「場数を踏めば、歌は上手くなるの?」 ~ステージ経験を力に変える、日々のボイストレーニング~
歌がうまくなりたいなら、人前で歌え。場数を踏め。舞台が育ててくれる。って、よく言われますよね。たしかに、舞台に立つことやライブを重ねることで、歌が大きく変わることはあります。その場の空気を動かすような表現力。遠くのお客様へ向けて、声を届ける感覚。広い空間や、お客様の熱気のなかでも歌い続けるパワー。そういうものは、実際にその場に立ってみなければ、なかなか身につかないものだと思います。でも、ここで一度、分けて考えておきたいことがあります。ボイストレーニングと、舞台本番に向けて行う歌のお稽古は、同じ「歌の練習」ではありません。ボイストレーニングで行うのは、身体の使い方。息のコントロール。発声の基礎。つまり、声を出すための身体という楽器そのものを育てていくこと。もちろん、すべてが完璧になってから、舞台に立つ必要はありません。けれど、ある程度、自分の身体をどう使えば声が出るのか、少しずつ分かり始めていることは大切です。一方、舞台本番に向けた歌稽古では、歩きながら歌う。お客様の方を見ながら歌う。役として感情を動かしながら歌う。ときには、全力で踊りながら歌う。そんな実践のなかで、どう声を使っていくかを考えていきます。普段の発声練習では使わないような声を、表現としてあえて使うこともあります。つまり、ボイストレーニングは、楽器を育てる時間。舞台の歌稽古は、その楽器を使って作品をつくる時間。役割が違います。スポーツでも、試合だけを繰り返すわけではありません。日々の筋力トレーニングがあり、実際の試合をイメージした部分練習があり、そのうえで本番に臨みます。歌も、それと少し似ています。舞台で実践を重ねる
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