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その国らしい映画って…結局のところ輸入国が作り出すイメージでしかない
記事
エンタメ・趣味
buffys
2020/11/08 15:11
私は最近、『パリに見出されたピアニスト』という映画を観て、感じたのが「フランス映画らしくない」ということである。
『パリに見出されたピアニスト』の監督であるルドヴィク・バーナードは、リュック・ベッソンの元で長い間、助監督をしていた人物である。
それもリュック・ベッソンの『ニキータ』や『レオン』などといった、初期の頃のテイストよりも、近年でアメリカナイズされてきた『ルーシー』や「96時間」シリーズなどで助監督をしていた経験から、フランス映画というよりは、大衆向けの娯楽テイストのサクセスストーリーで、いわゆるアメリカナイズされた作品なのである。
そこで思った、そもそも「フランス映画らしい」って何だろうか…独特の間だったり、おしゃれな時間の流れ方だったり、色々あると思うが、それというのは、あくまで日本人のイメージに沿う作品を輸入してきているがために、作られてしまったイメージではないだろうか。
時にメディアは、映画によって国民性や国そのものを象徴している様に取り上げることが多い。
確かに、その国にしかない文化や情勢などを反映させたものは、その国ならではのものだろう。
しかし、ジャンルや基本的な映画の構造の中での、国の特徴というのは、それほどないのかもしれない。
その特徴という概念を植え付けているのは、配給会社だったり、その国の作品を輸入している側であることが多いのだ。このラインより上のエリアが無料で表示されます。
例えばアメリカにおける日本映画の印象は何だろうか…怪獣、侍、忍者、霊的なホラーとそんなところである。
しかし、実態はどうだろう。その要素というのは、近年の日本映画において数えるほどしかない。
実態はテレビドラマの映画化だったり、テレビドラマの延長線上のような作品ばかりだ。侍映画はあっても年に3,4本あるかないかぐらいだ。
本当に今の「日本らしい映画」というものをそのまま国外に持ち出すとしたら、日常を描いた質の低いドラマのような作品であるとしか言いようがないのだ。
そもそもアメリカでは、日本映画というもの自体が公開されるという環境がそれほどない。
アカデミー賞にノミネートされ、世界的に知名度のあるはずのジブリ作品であっても、公開されないものは多い。
それは何故かというと、アメリカが求める「日本らしさ」が欠落しているからである。
そのため、日本でヒットしている様な作品をアメリカに輸入したところで映画館に足を運ぶ人は、あまり多くないのだ。
かつて『キル・ビル』で日本の描写について、クウェンティン・タランティーノが、リアルな日本を描いたところで、多国籍文化のあふれている日本では、「日本らしさ」を映し出すことができない、そのために誇張した「日本」というものを描いたと言っていたのを思い出した。
だからと言って、日本的文化要素を詰め込んだ映画がヒットするかといえば、そうでもない。
クールジャパンなんて言われているが、世界はそれほど日本の文化に興味を持っていないし、持っているとしてもごく一部である。
実際に日本映画は、映画祭で上映されることは多いし、それを宣伝に使う日本映画も少なくないが、そもそも映画祭に来るような人とは、どんな人たちだろうか。
日本でも東京国際映画祭やゆうばり国際ファンタスティック映画祭などの映画祭があるが、一般人がそれほど行くかというとそうではない。結論から言うと、映画オタクである。
例えは日本のアニメイベントに来ていた外国人がいたとする。その人はイベントに来ているのだから、当然ながら日本のアニメや漫画が好きなのだ。しかし、それは一般的だろうか。
映画オタクも同じで、映画祭という限られたフィールド、限られた上映回数の中で絶賛した映画を一般的な劇場やショッピングモールのシネコンで公開して、同じ反応が得られるかというと難しいだろう。
日本の上映環境はどうだろうか。日本はアメリカ映画と自国の映画で公開枠がパンパンな状況で、他国の多種多様な作品を入れて上映できる環境があまりない。
そんな中でフランス映画だったりインド映画を輸入してくる際に、一番に何を考えるだろうか…「国らしさ」である。
しかし、それは日本人の偏見によって生み出されたイメージである。
一時期のインド映画はミュージカルしか入れなかったため、インド映画=ミュージカルというイメージがついてしまっていたのと同じように、フランス映画ってこうだよね?韓国映画ってこうだよね?っていうイメージは、結局のところ、その国の配給会社や宣伝媒体が作っているのだ。
是枝裕和監督の『真実』という映画があるが、この作品は、カトリーヌ・ドヌーブ、ジュリエット・ビノシュといったフランス人俳優をキャスティングして、フランスで撮影していて、しっかりとフランス映画らしいと感じられる作品なのだ。
私もこの映画を評したときに「ちゃんとフランス映画らしい作品だった」と書いてしまった。
しかし、その「フランスらしさ」は是枝監督の日本人がもつ「フランス映画らしさ」を反映させた映画であって、フランス人が観た場合の印象というのは、別の可能性があるのかもしれない。
アメリカでもフランスでも韓国でも…他国から「らしい」とされる作品の他にも多種多様な作品があるということは、日本映画ひとつとっても明確である。
本来の国らしさと他国が求める国らしさは、一致しない場合が多い。つまり「〇〇らしい」というものは、個人的な思想や外部やメディアから与えられたイメージによって作り出されるワードであって、何ら意味を持たないと言ってもいいのだ。
#映画
#フランス映画
buffys
映画ライター、映画評論家 / 40代前半 / 男性
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