父を悪者にして、家は保たれていた。
※母親を嫌いになりたい話ではありません。
ただ、自分の人生を守るための話です。
答えを出すための記事ではありません。
ただ、同じ場所で立ち止まっている人に、
「ひとりじゃない」と伝えたくて書いています。
子どもの頃、私は父のことを「悪い人」だと思っていた。母の話を聞き続けていれば、そう思うしかなかった。家が苦しいのは父のせい。お金が足りないのも父のせい。母が不機嫌なのも、報われないのも、全部、父が原因だと教えられてきた。だから私は、父を責める側に立った。母を守るために。それが、この家で生きるためのいちばん安全な立ち位置だった。大人になってから、少しずつ見える景色が変わった。父には問題がなかったわけじゃない。お金の使い方も、生き方も、家族にとって苦しかった部分は確かにあった。でも同時に、父は最低限の責任は果たしていた。仕事をし、家族を養い、母に全面的に従うことだけは、最後まで拒んでいた。今ならわかる。父は「自由」だったのではなく、「支配されなかった」だけだったのだと思う。母にとって、それは許しがたいことだったのかもしれない。思い通りにできない相手。完全に管理できない存在。だから父は、家族の中で“悪者”の役を引き受けることになった。そして私は、その物語を信じる役を担った。父は病気で、還暦を迎える前に亡くなった。離婚はしなかった。家族を捨てることもしなかった。でも、母の望む人生を生きることも、最後まで選ばなかった。今なら、父にこう言いたい。「自分の人生を、ちゃんと生きたね」と。それは称賛でも、美化でもない。ただ、事実として。この話は、父を持ち上げるためのものではない。ただ、誰かを悪者
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