複利の効果については、よく知られていることと思います。しかし、実際の運用に対して、どれくらいそれを意識しているでしょうか。
今日は複利の効果について、少し考えてみたいと思います。
今、ある投資商品があって、年間の運用利率がα%だとします。すると、その商品に投資した場合、1年後には資金が(1+α)倍になります。なお、αは%をつけて表示した場合は百分率表示としますが、単位をつけない場合は小数点表示とします。
もしこの商品が、1ヶ月単位での解約及び申し込みが可能で、申し込み単位が1円、解約手数料が無料であり、適用利率が1ヶ月あたりαの1/12であれば、毎月解約と再契約を繰返した方が、より多くの利息をもらえることになります。
数式で表すと、毎月契約する、すなわち1ヶ月複利とした場合、年間でα%の場合と比べて、資金は次のようになります。
{(1+α/12)^12}/(1+α)
ここで、x^nはxのn乗を表します。xをn回掛けるということです。
この値は、実はαによって大きく異なり、α=0.1(10%)で1.004、α=0.2で1.016、α=0.5で1.088、α=1.0でなんと単利の場合の1.307倍にもなります。
すなわち、αが小さい銀行預金などでは、1年複利だろうが1ヶ月複利だろうが、得られる利息は大差ありません。しかし、もし1年で資金が2倍になるような投資商品があれば、それを1ヶ月複利で運用すると、1年で2倍どころか2.6倍に増やすことが出来ることになります。この差は大きいでしょう。
さて、そのような投資商品などあるわけがない、と思われるかもしれません。しかし、これを株式投資に当てはめてみればどうでしょうか。
昨今の相場環境を考えると、新型コロナウイルス騒動が落ち着けば、1年で株価2倍もあながち不可能なことではないかもしれません。
その際に、ある株式を1年間保有して2倍になるのを目指すよりは、1ヶ月に8.33%(100%/12ヶ月)の上昇を目指した方が、複利効果の分、最終利益額が多くなります。
逆に言えば、1年後に資金を2倍にしたい場合は、1ヶ月あたり6%の利益を達成できればよいわけです。電卓で計算すれば分かることですが、(1+0.06)^12=2.012となり、12ヵ月後に資金が2倍になることが分かります。
それでは、デイトレードのように、毎日資金を更新したらどうなるでしょうか?
実は複利の効果には、限界があるのです。
1年でα%となる利息を、n分割して複利運用することを考えます。すると、1年後には当初資金は(1+α/n)^n 倍になります。
1ヶ月毎に資金を更新する場合は、n=12でした。毎日更新する場合は、n=365とすればよいわけです。
もっと極端にnを大きくした場合、n→∞と考えると、前述の式はe^αに収束します。
ここで、eは自然対数の底(てい)と呼ばれる定数で、その値は2.718281828・・・・・・です。これをα乗した値が複利の限界ということになるわけです。α=0.1(10%)なら1.105、α=0.2なら1.221、α=0.5なら1.649、α=1.0なら2.718ということになります。
先ほどのα=1.0における1ヶ月複利では、1年後に資金が2.614倍(1.307×2)でしたから、極限まで複利効果を使った場合の96%の効率ということになります。
したがって、1ヶ月より短期で資金を更新しても、得られる資金増加効果は年間でせいぜい4%に過ぎないことが分かります。
ゆえに、複利効果を高めるために無理に売買回転数を高める必要はなく、1ヶ月に1回程度の更新で十分ということになります。
一方、1年複利の場合は74%でしかなく、年に1回の売買だけだと、26%の部分を捨てることになります。これは結構影響が大きいのではないでしょうか。
このように、資金拡大効果が望める複利運用ですが、当然、負ける場合にもこの効果は掛かってきます。
年間を通して損益がプラスの場合には複利効果がプラスに作用しますが、損益がマイナスの場合は複利効果がマイナスに作用することに注意する必要があります。
ちなみに、年間を通しての損益の順番は問題ではありません。あくまで最終損益がプラスかマイナスかが重要となります。
なお、1年以上の売買における複利効果については、多くの書籍で述べられている通りです。
例えば、複利と単利とで10年後の資金にどれくらいの差が表れるかを計算すると、次のようになります。
α=0.1(10%)で1.297倍、α=0.2で2.064倍、α=0.5で9.611倍、α=1.0で93.091倍です。
最後に、ローンについて一言。
当たり前のことですが、住宅ローンにも大きな複利効果が存在します。ただし、貸す側にとってですが。
年利3%の複利で、30年ローンを組んだとすると、最終返済額は借入額の何倍になるでしょうか?
(1+0.03)^30を計算すると、2.427となることがわかります。すなわち、2,000万円借り入れたら、最終返済額は5,000万円近くにもなるのです。
その差額は約3,000万円。30で割ると、年間100万円。さらに12で割ると、1ヶ月あたり約8万円。都会ではどうだか分かりませんが、私の住むような田舎では、結構上等なアパートが借りられる金額です。
クレジットカードなどのリボルビング払いも要注意です。うかうかしていると、利息の支払いだけで元金が全く減らないなんてことになりかねません。よく計算して利用するようにしないと、後で痛い目に合うことになるかもしれません。
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