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「気を散らす」

映画やドラマを見ていると、主人公が過去のトラウマを乗り越えるという筋書きは、ちょくちょくある大方、宿命とか大層な意味づけをして、逃げずに、真っ向勝負で、克服しようと試みる。また、その過程で、悩み、葛藤する主人公に、読者や視聴者は、共感し感情移入していく。そして、そのトラウマを乗り越えると、一回り大きくなる。めでたし、めでたし。この手の流れというのは、ステレオタイプで、パターン化している。しかし、現実問題としてどうだろう?映画やドラマのように、トラウマに決着をつける、ドラマチックな機会など、いくら待っても、我々には訪れないし、結局、そのままお墓に入る事になるとはいえ、たまに、共感できるストーリーもある。最近、見たドラマでは、「SHERLOCK」Episode1 ピンク色の研究Amazon Primeで、視聴可能以降は、ネタバレになる。嫌な方は、とりあえず、見てから、この後を読むといいだろう。BBC制作のドラマ。主人公のシャーロック・ホームズには、ベネディクト・カンバーバッチ(発音が難しいw)。助手で医者のワトソンには、マーティン・フリーマン(小柄の演技派・ホビットの主役)。舞台は、現代のロンドン。ワトソンは、軍医としてアフガン戦争に従軍。重度のPTSDを患い、 帰還後は、戦場のトラウマ、フラッシュバックに悩まされている。定期的にカウンセラーを受け、セラピーに丸一日、自分の気持ちを聞いてもらっている。どこぞの占い依存症と大差はない。身体は健康なのだが、心因性による麻痺で、片足が動かない。その為、外出には、「杖」が欠かせない。Epsode 1なので、まだ、ホームズとコンビを組んではい
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小説『DNA51・影たちの黒十字』(続ロザリンド物語) 〜9〜

小説『DNA51・影たちの黒十字』(続ロザリンド・フランクリン物語) 〜9〜          10                 賢振寺のクリック賢振寺(ケンブリッジ)に戻ったワトソンは研究室の先輩であるクリックに倫敦大学で見たB型核酸のX線回折画像の話をしました。ワトソンとクリックとの間では、研究情報については常にオープンで、自分達が得た知識を互いに披露し合い、疑問点や感想、意見、見解など率直に語り合う日常がそこにはあったのでした。「B型核酸っちゅうモンが有るってかぁ・・・ とゆうことはやなぁ・・2種類の核酸が現れて来おるゆうことやな。 今までワシらが見せられていたんは、その一方だけや。 そうゆうこっちゃないか? 倫敦大の連中、出し惜しみしよるなぁ」ワトソンの話を聞きながら、手に持ったコーヒーをグイッと飲み干すと、クリックの興味は徐々に拡大していくようです。「まぁ、連中にしてもそれは最近発見したような様子でしたし、 発見者はロザリンド研のようですね。 論文発表する前に私に教えてくれたので、 出し惜しみということではないとは思いますが・・」ワトソンは画像を見せてもらった手前、さすがに倫敦大学のことを非難することはできません。クリックはタバコパイプに火を付けると一息けむりを吐き出しました。「しっかしやな、英国医学研究機構には報告書を送っておる、 さっきワトソン君、キミそうゆうてはったやないか。 報告書を書く時間あるんやったら論文も同時にサッサ〜と書いてやなぁ、 発表しはったらええんとちゃうか? しかも、B型画像を見せてくれたんは発見者ロザリンドやのうて、 ウィルキンス博士や
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『小説・ロザリンド・フランクリン物語』 〜08〜

『小説・ロザリンド・フランクリン物語』 〜08〜『小説・ロザリンド・フランクリン物語』           9        DNA51これまで辿ってきた幾つか事実の経緯からみると、ロンドン大学の研究室グループではDNAの実像形態としては 螺旋体 をしているのではないかとの噂のような、予測のような、予言のようなものがストクスやウィルキンスの間で立ってはいましたが、それはまだ内部保留、内部機密の段階に留まっていました。ただ、二重螺旋体 とまでは至ってはいなかったようです。また、ロザリンドの発見したAタイプとBタイプの結晶、そして、そのAタイプ、Bタイプの生成方法もまた内部保留、内部機密の段階に留まっているのでした。それが1952年に決定的証拠となるロザリンドのBタイプ画像撮影成功があり、それを見たウィルキンス、「こりゃ、確実に螺旋体ですがな」と唸り声を上げ、ウィルキンスを中心に論文発表への意思が強まりました。しかし、当の撮影成功者ロザリンドは論文発表に積極的ではありません。「どや、ひとつ此処らで論文発表してみぃひんか?」最新51番画像写真を広げた机に両手をついたウィルキンスは見上げる視線をロザリンドに投げながら、そう促してみるのでした。「まだよぉ〜。まだ、まだ。 A型とB型の生成メカニズムも完全解明されてないし・・」と腕組みをしながらロザリンドはあくまでも控えめな口調です。メカニズムが明らかにならないとロザリンドは気が済まない性分なのでしょうか。「何言ってはるんや、もう論文発表の段階、来てるやないのぉ〜」とウィルキンスは内面苛立ちを隠せません。研究の途中段階でも、新局面に入ったら
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『ロザリンド・フランクリン物語』 〜02〜

『ロザリンド・フランクリン物語』           3クリック&ワトソンが1953年4月にNature誌で発表した『DNAの二重螺旋構造』という20世紀における重大な大発見論文の2ページ目にはX線回折写真が掲載されましたが、その写真は “誰が撮影した写真” なのでしょうか。 論文発表が1953年の4月ということですので、クリック&ワトソンがロザリンドのデータや写真を見た時期から数ヶ月しか経っていません。X線結晶学の専門家ではないクリック&ワトソンが、 数ヶ月内にDNA結晶体まで作って撮影できたのでしょうか。これが一つの謎を生み出してきます。論文の文脈からすると、2ページ目の写真もロザリンド撮影の写真のようにみえますが、奇妙な事実が浮かび上がってくるのです。それは・・・・・・・      *                      *       *ワトソンがノーベル賞を受賞してから6年後にワトソンは一冊の本を執筆します。その本は ワトソン著 『二重らせん』 James Watson,1968.The Double Helix.  (Edited by Gunther S. Stent. 1980. A Norton critical edition) というものですが、この『The Double Helix』の98ページにある記述:   The instant I saw the picture   my mouth fell open   and my pulse began to race.   The pattern was unbelievably simp
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