【第7回】BCPを作ったら、会社の無駄が見えてきた?実は経営改善にも使える理由

【第7回】BCPを作ったら、会社の無駄が見えてきた?実は経営改善にも使える理由

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ビジネス・マーケティング

「BCPって、災害に備えるための書類ですよね?」

そう思っている経営者の方も多いのではないでしょうか。

もちろん、間違いではありません。

BCP(事業継続計画)は、地震や水害、感染症などの緊急事態が発生した際に、重要な事業を継続・早期復旧するための計画です。

しかし、実はBCPを作成する過程には、もう一つの価値があります。

それは、普段は気づきにくい会社の弱点を発見できることです。

今回は、これまでとは少し違う視点から、BCPと経営改善の関係について考えてみたいと思います。

■ その仕事、社長がいなくても回りますか?

突然ですが、こんな会社を想像してみてください。

従業員10名ほどの小さな会社。

社長は営業も担当し、重要な取引先との交渉も行い、資金繰りも把握しています。

長年勤務しているベテラン社員は、仕入れから在庫管理まで一人で担当。

経理担当者しか分からない請求業務もあります。

普段は特に問題なく営業しています。

むしろ、少人数で効率よく仕事を回している会社かもしれません。

ところが、ある日、社長が突然出勤できなくなったらどうでしょうか。

重要な契約を誰が判断するのか。

取引先への連絡は誰がするのか。

支払いの承認はどうするのか。

実は、災害が起きなくても、会社が止まるリスクは日常の中に潜んでいます。

BCPを考えることは、こうした属人化した業務を洗い出す機会にもなるのです。

■ BCPを作ると「本当に必要な仕事」が見えてくる

BCPでは、緊急時にどの業務を優先するかを考えます。

例えば、ある会社に20種類の業務があったとします。

そのすべてを災害直後から通常どおりに行うことは難しいかもしれません。

そこで考えるのが、

「止まったら一番困る仕事は何か?」

という質問です。

売上への影響が大きい業務。

お客様との信頼関係に直結する業務。

法令や契約上、停止しにくい業務。

こうした観点で整理していくと、会社にとって重要な業務が見えてきます。

さらに、普段行っている仕事の中にも、

「本当に毎日やる必要があるのか?」

「この作業は簡略化できないか?」

「他の人でも対応できるようにできないか?」

と見直せるものが見つかるかもしれません。

つまり、BCPの作成は、業務の優先順位を整理する経営改善のきっかけにもなります。

■ 例えば、クリーニング工場ならどうでしょうか?

私自身、クリーニング事業の運営に携わってきました。

クリーニング工場では、受付、集配、洗浄、乾燥、仕上げ、包装、配送など、さまざまな工程が連動しています。

もし工場の設備が1台停止したら、どの工程に影響するでしょうか。

もしベテランの仕上げ担当者が休んだら、誰が代わりに作業できるでしょうか。

もし集配車両が使えなくなったら、お客様への納品はどうなるでしょうか。

これらは災害時の問題であると同時に、普段の経営課題でもあります。

例えば、特定の従業員しか操作できない設備があるなら、作業手順を標準化する。

一つの設備に依存しているなら、代替手段を検討する。

納品ルートが非効率なら、配送体制を見直す。

BCPをきっかけに業務を整理することで、省人化や生産性向上につながる可能性もあるのです。

■ 「会社の弱点」を発見する5つの質問

ここで、経営者の方に5つ質問をしてみたいと思います。

① 社長が1週間不在でも、重要な意思決定はできますか?

② 特定の従業員しかできない業務はありませんか?

③ 最も重要な設備が停止した場合、代わりの方法はありますか?

④ 主要取引先が1社なくなった場合、経営にどの程度影響しますか?

⑤ 売上が1か月間半減した場合、資金繰りは大丈夫ですか?

いかがでしょうか。

この5つは、どれも災害が起きなくても発生し得る問題です。

一つでも答えに困った項目があれば、そこに改善の余地があるかもしれません。

■ BCPは「コスト」ではなく「経営を見直す機会」

BCPを作成するには、時間も手間もかかります。

外部に依頼する場合には費用も発生します。

そのため、BCPを単なるコストと考える経営者の方もいるでしょう。

しかし、作成の過程で、

・業務の属人化を発見できた

・重要業務の優先順位が明確になった

・設備や取引先への依存度を把握できた

・緊急時の連絡体制を整理できた

・資金繰りの弱点に気づいた

こうした成果が得られるのであれば、災害対策だけにとどまらない価値があります。

もちろん、BCPを作成するだけで経営が改善するわけではありません。

発見した課題を実際の業務改善につなげていくことが重要です。

■ 最後に:あなたの会社の弱点は何ですか?

経営者は日々、売上や利益、人材、顧客対応など、多くの課題に向き合っています。

その中で、普段の業務を立ち止まって見直す時間は、意外と少ないのではないでしょうか。

BCPを作成することは、災害への備えであると同時に、自社の経営を客観的に見直す機会にもなります。

「災害が起きたら会社はどうなるか?」

この質問を、

「会社の何が止まると、経営に最も影響するか?」

と言い換えてみてください。

見えてくる課題が、少し変わるかもしれません。

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