『ロザリンド・フランクリン物語』 〜02〜

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小説
『ロザリンド・フランクリン物語』


           3

クリック&ワトソンが1953年4月にNature誌で発表した

『DNAの二重螺旋構造』

という20世紀における重大な大発見論文の2ページ目には

X線回折写真が掲載されましたが、
その写真は “誰が撮影した写真” なのでしょうか。 


論文発表が1953年の4月ということですので、
クリック&ワトソンがロザリンドのデータや写真を見た時期から
数ヶ月しか経っていません。

X線結晶学の専門家ではないクリック&ワトソンが、 
数ヶ月内にDNA結晶体まで作って撮影できたのでしょうか。
これが一つの謎を生み出してきます。

論文の文脈からすると、
2ページ目の写真もロザリンド撮影の写真のようにみえますが、
奇妙な事実が浮かび上がってくるのです。

それは・・・・・・・

      *                      *       *


ワトソンがノーベル賞を受賞してから6年後に
ワトソンは一冊の本を執筆します。その本は

 ワトソン著 『二重らせん』 
James Watson,1968.The Double Helix.  
(Edited by Gunther S. Stent. 1980. A Norton critical edition) 

というものですが、
この『The Double Helix』の98ページにある記述: 

  The instant I saw the picture 
  my mouth fell open 
  and my pulse began to race. 

  The pattern was unbelievably simpler 
  than those obtained previously ("A" form). 

  Moreover, 

  the black cross of reflections which dominated the picture 
  could arise only from a helical structure. 

ワトソンがロザリンドのX線回折写真を秘かに盗み見た瞬間を 
ワトソン自身が描写したものです。 

日本語に直すと次のようなものになるのでしょうか。 

  写真を見た瞬間、 
  私の唇は開き、 
  胸の鼓動は高鳴った。 
  写真の示すパターンは、以前に得られた"A" 型パターンのそれよりも 
  信じられないほどに単純なものであった。 
  その上、さらに、
  写真を占拠している影たちの黒十字は 
  螺旋構造からのみ現れ出でるものなのだ。 




ここで注目するところは 
the black cross of reflections 
です。 

『影たちの黒十字』での『影たち』、 
reflectionsが末文字に “S”   が付いて複数となっている点です。 

これは、影がいくつも映っていたことを物語っています。 


では、この『影たちの黒十字』の描写に適合する写真とは 
どんな写真だったのでしょうか。 


少なくともクリック&ワトソンが
Nature誌に発表した論文で掲載した2ページ目の写真は
『影たちの黒十字』
という表現に相当するものではありません・・・・。

では、
『影たちの黒十字』
がなるものが写っている写真は
どこに行ってしまったのでしょうか・・・。


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