読み取れる。タイムカードの写真の氏名欄を、事務所のパソコンのブラウザの中で黒く塗り、番号に置き換えてから送れば、サーバとAIに届くのは、番号と、日付・時刻が書かれた画像だけになる。結果は番号で戻ってきて、名前はパソコンの中で付け直す。
ただ、塗る位置がずれると、名前は写ったまま出ていく。そこを確かめるのは人の目だ。この記事では、何を送って何を送らないか、それを自分でどう確かめるか、架空のカード10枚で試したときの数字、まだ弱いところを順に書く。
■ 名前ごと送っていた
顧問先から届くタイムカードには、顧問先の従業員の名前が書いてある。読み取りに外のAIを使うなら、普通はその名前ごと画像を送ることになる。
うちの勤怠OCRも、少し前まではそうだった。プライバシーポリシーには「記載された従業員名」がAIに送られる、とそのまま書いていた。社労士事務所に使ってもらう話をするなら、ここは避けて通れない。
■ 名前を消す作業は、パソコンの中でやる
ネットのサービスなのに、なぜ名前が出ないと言えるのか。インターネットから届くのは、画面とプログラムだけだ。名前を消す作業は、そのプログラムが事務所のパソコンの中で行う。宅配で届いたシュレッダーを事務所で使っても、書類が宅配業者に渡らないのと同じだ。
流れは5つ。
1. 番号と氏名の表を作る(Excelの氏名1列を貼り付けてもいい)
2. カードの画像に番号を振る
3. 氏名欄を黒く塗る。印鑑・サイン・裏面の記入も塗る場所に指定する
4. 送る画像を全枚、目で確かめてから送る
5. 番号だけで戻ってきた結果に、パソコンの中で名前を付ける
■ 送るもの・送らないもの
・画像:送るのは、氏名欄を黒く塗って作り直した新しい画像。下に元の字は残らず、撮影場所などの付帯情報も付かない。塗る前の元の画像は送らない
・氏名:送らない。画像の上端に印字するのは番号と表・裏だけ。番号と氏名の表はブラウザの中だけで使い、ページを閉じると消える
・ファイル名:番号に置き換えて送る。元のファイル名は送らない
・結果:戻ってくるのは番号だけの結果。名前を付けたCSVはパソコンの中で作り、送らない
■ 自分で確かめる方法
こちらが「送っていません」と言うだけなら、信じてもらうしかない。それでは社労士の先生に勧めにくい。だから、確かめ方を4つ用意した。
1. 画面を開いたあと、Wi-Fiを切る(LANを抜く)。番号表を作る・番号を振る・塗る・名前を戻す、がそのまま動く。名前を扱う作業が通信に頼っていないのが分かる(1分)
2. 送る前の確認画面を見る。送る画像(塗ったあと)を全枚見てからでないと送れない
3. 開発者ツール(F12 →「ネットワーク」)を開いたまま使う。名前を扱う間は通信が出ず、送るときに出ていくのは番号と塗った画像(5分ほど。IT担当の方向け)
4. 画面に付けている通信の制限(CSP)。画面のプログラムは、AkariLabのサーバ以外へ通信できない。ブラウザ自身が止める
いちばん早いのは最初の方法で、1分で終わる。面談の場でも、その場でやって見せられる。
通信が要るのは、画面を最初に開くときと、AIへ送って読み取るときの2つ。読み取りはAIを使うので、送るときだけは通信する。
■ 架空のカード10枚で試した
名前を塗った画像でも、日付と時刻がちゃんと読めるのか。2026年11月5日に、自分で作った架空のタイムカード10枚(10人、10月の1か月分、310行)を、塗って番号を印字した画像だけにして読ませた。
・1回目(10:19):310行中247行が一致。62行は出てこなかった(2枚ぶん)。値が違ったのは1行
・2回目(10:39):読み直す処理を入れて同じ画像で再実行。310行中309行が一致、出てこなかった行は0。違った1行は画像の下端で打刻が切れていた日で、要確認の印が付いた
1回目は、2枚ぶんが丸ごと出てこなかった。AIの返事の形が崩れて、こちらが読めなかったためだ。正直、これを見たときは少し焦った。崩れたときに読み直す処理を入れて、同じ画像でもう一度通したのが2回目になる。
2回目で値が合わなかった1行は、画像の下の端で31日の打刻が切れていた日だった。この行には「要確認」の印が付いた。
数字の読み方には注意がいる。カードは自作なので、実物の撮影のゆがみやかすれは再現しきれていない。手元で動かしたので、画像の前処理も動いていない。回数も2回だけだ。これで実物でも同じ数字が出る、とは言えない。
■ まだ弱いところ
・塗る位置がずれると、名前は写ったまま送られる。サーバは塗り残しを見分けられないので、送る前に全枚を見る手順は外せない
・取り込める画像はJPEGだけで、PDFは受け付けない
・この取り込みは事務所ごとの切り替えで、オンにすると氏名入りの普段の取り込みは使えない
・氏名が混ざるのを防ぐため、備考欄の文章は読まない
・名前を消すと、給与ソフトへの取り込みや検算は番号が手がかりになる。名前で目を合わせて確認している事務所では、かえって手間が増えるかもしれない
最後の点は、まだ答えが出ていない。お試し先の事務所に見てもらうのはこれからで、そこで聞いてから決めたい。
■ これで個人情報ではなくなるのか
そうは考えていない。番号付きの画像は、番号表を持っている事務所から見れば、個人データのままだ。こちらの理解では、読み取りの依頼は個人データの取扱いの委託として扱うことになる。委託の範囲と削除の約束は、利用規約に書いた。
それでも、AkariLabのサーバと読み取りに使うAIに、氏名そのものは渡らない。万一のことが起きたとき、出ていくものが少ない。いまのところ、この取り込みで言えるのはそこまでだ。
タイムカードの転記や、顧問先から届く勤怠の扱いで気になることがあれば、ココナラのメッセージから聞いてください。