「見積もりを送ったのに、届いていないと言われた」
「こちらのメールが、相手の迷惑メールフォルダに入っていた」
ここ数年、とても増えているご相談です。
送った側はエラーも出ず、送れたつもりでいる。
ところが相手には届いていない。商売では、じわじわと効いてくる困りごとです。
原因の多くは、本文の書き方ではありません。
会社のドメインの設定です。
■なぜ急に届かなくなったのか
Gmailなどのメールサービスは、差出人の身元確認を年々厳しくしています。
2024年には、Googleが送り手向けのルールを強めました。
その後、Outlook.comなど、ほかの大手のメールサービスも同じ方向に進んでいます。
差出人の身元をはっきりさせる設定がないと、迷惑メールに回されたり、届かなかったりしやすくなりました。
「前は届いていたのに」というのは、受け取る側の基準が上がったためであることがほとんどです。
■まず確かめたい3つのこと
・相手の迷惑メールフォルダに入っていないか。
・会社のドメインのアドレスで送っているか。
・英語のエラーメールが返ってきていないか(理由が書かれています)。
■本当の原因は3つの設定
名前は難しそうですが、どれも身元証明の仕組みです。
・SPF:「うちのメールは、このサーバーから送ります」という届け出。
・DKIM:途中で中身が書き換えられていないことを示す、電子的な印鑑。
・DMARC:上の2つの確認に通らなかったメールを、どう扱ってほしいかの指示。
受け取る側は、届いたメールをこの3つで照らし合わせます。
3つが整っていれば、「誰が送ったか分からない」という理由で落とされることは、ほとんどなくなります。
これらはメールソフトではなく、ドメインの設定(DNS)に書き込むものです。
ご自分で触るより、サーバー会社や保守会社に頼む種類の作業です。
■ご自分でできる確認
手軽なのは、会社のアドレスから個人のGmailへ試しに1通送る方法です。
受け取ったメールの右上のメニューから「メッセージのソースを表示」を選ぶと、3つがそれぞれ合格(PASS)か不合格(FAIL)かが分かります。
3つともPASSなら、身元証明は合格です。
■会社のドメインで送っている仕組みを洗い出す
見落としやすいのが、メールソフト以外からも、会社のドメインでメールが送られていることです。
・ホームページのお問い合わせフォーム。
・予約や顧客管理のサービス。
・メルマガなどの一斉配信のサービス。
・コピー機(複合機)のスキャンの送信。
身元証明の設定は、こうした送り口ごとに必要です。
どれか1つが抜けていると、その仕組みから送ったメールだけが届かない、ということが起きます。
相談する前に、会社のドメインで送っている仕組みを書き出しておくと話が早く進みます。
■設定以外の原因
・安い共用サーバーで、同じサーバーのほかの利用者が迷惑メールを送り、サーバーごと評判が下がっている。
・メルマガを業務メールと同じサーバーから大量に送っている。
・URLの羅列や大きな添付ファイルなど、本文の要因。
・転送の設定を通ると、SPFの確認が通らなくなることがある。
■やりがちな失敗
・届かないからと、同じメールを何度も送り直す(ますます怪しく見えます)。
・フリーメールに切り替える(届いても、会社の信用の面で逆効果です)。
・DMARCをいきなり一番厳しい設定にする(自分の正しいメールまで捨てられることがあります)。
DMARCは、まず「様子を見る」設定で始め、問題がないことを確かめてから段階的に強めるのが一般的です。
■よくあるご相談の例
「普段のメールは届くのに、ホームページのフォームの自動返信だけが迷惑メールに入る」というケースがよくあります。
フォームから送るメールだけ、身元証明の設定が抜けていることが多いです。
送り口ごとに確かめると、原因が見つかることが多いです。
■自分で確かめるチェックリスト
・個人のGmailへ送ったテストで、3つともPASSになっている。
・会社のドメインで送っている仕組みを、一覧にしている。
・フォームの自動返信も、迷惑メールに入らず届く。
・設定を誰に頼めばよいか(サーバー会社・保守会社)が分かっている。
■よくある質問
Q. 3つとも設定されているのに、迷惑メールに入ります。
A. 身元証明は「届けてもらう前提」で、受信箱に入るかは受け取る側の判断です。本文やサーバーの評判など、ほかの原因も見ていきます。
Q. 3つの設定は、どこに頼めばよいですか?
A. ドメインの設定(DNS)を管理している会社です。サーバー会社か、ドメインを契約している会社のことが多いです。
Q. 小さな会社でも設定は要りますか?
A. はい。受け取る側は送り手の規模で見分けてくれないので、件数が少なくても整えておくと安心です。
■どこに頼めばよいか分からないときは
頼むときは「SPF・DKIM・DMARCが設定されているか見て、足りなければ設定してください」と伝えれば、話は通じます。
あわせて、会社のドメインで送っている仕組みの一覧と、テストの結果を渡すと、やり取りが早く進みます。