皆さんは「ラプラスの悪魔」という存在をご存知でしょうか。
これは「運命論」とか「決定論」ということに関係してくるのですが、簡単に言ってしまえば、過去、現在、未来を完全に把握している存在のことです。
物理学の分野のお話なのですが、とても面白いので、バリバリ文系の私、福田有人ができるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。
定義としては、「『ある時点において作用している全ての力学的・物理的な状態を完全に把握・解析する能力を持つがゆえに、未来を含む宇宙の全運動までも確定的に知りえる』という超人間的知性のこと」です。
なんのこっちゃ全然わかりませんね。w
つまり、あらゆる自然法則を知り尽くし、素粒子レベルまでの全ての情報を得たとき、未来のことが全て予測できてしまう、みたいなことです。
例を挙げますと、サイコロを振ったときに、どの目が出るかは確率論の問題のような気がしますが、実はそうではなく、出る目はサイコロを振る力や角度、振ったときの空気抵抗、テーブルの素材やそこに接地したときの摩擦力のかかり方などによって、完璧に予測できる、ということです。
だから、全ての情報を持ち、全ての自然法則を理解していれば、まさしく「全知」の神にも近い存在になるということなのですよ。
すごい話ですよね?
皆さん、ついてきてますか?
こんなことがあり得るのかと思ってしまいますが、理論上は可能なのです。
これを応用すると、色々なことに当てはめることができます。
今朝、あなたが納豆を食べたとしましょう。
あなたが今朝、納豆を食べることは、もう遠い昔、地球が生まれる前から決まっていた、ということになります。
あなたが納豆を食べたのは、最近パンばっかり食べていたからだとして、そのことも以前のあなたの行動から決まっていたことだからです。
パンばっかり食べていた以前は、ご飯が続いていた。
だから、あなたはパンが食べたくなったのです。
行動の前段階には、その理由となる行動があります。
つまり、さかのぼれば、宇宙や地球が生まれたときの事象が現在のあなたの行動に影響を及ぼしている、ということなのです。
この論法でいくと、全ての出来事は必然であり、全ての未来はすでに決まっている、ということになります。
運命論ですね。
あなたはこれを信じますか?
偶然も、ランダムも実はなくって、全ては宇宙が誕生したときから、決定づけられていたなんて!
考えとしては、面白いですよね。
しかし、現代の物理学において、「ラプラスの悪魔」は否定されています。
原子の中には、突然崩壊するものがあるそうです。
その崩壊が起きるタイミングや、頻度などは完全にランダムで、不確実なものだそうで、それが「ラプラスの悪魔」の理論と矛盾しているそうなのです。
従って、「ラプラスの悪魔」というものは存在しない、ということが証明されたということです。
他にも、これを否定する根拠はいくつも挙げられていて、現在は、これを肯定する人はいません。
でも、話としては大変興味深いので、今回、ご紹介させて頂きました。
面白いと思って頂けたら幸いです。
では、今日も楽しくお過ごしくださいね。