何も起きていない今だから、考えられること。

何も起きていない今だから、考えられること。

記事
法律・税務・士業全般
~家のこれからを考える~

「まだ元気だから、大丈夫。」
空き家や相続の話をしていると、そんな言葉を耳にすることがあります。確かに、今すぐ困っていることはないのかもしれません。

住んでいる家もある。親も元気に暮らしている。兄弟とも特に揉めていない。それならわざわざ、今から難しい話をする必要はない。そう思うのも自然なことだと思います。

でも最近私は、逆なのではないか?と感じるようになりました。何も起きていない今だからこそ、話せることがある。

親が入院してから。
認知症になってから。
家が空き家になってから。
相続が発生してから。

そうなって初めて考え始めると、選べる道が思った以上に少なくなっていることがあります。

売るのか?
貸すのか?
誰が住むのか?
しばらく残しておくのか?

本来なら、いくつもの選択肢があったはずなのに、時間や事情に追われて「これしかない」という決断になってしまう。私は、不動産の仕事をするようになってから、そんな場面を意識するようになりました。

そして思うのです。大切なのは、早く「売る」と決めることではない。早くから “考えておくこと”なのではないかと…

例えば実家について、
「この家、お父さんたちは将来どうしたいの?」
そんな一言を家族で交わしておくだけでも違います。

答えが出なくてもいい。

「出来れば残したい」
「子供たちには迷惑を掛けたくない」
「庭の手入れだけが心配だ」
「誰か使ってくれるなら貸してもいい」

そんな本人の気持ちが分かるだけでも、その後の選択は変わってきます。

私事ですが、父を早くに亡くした私は相続関連で大変苦労しました。両親は私の幼少期に離婚し、その後に父は再婚していた為、権利関係もさることながら、それぞれの思惑が入り乱れて収拾がつかない状況に陥りました。

それ以前に、生前、父の気持ちや意思を全く確認していなかったので、処分していいのか?誰かに譲りたかったのか?迷いに迷いました。

不動産は、単なる土地や建物ではありません。そこで暮らした時間や、家族との思い出が詰まっています。だからこそ、処分するか残すかを数字だけで決められないこともあります。

私はそれでいいと思っています。

むしろ、迷うのが普通なのではないでしょうか?問題なのは「迷うこと」ではなく、何も話さないまま時間だけが過ぎてしまうこと。

まだ何も起きていない。だから急ぐ必要はありません。でも、急ぐ必要がない今だからこそ、「この家を、この先どうしたい?」一度だけでも、家族で話してみる。それだけで十分なのかもしれません。

この第2章では、空き家や相続について、制度や売却方法だけでなく、
「その前にできること」
を一緒に考えていきたいと思います。

答えを急がず、選択肢を減らさないために。家のこれからを考える時間を、少しずつ作っていきましょう。



了
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