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「夢十夜 第一夜」のお話

かの大文豪、夏目漱石の著作に、「夢十夜」という短編集があり、私はそれが大好きだ。 「夢十夜」さえあれば、トマトジュースは何本でも飲める自信がある。 その中でも「第一夜」が特に素晴らしい。 これはラブストーリーで、男と死にゆく女の物語だ。 ー---------------------------- 女は病に臥せっており、まもなく死んでしまうと言う。 「もう死にます」と女は言う。 とても美しく、血色のいい女は、とても死にそうには見えない。 だが、もう死ぬのだ。 女は言う。 「私が死んだら庭に埋めてください」 「真珠貝で穴を掘って、私を埋めたら、星の欠片を墓標にして、その前で百年、待っていてください。きっと会いに来ます」 男は黙って頷く。 やがて女は死んでしまう。 男は、女の遺体を庭に埋める。 真珠貝で穴を掘るときに、貝の裏側に月の光が反射してきらきらと光った。 星の欠片を墓標にして、男は待った。 太陽が東から昇る。 そして西へ沈んで行った。 ひとつ、と男は数えた。 そうして、数限りない太陽を、男は見送った。 だが、女は来ない。 男が騙されたのではないかと疑い出したそのとき、墓標の下から植物の蔓が伸びてきて、男の胸の前で止まった。 先端から蕾が開き、百合の花が咲いた。 天から一滴の雫が落ちてきて、花弁にあたり、花弁は潤んで香った。 男は百合の花弁に、軽くキスをした。 見上げると、明けかける夜空にひとつ、星が光っていた。 百年はもう来ていたんだな、と、男は思った。 ー---------------------------- という話で、とにかく表現が美しいです。 男の胸の前に咲いた百合
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