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ホテルの部屋で考えたこと

この原稿はホテルの部屋で書いています。 どうも筆が進まない、いやパソコンで書いているので、キータッチが進まないというべきか。 こういう時は、何を書こうとしても絶対書けない。書いては消し、書いては消しと30分の格闘が続いている。 ふぅっとため息をついて顔を上げれば、鏡の中に、疲れた顔の中年のおじさんが写っていた。 髭が中途半端に伸び、白髪まじりの頭髪は、なんとみすぼらしいことか。 どうしてここに鏡があるんだ、と誰にもいえない八つ当たりをして、窓の近くの小さなテーブルに移動した。二度目のため息のあと、いまだやめられない煙草に火をつけ、ゆっくり煙の上がる天井や、壁に掛かる風景画をぼうっと眺めていた。 なんか変だ、なんか違和感がある。 今まで気にしなかったこの部屋が、妙に変なものに感じてきた。 「この部屋は寝室なのか、リビングなのか」 今までなんとも思わなかったホテルの部屋に、身勝手なな疑問がわいてきた。 ベットがあるから寝室だ。こんな発想がまず頭に浮かんだ。 しかし、この寝室には扉をひとつ開ければトイレがある。 わざわざ外に出る必要はない。狭いが一人で使うには充分な広さのユニットバスもある。 すぐ横には、タオルやら石鹸が揃ったこじんまりした洗面台もある。 トイレ、ユニットバス、洗面台が、ひとつの扉の中に、スペースの無駄なく揃っている。 入り口ドアを部屋の内側から眺めれば、横には姿見があり、扉を開けて使う小さなクローゼットもある。そして女性が使うであろう化粧鏡はもちろん、冷蔵庫まで揃っている。 なんと贅沢な寝室だ。  リビングとして見たら、どんな部屋に見えるだろうか。
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