YAIBA
誰もいない部屋で一人ぼっち。
自分で埋めた鍵穴を見つめる。
笑顔を隠しながら、
もう二度とこの扉を開かないと誓ったのは、
いつのことだっただろう。
なにが悪かったのか分からない。
ちょっとかわいそうだと思ったから注意しただけなんだ。
健人はスネ夫みたいなやつだ。
光輝というジャイアンに媚びを売っている。下手に出ていながらも実際にはうまくその力を利用する。
誰に対しても自分の方が上なんだとマウントをとりたがる。
ムードメーカーな部分もあるが、
調子に乗ってやり過ぎてしまうことがたまにきず。
あのときもそうだ。
なんの変哲もない給食の時間。
なにがきっかけだったか忘れたが、宏が鼻から牛乳を吹き出した。
それをきっかけに教室は爆笑に包まれた。
そこまでは良かったんだ。
みんなで笑っていられたから。
健人は宏を昼休み中ずっとイジっていた。
ダセーとか、カッコわりーとか、とにかくしつこい。
宏もうんざりしていた。
そんな宏をもっとへこませようとしたのか、
「だからお前は絵美に嫌われてるんだよ」と。
宏が絵美のことを好きなのは、薄々みんな気づいてる。
でも、わざわざ口にするやつはいなかった。
宏は、ちょっと嫌な言い方をすると、
なんの害もないやつだ。
クラスでも目立たない、
勉強も運動もやや平均より下。
絵を描かせるとめっちゃうまいけど。
「もうやめてやれよ」
そう発した俺の言葉に、
健人は鋭い目つきで睨んできた。
そのときはそのまま終わったが、
次の日から明らかな嫌がらせが始まった。
正義の味方のお出ましだ、とか、
ちょっと体育で活躍すると、
「やっぱ隆明はちがうなー」と
なんの感情もな
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