まるで動物が雪の上を歩いた時に出来る足跡のように、
物を書くのが好きである。
右腕の血管に流れる血液がペン先に移って
酸化して漆黒になるようなイメージで、
その血の跡で日々を綴る。
裸足で外を出歩かなくなった我々の足跡を辿るために
神様が「筆跡」を与えたに違いない。
そして、
神様が作った我々の生態を、
まるで何も知らないふりをして、
夜に寝静まった我々の書き後から探るのだろう。
最近、ついに、ついにと理想的な文具店を見つけて喜んでいる。
電話鑑定の時は
お客様のカルテを手書きでしたためているのだが、
ついについに、理想的な水性ペンを買う。
あまりにこだわって試し書きをしているので、
店主の方にイラストレーターですか?と聞かれて、
限りなく透明に濁す。
占い師です。
書きやすいペンはもはや話しやすい友のようなもので、
なんでもなんでも、
私が思ったことを受け止めて、文字として視覚化してくれる。
ありがとう優しいペンよ。日本製の2000円くらいの、ペンよ。
そして今日、ドイツ製の万年筆を知り、
高額な値段に尻込みするも、
私が書く言葉は、お客様の話は、
その格上のペン軸に相応することも判っている。
今日も星は回る、星は落ちる。
上質な万年筆で引いたように流星が落ちて光の跡を残す。
今日も生きて、何か話して、
過去を思い出して、
未来を悲観して、
星占いを検索して、
何気ない日々をインクでしたためて、
誰も見返さない日記を紡いでいく。
これが遺書になるかもしれないから、
せめて好きな色味の黒で、
自らの光の尾を上質紙に染み込ませて罫線に並べる。
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