【短編小説】奇妙な手紙
『前略、いま君は、どんなことを思いながらこの手紙を読み始めたのだろうか。
期待、それとも不安。たぶん、顔も名前も知らない僕からの手紙を、不安に思いながら読み始めたのだろう。
いま、君は何かしら、悩みはありますか。勉強、仕事、家庭、対人関係、あるいは、将来について。君はいま、いろいろな悩みを抱えながら生きているだろう。
いま、君にはそれを、素直に打ち明けられる人がそばにいますか。たぶん、誰も居ないだろう。そんな悩みを持っていても、君は、周囲には明るく陽気に振る舞い、あるいは、孤独な振りしてそうした悩みなど、何もないという顔で、生きているだろう。
そして、そんな弱みを周囲に気づかれまいとして、泣きたいときも泣かず、怒りたいときも怒らず、言いたいことも半分も言わず、毎日を暮らしているだろう。だから、人から夢は何かと尋ねられても、やりたいことは何かと尋ねられても、君は決して本心を言わず、さし障りのない自分を演じながら、月並みの返事をするだろう。それでいて、君は、心の中では、自分だけは特別な人間だと思っているだろう。
だが、はっきり言おう。この世に生きている人間に特別な人間など誰一人、居ないのだ。君をいじめる君の友達も、きっと、君と同じような劣等感で、悩んでいるのだ。 君を振った君の相手の人も、君と同じくらい恋愛のことについて悩んだはずだ。 君のそばで仲間と楽しく談笑している君の友人にも、寂しくて悲しくて、眠れない夜だってあるんだ。
例え、君が障害者であっても、君の障害で悩んでいるのは、君だけじゃないんだ。ひとりぼっちだって思っている君にも周囲を良くみれば、君の悩みを真剣に聞い
0