こんにちは!元店長サムです。
飲食店で食材が余ったり、反対に営業途中で足りなくなったりすると、
「発注量を間違えた」
と考えがちです。
もちろん、発注数量の判断を誤ることはあります。
ただ、長く飲食店の現場にいると、発注そのものより前の段階ですでに数字がずれているケースも少なくありません。
その一つが、
現在庫を正しく把握できていないことです。
どんなに計算が正しくても、最初の数字が違えば答えも違う
たとえば、次回の納品までに10個必要だとします。
現在庫が5個なら、単純に考えれば不足分は5個です。
ところが実際には、別の冷蔵庫に3個残っていた。
つまり本当の在庫は8個です。
5個あると思って発注するのと、8個あると分かって発注するのでは、当然結果が変わります。
発注の計算方法をどれだけ勉強しても、
最初に使う在庫数が間違っていたら、その後の計算も全部ずれます。
ここは意外と見落とされます。
「ちゃんと数えればいい」だけでは解決しない
では、担当者に
「発注前に在庫をちゃんと数えて」
と伝えれば解決するでしょうか。
私は、それだけでは難しいと思っています。
たとえば同じ食材が、
冷蔵庫の上段
調理台の下
バックヤード
冷凍庫の空いたスペース
と複数の場所に置かれていたらどうでしょう。
慣れている人なら全部探せるかもしれません。
ところが、新しく発注を担当した人は、そのうち一か所を見落とすかもしれません。
これは担当者の注意力だけの問題ではありません。
数えにくい状態を店側が作っていることにも原因があります。
発注精度の前に「5S」がある
ここで重要になるのが、昔から現場改善で使われている5Sです。
整理・整頓・清掃・清潔・躾。
飲食店では「店をきれいにする活動」と思われることもありますが、発注や在庫管理にも直結します。
まず、不要な物を整理する。
次に、
「この商品はここに置く」
という標準配置を決める。
そして決めた場所に戻すことを全員の習慣にする。
これだけでも、
「どこにあるか分からない」
「別の場所にも在庫があった」
「数えたと思っていた商品をもう一度数えた」
といったミスを減らしやすくなります。
大切なのは、空いている場所へきれいに並べることではありません。
置く場所を先に決め、その状態を維持することです。
標準配置があると、異常にも気づきやすくなる
たとえば牛乳は、
「冷蔵庫Aの下段右側」
と決めておく。
そこに通常18本置くことも決まっている。
すると棚を見たとき、
「今日はずいぶん少ない」
「なぜか別の棚にも置かれている」
「いつもより在庫が多い」
といった異常に気づきやすくなります。
つまり標準配置は、
物を探しやすくするためだけの仕組みではありません。
在庫の変化を見つけやすくする基準でもあります。
発注担当者の「経験不足」だけを責めない
発注が上手なベテランは、棚を見ただけである程度の状況が分かります。
ところが、新しく担当した人に同じことを求めても難しい。
そこで、
「経験を積めば分かるようになる」
だけで終わらせてしまうと、その人が慣れるまで発注ミスを繰り返す可能性があります。
経験者が頭の中で見ているものを、
標準配置
標準在庫
カウント方法
発注判断の基準
として見える形にしておけば、経験の浅い人でも判断しやすくなります。
私は、こうした仕組みを作ることも店長の仕事だと思っています。
発注を見直すなら、発注表より先に現場を見る
食材が余る。
欠品する。
原価率が安定しない。
そんなとき、すぐに発注量の計算方法を変える前に、一度確認してみてください。
その在庫数、本当に信用できる数字でしょうか。
同じ商品が何か所にも置かれていないか。
置き場所は決まっているか。
誰が数えても同じ数字になるか。
使った物を元の位置へ戻すルールが守られているか。
発注ミスは、注文ボタンを押した瞬間に始まるとは限りません。
在庫を正しく数えられない状態になった時点で、すでに始まっていることがあります。
発注を改善したいなら、まずは在庫を正しく把握できる店を作る。
その土台になるのが、標準配置と5Sです。