とある夏の日
今でこそ私はヒーリングセラピストとして活動していますが、当時はただのフリーターでした。
ホテルの割引券があるから旅行に行こうと誘われ何気なく行きました。
大きなシャンデリア、煌びやかなロビー、フカフカな絨毯
それはそれは充実した一泊二日の旅行でした。
帰るまでに少し時間があるので、もう一か所だけ寄ろうと思ったのですが
どこもピンとくるものがなく、ホテルのスタッフさんの個人的オススメスポットに行くことにしました。
そこは大きな観音様がいらっしゃる公園のような所です。
とにかく大きくて圧巻。
公園内のお店の方も、「今日の観音様は微笑んでいらっしゃるね」と。
日によって表情が違うそうです。
地元の方にとても愛されているようですね。
観音様の脇に階段がありまして、お顔の傍まで登れるようになっています。
観音様を近くで感じつつ、同じ目線で公園内を見渡せるので
私も登ってみました。
普通の小さな階段なのですが
登っている最中、いたるところに手持ち花火のゴミが落ちていたのです。
観音様のおそばですよ。理解しがたい光景でした。
申し訳なくて申し訳なくて。
「汚してごめんなさい。全ての人がこんな人ではないんです。お願いします。どうか嫌わないでください」
そう言いながら一つ一つゴミを拾って登りました。
きっと、あのかき氷屋さんもそうしたと思うから。
ずっと微笑んでいてほしいから。
家に帰ると、いつもと変わらない日常がまた始まると思っていたんです。
それが違っていました。
通勤も業務も何も変わらないのに、何かが違う。
見えている景色が明らかに違っていたんです。
色味がはっきりしているというか、霧が晴れた感じ。
脳が浮いているというか、俯瞰しているような不思議な感覚。
一番のおどろきはクレーマーが減ったことです。
いちゃもんクレーマーや、ネチネチと嫌味を言うだけ言って何も買わない時間を奪うだけの人が明らかに減っていました。
何か対策をしたわけでもないのに、なぜだろうかと考えたときに
観音様しか思いつきませんでした。
目に見えない何かの力で変化が起きたのかもしれない。
もしかして、これが加護ってやつなのでは?
この旅は、ただの小旅行では終わりませんでした。
あの観音様の存在をきっかけに、目に見えない世界に意識を向けるようになり
神社仏閣にものめり込むことになります。
ただ、こちらの方はまだ修行中。
こうして、目に見えない世界に少しずつ興味がわいてきました。
その後、さらに興味を深めるきっかけとなったのが──催眠術カフェとの出会いでした。