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The Gazer【ファンタジー小説サンプル/ポートフォリオ】

 北部の雪深い山脈の覇者、吼えざる魔獣、無音の狩人とは白狼の呼び名だ。  その獣は鋭い爪と牙で、物音ひとつ立てずに獲物を襲うという。しかし本来の気性は穏やかで、白狼は決して無駄な狩りをしない。食べるだけの命を奪い、敬意と共に骨や内臓を埋葬すると伝えられている。 白狼の寿命は、およそ三十年。生まれてから八年程度で成熟し、厳しい冬の訪れと共に繁殖期を迎える。麓の森で根菜や木の実を集めるのは雄、永遠の白い山肌で角鹿や雪兎を狩るのは雌の役割だ。心を通わせた番同士は一つの穴倉で極寒の季節を過ごし、やがて雪の割れ目から草花の芽が出る頃になると、小さな命がひょっこりと巣から顔を覗かせる。 白狼の雌は生涯で五回から八回の出産を経験するが、無事に成長する子供は半分にも満たない。母は暖期のあいだに子へ狩りを教え、父は寒期に向けて食料を集めるのが慣わしだ。白狼の子供は、三年ほどで独り立ちする。その後に待ち受けるのは、戦士としての孤独な日々だ。無慈悲な狩人として知られる白狼だが、山の動物たちを襲う外敵に対しては、雪原の守護者として立ち向かう。故に多くは、そうして戦いの中で命を散らしてしまうのだ。 繁殖期を終え、最後の子が巣立つのを見届けた白狼は、番同士で山脈の向こう側へ旅立つという。厳しい山越えの先で、彼らは女神の御許へ迎えられるのだと語り継がれてきた。しかし近年は研究が進み、新たな生態が明らかになっている。実際は流氷に乗り、大陸の外側を迂回して南部へ渡っているという事実が判明した。 南部の森林で神の牙として崇められる白い毛並みの老獪な獣たち――彼らは遠い北の地より最後の安寧を求めて訪れた、遥かなる旅
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「キャットとオウルの冒険」第2話 時の旅人

図書館の静寂が二人を迎え入れた。窓から射し込む陽光が、古びた本のページを黄金色に染めていた。ミトンは尻尾をふりふりと振りながら、膨大な書棚の一つを探っていた。その側には、眼鏡をかけたフクロウのフクリーが立っていて、ほとんど不動の姿勢で本を読んでいた。 「フクリー、見てみて!これすごくない?」 ミトンが目を輝かせながら大きな本を持って駆け寄った。 「『時の旅人―過去への道』っていう本だよ!」 フクリーは本のタイトルを眺め、興味津々な表情を浮かべた。 「ああ、それはかなり珍しい本だな。時間旅行に関する魔法が書かれているんだろう?」 ミトンはにっこりと笑い、うなずいた。 「そうなんだよ、想像しただけでわくわくするよね!中にはどんな魔法が書いてあるんだろう…」 フクリーは心配そうに眼鏡を直しながら言った。 「ミトン、それは大変な魔法かもしれないから、注意が必要だよ。いきなり開くのはどうかな…」  しかし、ミトンの好奇心はすでに彼を先へと駆り立てていた。 「大丈夫、フクリー!一緒にいれば何とかなるよ!」 彼は再びにっこりと笑い、その場を去った。フクリーは苦笑いしながら、ミトンの後を追いかけた。  ミトンが一心不乱にその大きな本を開いた瞬間、突如として現れた強い風が二人を取り巻いた。 「フクリー、何これ!?」 ミトンが驚きの声を上げる。 フクリーは風に煽られながらも、「ミトン、それが時間旅行の魔法だ!」と大声で叫んだ。その言葉が終わる前に、一瞬の閃光とともに、二人は未知の場所に飛ばされてしまった。  周囲を見渡すと、彼らは中世の魔法学校のような場所にいた。建物は石造りで、天井は高く、壁には
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Ultimate ONE ~第一話~【最下層のバー】原作

次元のどこかに存在する、惑星のような不思議な物体 地球の数千倍は大きいであろうこの物質は 自然の賜物だろうか、あるいは誰かが作ったものなのか… この惑星には地球上にも存在するような生命にも似たものも生息している。 それらはそこで暮らし、進化をしてきた。 ある者は自分がいる世界に興味を持ち、この創造物をこう呼んだ…  『アルティメット』と… Ultimate ONE ~第一話~【最下層のバー】 モブ 「おーい!そろそろ都には着く頃じゃねぇーか?」 助手 「はい!計算では、その都のウエピナに着く頃でございます。」 モブ 「しかし、なんで俺たちの町はウエピナから、こんな遠く離れちまってんだろうな。燃料が尽きそうだぜ。」 助手 「そういえば、モブさんはここに来るのが初めてでしたね! 地上にはゾンビという病に侵された人たちがさまよってるらしくて、近くには町を作れないそうです。」 モブ 「ほー? 病に侵された人間がそんなに怖いものかねぇ」 助手 「はは、モブさんはホント世の中の事に興味がないんですね? あ、見えてきましたよ! 武器の都… ウエピナが!」 高い城壁で囲まれ、地上からは一切の侵入を拒む都…ウエピナ…武器の製造が盛んであり、近くの町や都市から買い付けに来る人たちも多いが、数十年前からある感染病が流行り、死ぬに死ねない人間たちが城壁の外をさまよっているらしい。 ある事件が起きるとも知らず…モブたちは商売のため、このウエピナへ訪れた… ~ウエピナ市街~ 街の中には数百メートルに及ぶ高層ビルたちが立ち並ぶ 富裕層は上層に住みたがり、治安はAIによって保たれている。 最下層の地面に近くな
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コミカライズ連載完結 & 6/24単行本発売のお知らせ

本日、pixivコミック内web誌『comicLAKE』にて連載しておりました、コミカライズ版「魔王の庭の白い花」が完結いたしました✿ (ココナラでは外部URLの検索ができませんので、”comicLAKE”か作品タイトル名で検索してみてください。ネット掲載中は全話閲覧可能です)私の小説を素敵な漫画にしてくださった十屋つぐみ先生、 受賞作として選んでいただき、コミカライズを決定してくださった出版社様、 本作に関わってくださった編集者様・制作関係の方々、 何より最後までお読みくださった読者様、本当にありがとうございました! 単行本は一迅社様より、6月24日発売予定です❀ お近くの本屋さん、Amazonなどのネットショップでお求めいただけます。 その後をえがいた、オマケの書き下ろしのショートストーリーも収録予定です^^小説及びイラスト関連の投稿は、現在pixivがメインです<(_ _)>
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朗読動画:勇者の戯言【ファンタジー小説11話まとめ】

 おはようございます。ブログを閲覧いただきありがとうございます。 youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。 自身で小説を書き、声優さんに朗読していただいたものに動画編集をして公開しております。 たまに作者自身の北条むつき朗読もございます。 今回ご紹介の朗読動画は、ファンタジー小説11話まとめたお話です。 良かったら聴いていただけると嬉しいです。・朗読動画もご用意しております。・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。◉勇者の戯言作 者:北条むつき朗 読:マツブー◆第一話 誕生「俺は勇者だ!」「俺は勇者だ!」「俺は勇者だ!」「俺は勇者だ!」「俺は!」「俺は!」「俺は勇者……」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ある時から、魔王という存在が人々を恐怖に陥れていた。 剣を振り乱し、魔法を使い、モンスターを使い、人々の生活を邪魔し、街を破壊していく。そういう中世の世界。 そんな日々の中で、ある街に男の子が生まれた。 男の子の尻には、☆印がついており、それが赤く染まっていた。 村の村長に見せる。「これは勇者の紋章!」 代々引き継がれた古本により判明したその☆印。 伝説の勇者の子をアンソニーと命名した。突然変異によって生まれた勇者の子供を大事に育てていった。すくすくと育っていくアンソニー。 アンソニー14歳の春。アンソニーは、村人達を集めて、英雄団と呼ばれる組織を作った。 街の兵達《つわものたち》が集う集団。剣術や、武術、格闘技や、魔法やモンスター使い。各々が役割を持ち、打倒魔王に向けて、訓練が始ま
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異世界お料理ファンタジー小説抜粋『第一騎士団のキャトレール・サワークリームドーナツ

趣味でファンタジー小説を書いています。基本1話完結の長編小説です。一部のエピソードを抜粋して掲載いたします♪◼️あらすじ◼️精霊王の末裔・オリヴィア小国のシャルロット姫の前世は、高校生の息子を持つシングルマザー。料理上手でしっかり者の姫を気に入ったクリシア帝国の皇帝から、グレース皇子との縁談を強引に持ちかけられる。箱入り皇子・獣人騎士団、狼の精霊・放蕩王子・双子の王etc美味しい料理を通して、出会う人々と交流するストーリーです。…(第1章)。☆第二章☆ 国を追い出されてしまった放蕩王子ゲーテを、第二騎士団で預かることに。王子から騎士見習いになった彼はやる気がなく怠け放題で…。◇シャルロット姫の食卓外交◇抜粋第二章 第一騎士団のキャトレール・サワークリームドーナツシャルロットは、城の回廊をチワワのクロウを抱きながら侍女のリディを引き連れて歩いていた。 今日は第一騎士団のキャロルからお料理の注文があったのだ。 正午から第一騎士団にて月始めのミーティングの時間があるようで、ミーティング後 恒例の騎士たちのアフタヌーン・ティーに何かおやつを作って欲しいと頼まれたのだ。 それでリディと2人で城の北側にある第一騎士団の詰め所へ向かっていたのだが……「あら?」「例の……俺様王子ですね」 長い空色の直毛をポニーテールにまとめ上げ、黒い第二騎士団の騎士服を身に纏ったゲーテ王子が不機嫌そうに眉間にギュッとシワを寄せながら前方からズカズカと歩いてくる。 今日から第二騎士団で騎士のご奉仕だとグレース皇子が仰っていたのに、どうしたのかしら? シャルロットはふと立ち止まった。「お前はオリヴィア小国の姫か」
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異世界転生お料理ファンタジー小説「わがまま王子のスコッチエッグ編」

趣味でエブリスタにてファンタジー小説を書いています。基本1話完結の長編小説です。一部のエピソードを抜粋して掲載いたします♪◼️あらすじ◼️精霊王の末裔・オリヴィア小国のシャルロット姫の前世は、高校生の息子を持つシングルマザー。料理上手でしっかり者の姫を気に入ったクリシア帝国の皇帝から、グレース皇子との縁談を強引に持ちかけられる。箱入り皇子・獣人騎士団、狼の精霊・放蕩王子・双子の王etc美味しい料理を通して、出会う人々と交流するストーリーです。…(第1章)。◇シャルロット姫の食卓外交◇抜粋『失礼なお客様』ーー騎士団の調理場。 シャルロットは侍女服姿でかまどの前に立ち、アヴィやリッキーと共に騎士達の夕食作りに励んでいた。 今日のメイン料理は、ゆで卵をひき肉で包んでパン粉をつけて揚げたスコッチエッグ。 それから、クロウの畑で採れた大根をバターでソテーした大根のステーキに、人参のポタージュだ。 「なんだ?城の中に料理屋があるのか?」 料理の匂いにつられてやってきたのか、調理場の勝手口からいつの間にか知らない男が侵入してきた。 「どっ~どちら様で?」 アヴィが恐る恐る聞く。 男はフンっと不遜な態度で調理場に入ってきた。 「ミレンハン国の王子ゲーテだ」 「えええっ!?」 調理場に居た3人は驚愕した。「俺は今腹を空かせている、さっさと料理を用意しろ。席はあちらか?」 ゲーテ王子は調理場を経由して調理場と連なる隣の食堂に入っていった。 食堂にいた騎士達もギョッとしている。 「恐れ入りますが ここは飲食店ではありません。騎士団の寮舎ですわ」 グレース皇子が急な賓客と本殿で一緒に晩餐をとることにな
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異世界転生お料理ファンタジー小説「思い出の塩おにぎり編」

趣味でエブリスタにてファンタジー小説を書いています。基本1話完結の長編小説です。一部のエピソードを抜粋して掲載いたします♪◼️あらすじ◼️精霊王の末裔・オリヴィア小国のシャルロット姫の前世は、高校生の息子を持つシングルマザー。料理上手でしっかり者の姫を気に入ったクリシア帝国の皇帝から、グレース皇子との縁談を強引に持ちかけられる。箱入り皇子・獣人騎士団、狼の精霊・放蕩王子・双子の王etc美味しい料理を通して、出会う人々と交流するストーリーです。…(第1章)。◇シャルロット姫の食卓外交◇抜粋『シャルロットと第二騎士団』ーー第二騎士団 鍛錬場 。出来上がったオニギリをバスケットに詰めてリディと二人で鍛錬場まで運んだ。 「結構 遠いわね」 シャルロットとリディの額には汗がにじむ。 太陽が空の真上に登っている、春とは言え今日は日差しが強い。 そんな中、鍛錬場には野太い掛け声と共に十数人の騎士達が挙って一心不乱に剣を素振りしていた。 彼達の前にグレース皇子も混じっていた。 「運動部の朝練風景のようね」 シャルロットはまじまじと彼らを見つめながらボソッと呟き、微笑んだ。  鍛錬場を過ぎたところに第二騎士団の詰め所と寮、食堂があった。 食堂の中に入ってシャルロットとリディは声をあげた。 「どうしてこんなに散らかってるのかしら?」 「酷いですね~」 思わず扉の前で棒立ちしてしまっていたので、ついさっき閉めたはずの扉が急にガタンと音を立てて開いたのに不意を打たれて思わず小さく悲鳴をあげてしまった。 シャルロットとリディに続いて入ってきたのはオレンジ頭のエプロン姿の青年だった。 青年はシャルロットと
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『森での迷子』※吸血鬼もの。無料で読める短編ホラーです。

 俺達が中学校に通う途中の道には“迷いの森”と呼ばれている、雑木林と沼地に覆われた場所がある。  俺は小学校以来の友人である、美果理(みかり)と雅広(まさひろ)の三名で、その“迷いの森”に向かう事になった。きっかけは、俺がクラスメイトに馬鹿にされた事だった。当時、俺は中学二年になっても童顔で身長も低く、朝礼の時など、先頭から数えて二番目くらいに来るような背丈だった。ちなみに一番身長が低い奴はチビを売りにしていて、クラスの人気者だった。身長がどうとかではなく、俺は要領が悪かったのだと思う。  そんな俺を見かねて、小学校以来の友人である雅広は何かと俺を助けてくれた。雅広は身体も大きく、中学に入ってからは空手部に所属していた。 「お前をイジメている奴らを見返してやろうぜ」  そう雅広は気さくに言う。 「いや、別に俺はイジメられてない、って……」 「いやいや、イジめられてるだろ。なんか、お前、クラスの連中にムリヤリ制服脱がされそうになっていただろ、どんな貧相な身体なんだ、ってさ。和哉(かずや)、男を見せろよ、男を見せれば、連中に馬鹿にされないって」  そう言いながら、雅広はまるで他人事のように笑う。 「なんだよ、俺はその…………」 「だからさ。例の“迷いの森”に行って、その奥にある廃屋の洋館から何か取ってこれば、お前、連中に馬鹿にされる事は無いって」  そういうわけで、俺は度胸試しをする事になって、迷いの森に向かう事になった。  当初は、俺と雅広だけで向かうつもりだったが、同じく小学校以来の友人である美果理も付いてくる事になった。美果理は女子達の仲でも、少し浮いていて、男子と
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小説 私が海賊になった理由

私が海賊になった理由      海の風が、窓を開けた。海風を感じるたびに、あの頃の夢や冒険を思い出す。そして、決まって、私が海賊になった理由を、誰かに話したくなってしまうのだ。しかし、今日は、思い切って話すことができる。一人の少年が、私の目を見つめた。彼の準備は、できているようだ。そして、私の準備もできている。
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