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【第十七話】菩提寺に手紙を書く

祖母の菩提寺は、生家からそれほど遠くない場所にありました。 「もしかしたら、何か分かるかもしれない」 そう思い、 まずは手紙を書くことにしました。 突然訪ねるのは失礼かもしれない。 まず事情を伝えよう。 そう考えて、丁寧に手紙を書き、 投函しました。 返事を待ちましたが、 一週間ほど経っても連絡はありません。 やはり難しいのかもしれない。 そう思いながらも、 思い切って電話をかけてみました。 少し緊張しながら事情を伝えると、 ご住職はとても穏やかな声で言いました。 「一度、来てみますか」 こうして、 お寺を訪ねることになりました。 正直、 断られるかもしれないと思っていました。 というのも、 お寺の過去帳は昔のように 簡単に見せてもらえるものではありません。個人情報の問題や、 身元調査に使われることもあるため、 今では 閲覧を禁止する運用をするようお達しが出ているようです。ですから、基本的に過去帳を見ることはできません。あくまで、ご住職のご厚意で抜粋したものを教えて頂きます。実際、訪ねたときもまず目的を聞かれました。 私は、 先祖のことを知りたいという気持ちを 正直に話しました。 するとご住職は、一通の封筒を取り出し名前が書かれたメモを机の上に広げて下さいました。そこには、戸籍には出てこなかった名前がありました。 そしてもう一つ、 目に止まる言葉がありました。 「初代 長蔵」 最古の戸籍に出てくる あの長蔵です。 しかし、 そこにはこう書かれていました。「初代…?」その言葉を見たとき、 正直、つながったという感覚はありませんでした。 むしろ、 新しい疑問が生まれました。 何の初
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【第二十二話】釜石という港

郷土史を読み進めていくと、銀蔵の仕事についてもう少し詳しい記述がありました。船大工として造った船のことです。その説明の中に、船がよく寄港していた港の名前がいくつか書かれていました。その中に、見覚えのある地名がありました。釜石思わず手が止まりました。小田原から釜石。地図を思い浮かべると、かなり遠い場所です。「こんな遠くまで?」そう思いました。さらに読み進めていくと、その理由が少し見えてきました。当時、小田原の漁師たちが釜石に滞在して漁をしていたことがあったというのです。この郷土史には、当時の漁師町の暮らしや祭り、子どもたちの様子なども細かく書かれていました。地元の人たちが公民館でまとめた郷土史でした。そのページを読みながら、当時の町の風景が少しずつ浮かんでくるようでした。そして、この釜石という地名は別の資料の中でも見つかることになります。曾祖父には兄がいました。その兄が、釜石で海産物の仲介の仕事をしていたのです。小さな会社を立ち上げていたことが別の資料から分かりました。もしそうだとすれば、兄は釜石で商売をし、弟だった曾祖父はその仕事を手伝っていたのかもしれません。地元では、どこか定まらない人のように語られていた曾祖父。けれど、別の土地では、別の役割を持っていたのかもしれない。そんなことを考えました。一冊の郷土史から、船大工の先祖。遠くの港。そして、釜石での兄の仕事。それまでぼんやりとしていた家の歴史が、少しずつつながっていくのを感じました。まるで濃い霧がゆっくり晴れていくようでした。
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