「AI研修は助成金で実質無料になります」。こうした営業を受けて、本当なのか迷っている方は少なくありません。
この記事では、AI研修に使える国の助成金の考え方と、申請でつまずきやすい順番、そして研修そのものを役に立つものにするコツを説明します。
■ 結論:使える制度はあるが、研修の前に手続きが要る
厚生労働省の「人材開発支援助成金」には、新しい分野の知識を社員に学ばせる訓練を対象にした「事業展開等リスキリング支援コース」があります。デジタル化を進めるための研修も対象になり得ます。
公表されている案内では、中小企業の場合、研修の経費の最大75%と、研修時間中の賃金の一部が対象です。
ただし、支給されるかどうかは審査で決まります。「実質無料」と言い切る話には注意が必要です。
■ 申請でつまずきやすい順番
いちばん多い失敗は、研修を先に始めてしまうことです。
1. 研修の計画を労働局に届け出る(研修開始の1か月前まで)
2. 届け出た内容・時間数どおりに研修を行う
3. 研修が終わってから支給を申請する
4. 審査を経て、支給が決まる
計画の届け出より前に始めた研修は、あとから対象にできません。
また制度は年度の途中でも見直されます。2026年8月にも改正があり、事業展開の計画について確認の手続きが加わっています。使う予定があれば、早めに労働局か社会保険労務士に相談しておくと安心です。
■ 研修をしても使えるようにならない理由
助成金が出ても、研修の中身が合っていなければ費用は戻りません。
よくあるのは、「AIでできること」の紹介で終わる研修です。便利そうだとは感じても、翌日の自分の仕事にどう使うかが分からず、結局使われません。
使えるようになる人の共通点は、研修の中で自分の仕事の成果物を1つ作ったことです。そのために、研修を組むときは次の3点を決めておきます。
・対象の仕事を1つに絞る(広告文、月次の報告書など)
・研修中に、実際の資料で作ってみる
・作ったときの指示文を、ひな形として社内に残す
もう1つ気をつけたいのは、助成金の対象になる研修の条件です。研修の時間数や、社員が業務として受けること、事業の新しい取り組みとのつながりなどが確かめられます。講座を選んでから条件に合わせようとすると、組み直しが必要になることがあります。先に条件を確かめ、それに合う形で中身を組むほうが手戻りが少なくなります。
■ 社内で準備するなら
1. 社員の仕事から、AIに任せやすい作業を3つ書き出す
2. 1つ選び、上手な人の指示文を集める
3. 2〜3時間の練習会で、各自が自分の資料で作ってみる
4. うまくいった指示文を共有フォルダにまとめる
助成金を使う場合は、この計画を「目的・時間数・内容」の形で書き出しておくと、届け出の準備が進めやすくなります。
■ まとめ
・AI研修に使える助成金はあるが、計画の届け出が研修より先
・支給は審査次第で、制度は年度途中でも変わる
・研修は「自分の仕事で1本作る」形にすると使い続けられる
自社の広告や報告書を題材にした研修を、届け出に使いやすい計画表つきで組みたい場合は、こちらで承っています。
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参考
・厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内」確認日: 2026-09-25
・補助金ポータル「事業展開等リスキリング支援コースとは?令和8年8月改正の変更点」確認日: 2026-09-25
・注記: 申請書類の作成・提出は社会保険労務士の業務のため、本文では手続きの順番の説明にとどめた