”できないこと”より”できること”

”できないこと”より”できること”

記事
コラム
「昔はもっとできたのに。」
歳を重ねると、そんなふうに思うことが増えてくるかもしれません。

昔は走れた。
昔はもっと長く歩けた。
徹夜しても平気だった。
すぐに覚えられた。
身体も軽かった。

若い頃の自分を思い出すほど、
「できなくなったこと」
が目につくようになります。

でも、私は最近
「できなくなったことばかりを見る必要はないのではないか」
と思うようになりました。

人は「失ったもの」に目が向きやすい

私たちは不思議なもので、できていることより
できなくなったことのほうが気になってしまいます。

以前は階段を軽々と上れた。
今は少し息が切れる。
以前は何時間でも歩けた。
今は休憩が必要になる。
以前より物覚えが悪くなった気がする。

そんな変化があると
「自分は衰えた」
と感じてしまいます。

もちろん、歳を重ねれば身体や心に変化が起こるのは自然なことです。
それを無理に否定する必要はありません。

でも、変化したこととすべてを失ったことは同じではありません。

「できなくなったこと」を認める


アクセプト・エイジングという考え方では
「歳を取っても若い頃と同じでいましょう」
とは考えません。

できなくなったことは「できなくなった」と認めてもいい。
走ることが難しくなったなら、歩けばいい。
長時間歩けなくなったなら、休みながら歩けばいい。
以前のように重いものを持てなくなったなら、無理をしなければいい。

大切なのは「できなくなったことを認めること」と
「諦めることを混同しないこと」だと思います。

では、今の自分には何ができるだろう


ここから、少し視点を変えてみます。

「昔は何ができたか?」ではなく、
「今の自分には何ができるだろう?」
と考えてみる。

毎日歩くことができる。
好きな音楽を聴くことができる。
誰かと話すことができる。
美味しいものを食べることができる。
新しいことを知ることができる。
旅行に行くことができる。
身体を動かすことができる。

そして、これから何かを始めることだってできます。

年齢を重ねたからといって
「これ以上、何も始められない」
ということではありません。

「若い頃の自分」と比べなくてもいい


私たちは、つい過去の自分と現在の自分を比べます。

「昔のほうが体力があった。」
「昔のほうが痩せていた。」
「昔のほうが動けた。」

でも、20歳の自分と60歳の自分を比べて
60歳の自分が勝つ必要があるでしょうか。

そもそも、身体も生活も環境も違います。

だから私は、「過去の自分に戻る」ことだけを
目標にしなくてもいいと思っています。

過去の自分にはできなかったことを
今の自分だからできることもあります。

長く生きてきたからこそ分かること。
経験してきたからこそできる判断。
人との関わりの中で身についた優しさ。
失敗したからこそ分かること。

これらもまた、歳を重ねることで得られるものです。

「できること」は、必ずしも大きなことではない


できることというと

何か新しいことに挑戦する。
運動を始める。
旅行に行く。
資格を取る。

そんな大きなことを想像するかもしれません。

でも、もっと小さくてもいいと思います。

今日は少し歩いてみる。
階段を一段だけ多く使ってみる。
久しぶりの友人に連絡してみる。
興味のあった本を読んでみる。
美味しいものをゆっくり味わう。
朝、少しだけ身体を伸ばしてみる。

こうした小さな「できること」の積み重ねも、
今の自分を大切にすることにつながります。

年齢を重ねることは「減っていくこと」だけではない


歳を重ねればできなくなることはあります。
身体能力も変化します。
以前と同じようにはいかないこともあります。

それは事実です。

でも、人生は
「できることが減っていく一方のもの」
ではないのではないでしょうか。

経験は増えていきます。
知識も増えていきます。
人とのつながりも増えていきます。

自分が何を好きなのか、何を大切にしたいのか
少しずつ分かってくることもあります。

若い頃には見えなかったものが
見えるようになることもあります。

「できること」に目を向ける
アクセプト・エイジングとは、

歳を重ねることを無理に美化することでもありません。

「歳を取るのは素晴らしいことだから、何も気にしなくていい」
ということでもありません。

変化は変化として受け入れる。
できなくなったことは、できなくなったと認める。

そのうえで「では、今の自分には何ができるのだろう?」
と考えてみる。

私はその視点が大切なのではないかと思っています。

過去の自分ではなく、今の自分を見る。


「あの頃はできたのに」
と過去を見るだけではなく
「今の自分には何ができるだろう」
と現在を見る。

そして「これから何ができるだろう」
と未来を見る。

歳を重ねることは、過去の自分を失っていくこと
だけではありません。

今の自分にしかできないことを見つけていくことでもある。
私は、そんなふうに歳を重ねていきたいと思っています。

それもまた、『アクセプト・エイジング』
なのではないでしょうか。
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