《連載:資金調達実践ガイド》【第3回】財務基盤分析による資金調達余力の客観的評価
はじめに:資金調達における財務分析の本質的目的資金調達は、金融機関の評価を得るための行為である以前に、経営者自身が「借入金を確実に返済できる」という確信を持つための行為です。
前回までに、資金使途の分類と新規事業の収益モデル設計について解説しました。本稿では、これらの計画を実行するための財務基盤の客観的評価手法について詳述します。
返済不能に陥り、企業を窮地に追い込むことは、金融機関にとっても経営者にとっても最大の不幸です。本稿では、そのリスクを排除するための「財務の羅針盤」の構築方法を提示します。
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実例:食品製造業C社における財務認識の課題
初期相談時の状況
年商8億円の食品製造業C社。経営者から以下の相談を受けました。
**経営者の要望:**
「新規設備投資のため3,000万円の資金調達を検討しているが、返済可能性について不安がある」
**現状の財務認識:**
- 既存借入総額:約1億5,000万円
- 詳細な借入内訳:把握していない
- 資産の実態価値:確認していない
課題の本質
この経営者は、顧問税理士が作成する決算書を「財務状況の全て」として認識していました。
しかし、法定決算書は納税目的で作成されるため、必ずしも「事業の実態」を反映していません。---
法定BSと実態BSの構造的ギャップ
法定バランスシート(BS)の限界
顧問税理士が作成する法定BSは、税務申告のために法令に従って作成されます。しかし、以下の「実態価値」は反映されていません:
**資産の実態価値のギャップ:**
1. 棚卸資産(在庫) - 法定BS:帳簿価額500万円
- 実態
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