私が最初に感動した本が編集者としての原点だった
大人になると、
泣いた理由をうまく説明できなくなります。
「感動したから」
「いい話だったから」
そんな言葉で片づけてしまうけれど、
本当はもっと深いところで、
何かが自分の人生と結びついて震えている。
きっとあなたにも、
「なぜか忘れられない一冊」
「理屈じゃなく心に残っている物語」
があるのではないでしょうか。
そして、今でもあなたに影響を与えている。
私にとって、それは
ドラえもん第6巻の最後に収録されている
『さようならドラえもん』 でした。
私が初めて“本に泣かされた”夜
私が生まれて初めて、
本に感情を動かされ、涙を流したのはこの話です。
未来へ帰らなければならなくなったドラえもん。
動揺するのび太。
「今までありがとう」と頭を下げるのび太の両親。
そして迎える、最後の夜。
夜中に目を覚ましたドラえもんは、
のび太の姿が見えないことに気づきます。
探しに行くと、
寝ぼけて外を歩いていたのび太が、
よりにもよってジャイアンに絡まれている。
いつもののび太なら、逃げる。
泣いてドラえもんを呼ぶ。
でもこの夜だけは違った。
「ここで負けたら、
ドラえもんが安心して未来に帰れなくなる」
その一心で、
のび太は必死に立ち向かう。
何度殴られても、転んでも、立ち上がる。
最後は、根負けしたジャイアンが逃げていく。
その一部始終を、
ドラえもんは影から見届けていました。
そして翌朝、
目を覚ましたのび太の隣に、
もうドラえもんはいない。
この数ページで、
私は小学生ながら、
胸をえぐられるような感情を味わいました。
子ども向けの物語に隠されていた信用の正体
大人になって読み返して
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