の本質は「その他の分類がないこと」ではありませんでした。
本当に見直すべきだったのは、製品を追加し続けられる更新の仕組みと、製品を見た方がお問い合わせまで進める導線です。
ホームページは、分類ボタンを増やしただけでは売上につながりません。大切なのは、訪問者が知りたい情報へ迷わず進み、比較・検討したうえで「この会社へ相談してみよう」と判断できることです。
今回は、ご相談から改善制作につながった事例をもとに、私がどこを診断し、どのような将来を見据えて設計したのかをお話しします。
■ご相談時にあった2つの不安
クライアント様が心配されていたのは、主に次の2点でした。
・新しい製品を追加するたびに、制作者への依頼と費用が発生するのではないか
・既存の分類に入らない製品が、一覧から漏れてしまうのではないか
この不安はもっともです。
見た目はきれいでも、更新するたびに外注費がかかるホームページでは、情報が増えません。情報が増えなければ、検索から見つけてもらえる入口も、購入や問い合わせの判断材料も育ちにくくなります。
そこで、製品情報はCMSで管理し、クライアント様ご自身で追加・更新できる形にしました。
CMSとは、専門的なコードを書かなくても、決められた入力欄へ画像や文章を入れることでページを追加できる仕組みです。
登録した製品を「公開中」にすれば製品一覧へ反映されるため、通常の製品追加でその都度、私へご連絡いただく必要はありません。
つまり、今回つくったのは「完成したら終わるホームページ」ではなく、社内で育て続けられる営業資産です。
■分類ボタンは、製品を表示させるためのスイッチではない
ページ上部には、いくつかの製品分類を示すボタンを設置しました。
ただし、このボタンは「選んだ分類の製品だけを初めて表示する仕組み」ではなく、ページ内の該当箇所へ移動しやすくする案内役です。
製品数がまだ少ない段階では、分類を細かく分けることよりも、会社として対応できる範囲を視覚的に伝える意味が大きくなります。
ボタンが並ぶことで、初めて訪れた方にも「この会社は、このような領域まで対応できる」と短時間で把握してもらえるわけです。
増やすべきなのは、最初から分類の数ではありません。
まず増やすべきなのは、お客様の判断材料になる製品詳細ページです。
■なぜ、最初から分類を細かく分けなかったのか
分類が多いほど、専門的で充実したホームページに見えると思われがちです。
しかし、分類を10個作っても、それぞれに製品が1〜2点しかなければ、訪問者は十分に比較できません。「選択肢が多そうに見えたのに、中へ入ると情報が少ない」という状態になり、期待を裏切ることもあります。
Googleも、検索順位を上げるためだけのページ量産ではなく、人の役に立つ、十分で信頼できる情報を重視すると説明しています。
そこで私は、1分類につき18〜27製品ほどを、分類を独立させるか検討する実務上の目安にしました。
これはGoogleが定めた順位基準ではありません。パソコンで1画面に約9製品を表示する設計だったため、2〜3画面分の選択肢がそろってから分ける、という今回のサイトに合わせた運用基準です。
製品数、検索需要、お客様の探し方が違えば、適切な数も変わります。
大切なのは「分類を作れるか」ではなく、「分けることでお客様が探しやすくなり、各ページに十分な価値が生まれるか」です。
いま分類を増やさない判断は、手抜きではありません。中身の薄いページを増やさず、更新に使う時間を製品情報へ集中させるための判断です。
■一覧ページと製品詳細ページの役割を分ける
ホームページには、固定ページとCMSで生成するページがあります。
今回の設計では、製品一覧を置く固定ページと、製品ごとに情報を蓄積するCMS詳細ページを組み合わせました。
一覧ページの役割は、会社が何を扱っているかを見渡せること。
製品詳細ページの役割は、その製品が誰のどのような課題に役立つのか、仕様、強み、注意点、納期、相談方法まで伝えることです。
ここで誤解してはいけないのは、「固定ページなら検索に強く、CMSページなら弱い」という単純な話ではないことです。
Googleが確認できる形で内容とリンクが表示され、各ページに固有のURLがあり、サイト内リンクやサイトマップから発見できれば、CMSで作られた詳細ページも検索対象になり得ます。
STUDIOの公式ヘルプでも、noindexなどを設定したページを除き、静的ページと動的ページの両方がサイトマップに含まれると案内されています。
つまり重要なのは、ページの呼び方ではなく、検索エンジンと人の両方が情報へ到達できる設計になっているかです。
■「もっと表示する」を6製品にした理由
一覧では、最初に6製品を表示し、それを超える場合に「もっと表示する」ボタンが出る設定にしました。
パソコンだけを見れば、最初から全製品を表示する方法もあります。
しかし、スマートフォンでは製品カードが縦に長く続きます。目的の情報へたどり着く前に疲れてしまえば、せっかく製品を増やしても離脱の原因になります。
Googleは、主にスマートフォン向けの内容をインデックスとランキングに利用する「モバイルファーストインデックス」を採用しています。そのため、スマートフォンでの見やすさは後回しにできません。
一方、Googleのクローラーは、ユーザー操作が必要なボタンを原則としてクリックしません。
そのため「もっと表示する」を使う場合は、公開した各製品詳細ページがサイトマップへ含まれているか、通常のリンクから到達できるか、Search Consoleで認識されているかまで確認する必要があります。
見た目だけで「SEOに対応できている」と判断しない。これも、診断で確認する重要なポイントです。
■ホームページを育てるために、やることは2つ
改善後にクライアント様へお願いしたのは、次の2つです。
1.製品詳細ページを増やす
製品名だけでなく、用途、対象業種、特徴、仕様、納期の目安、注意点、相談時に必要な資料などを記載します。
製品ごとにページがあれば、トップページでは拾えない具体的な検索語から見つけてもらえる可能性が生まれます。
2.既存の製品詳細ページを改善する
お客様から質問を受けて回答した内容は、そのまま次のお客様にも役立つ情報です。
たとえば、次のような内容があります。
・どのような用途に向いているか
・導入前に注意することは何か
・品質をどのように管理しているか
・メンテナンスは必要か
・納品まで、どの程度の期間が必要か
・図面や資料は、どの形式で送ればよいか
同じ質問が増えたら、「よくあるご質問」として整理できます。
ここで大切なのは、日付だけを変えるような意味のない更新ではありません。
検索する方や検討中のお客様にとって、判断材料が増える更新です。Googleの鮮度評価は、すべての検索で「更新回数が多いほど有利」になる仕組みではありません。だからこそ、更新頻度よりも、内容が実際に役立つかを優先します。
■改善後に目指した、お客様の動き
従来のホームページでは、情報の多くがトップページへ集中していました。
しかし、検索や広告から来る方が、必ずトップページから順番に見るとは限りません。
むしろ、課題が具体的な方ほど、検索結果から製品詳細ページへ直接入る可能性があります。
私が想定した流れは、次のとおりです。
検索結果や広告から製品詳細ページへ来る
↓
用途・仕様・納期・注意点を確認する
↓
「自社にも対応できそうだ」と判断する
↓
関連製品や、ほかの製作実績を見る
↓
会社概要やトップページで、規模や信頼性を確かめる
↓
製品詳細ページへ戻り、問い合わせ方法を確認する
↓
資料を添えて、フォームや電話で相談する
これは、トップページを豪華に見せるだけの設計ではありません。
製品詳細を入口にして、他の実績や会社情報を回遊し、問い合わせまで進める「営業の流れ」をホームページ上に作る設計です。
■この先、どのようなホームページへ育つのか
診断と改善制作によって、すぐに検索順位や売上が保証されるわけではありません。
ただし、正しい順序で育てられる土台は作れます。
最初の段階では、社内で製品を追加できるようになり、更新のたびに外注する負担が減ります。
次に、製品詳細が増えることで、お客様が比較・判断できる情報が蓄積されます。
さらに、検索データや問い合わせ内容がたまれば、「どの製品が見られているか」「どこで離脱しているか」「どの質問が多いか」をもとに改善できます。
将来、広告を出す場合も、情報の薄いトップページへ集客するより、悩みや製品に合った詳細ページ、または複数の製品をまとめた特集ページへ案内したほうが、訪問者の目的とページ内容を合わせやすくなります。
最終的に目指すのは、次の状態です。
・更新のたびに制作者へ依頼しなくてもよい
・製品ページが検索や広告の入口になる
・営業担当者が毎回説明していた内容を、ホームページが先に伝える
・問い合わせ時点で、お客様の理解と検討が進んでいる
・アクセス数だけでなく、相談につながる動きを計測して改善できる
つまり、ホームページが「会社案内」から「24時間働く営業担当」へ変わっていく未来です。
■売れない原因は、デザインだけとは限りません
私はこれまで、EC10店舗の運営や、20万点以上の商品を扱うECサイトに関わってきました。
その経験から強く感じるのは、売上につながらない原因を「デザインが古いから」と決めつけるのは危険だということです。
実際には、次のような問題が重なっているケースがあります。
・訪問者が求める情報と、ページに載っている情報がずれている
・トップページに情報を集めすぎて、製品詳細が薄い
・問い合わせ前の不安や疑問に答えられていない
・スマートフォンで情報を探しにくい
・更新方法が複雑で、ページが放置されている
・検索、広告、SNSから来た方の受け皿がない
・アクセスはあるのに、問い合わせまでの行動を確認していない
必要なのは、いきなり全面リニューアルすることではありません。
まず、どこで機会損失が起きているのかを特定することです。
原因が分かれば、文章の追加で済むのか、導線の変更が必要なのか、製品詳細を増やすべきなのか、CMSを組み直すべきなのかを判断できます。
直す場所が分からないまま制作費をかけるより、先に診断したほうが、次の一手はずっと明確になります。
■ホームページの「売れない原因」を、売る側の目で診断します
「アクセスはあるのに問い合わせが来ない」
「何を直せばよいのか分からない」
「制作会社からリニューアルを勧められたが、本当に必要なのか判断できない」
そのような方へ向けて、ホームページの問題点と改善の優先順位を整理する診断サービスをご用意しました。
デザインの好みだけではなく、検索からの入口、情報の不足、ページ内の回遊、問い合わせ導線、更新のしやすさまで確認します。
EC10店舗を運営した「売る側」の視点で、いま直すべきことと、まだ費用をかけなくてよいことを分けてお伝えします。
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【売上につながらないHPの原因を診断します|EC10店舗を運営した“売る側”の目で原因を特定します】
ホームページを作り直す前に、まず原因を知る。
それが、遠回りに見えて最も無駄の少ない一歩です。